整骨院/治療院の経営者がM&Aを考え始めるきっかけ

近年、整骨院や治療院業界においてM&Aが活発になっています。業界の競争激化や経営環境の変化により、多くの経営者がM&Aを選択肢の一つとして考えるようになっています。

M&Aを検討する背景には、さまざまな要因があります。本記事では、整骨院や治療院の経営者がM&Aを考え始めるきっかけについて詳しく解説し、それぞれのケースに応じた対応策を紹介します。

1. 後継者不在の問題

高齢化による引退

整骨院や治療院の経営者の多くは個人経営者であり、院長自身が施術の中心となっています。しかし、経営者が高齢になるにつれて、施術を続けることが困難になり、引退を検討するケースが増えています。

  • 後継者がいない場合、事業の継続が難しくなる。
  • 引退後の生活資金を確保するために、M&Aを活用する。

親族やスタッフへの承継が困難

親族に事業を引き継ぎたいと考える経営者もいますが、本人の意向やスキル不足、さらには柔道整復師でないことにより承継が難しい場合があります。また、優秀なスタッフがいても、経営の意欲や資金面での問題から継承が難しいことも少なくありません。

そのため、第三者への売却を選択肢とする経営者が増えています。

2. 経営の負担増加

施術と経営の両立が困難

整骨院や治療院の経営者は、施術だけでなく、経営管理やスタッフのマネジメントなど、多岐にわたる業務をこなさなければなりません。

  • 経営規模が拡大するにつれ、施術と経営の両立が難しくなる。
  • 経営に専念できる環境を求め、M&Aを検討する。

競争の激化と収益の低下

近年、整骨院や治療院の数が増加し、競争が激化しています。また、健康保険の適用範囲の変更や施術単価の低下により、収益が不安定になるケースもあります。

  • 競争が激しくなり、集客が難しくなる。
  • 経営の先行きに不安を感じ、M&Aを選択肢として考える。

3. 事業拡大や資本力強化を目的としたM&A

事業のスケールアップ

経営者の中には、複数の院を展開し、事業規模を拡大したいと考える人もいます。その際、既存の院を買収することで、ゼロからの開業よりも効率的に拡大できます。

  • 既存の患者基盤やスタッフを活用できる。
  • 新規開業よりもリスクを抑えた形で事業を拡大できる。

資本力を強化するための提携

個人経営では限界があるため、資本力のある法人と提携することで経営の安定化を図るケースもあります。

  • 設備投資や広告費を増やし、競争力を高められる。
  • 法人の経営ノウハウを活用し、院の成長を促進できる。

4. 法規制や業界の変化

健康保険制度の改定や施術に関する規制の変更により、整骨院・治療院業界の経営環境が大きく変化することがあります。

  • 法規制に対応するために資本力のある企業と統合する。
  • 経営の柔軟性を高めるためにM&Aを活用する。

5. M&Aを成功させるためのポイント

目的を明確にする

M&Aを検討する際には、「なぜM&Aを選択するのか?」という目的を明確にすることが重要です。

  • 事業承継を目的とするのか?
  • 経営負担を軽減するためか?
  • 事業拡大を狙うのか?

目的に応じた戦略を立てることで、適切なM&Aの進め方を選択できます。

適切な買い手を見つける

M&Aを成功させるためには、適切な買い手を見つけることが重要です。

  • 自院の理念や施術方針を尊重できる買い手を選ぶ。
  • スタッフや患者への影響を最小限に抑える。

契約内容を慎重に確認する

M&A契約の際には、細かい契約内容を慎重に確認することが重要です。

  • 競業避止義務の設定。
  • 売却価格の適正な査定。
  • M&A後の引き継ぎ計画。

まとめ

整骨院・治療院の経営者がM&Aを考え始めるきっかけは多岐にわたります。後継者問題、経営負担の増加、競争激化、事業拡大、環境変化など、さまざまな要因が影響を与えます。

M&Aを成功させるためには、目的を明確にし、適切な買い手を見つけ、慎重な契約を結ぶことが重要です。本記事の内容を参考に、M&Aを検討する際の判断材料としていただければ幸いです。

整骨・治療院のM&A専門サポートチームがある弊社では、お話をお伺いしながら現実的なM&A戦略を一緒に検討することが出来ます。是非一度お問い合わせください。

整骨院のM&Aに関する詳しい情報は、こちらをご参照ください。

1.整骨院/治療院のM&Aトップへ
2.整骨院/治療院のM&Aの特徴
3.整骨院/治療院のM&Aのメリット・デメリット
4.整骨院/治療院のM&Aの注意点
5.整骨院/治療院のM&Aの譲渡対価の相場観
6.整骨院/治療院のM&A事例
7.整骨院/治療院のM&Aの失敗事例
8.整骨院/治療院のM&Aの2024年の振り返り

宮澤 駿

(株)船井総合研究所 シニアコンサルタント

大学卒業後、2014年に株式会社船井総合研究所へ入社。「院長を経営者に」を大切にし、鍼灸整骨院業界の経営コンサルティングに従事。現在は、船井総研あがたFASを兼務し、約10年間のコンサルティングで得た経験と知見を元に鍼灸整骨院業界の市場規模拡大のためM&A・事業承継に注力している。

宮澤 駿

(株)船井総合研究所 シニアコンサルタント

大学卒業後、2014年に株式会社船井総合研究所へ入社。「院長を経営者に」を大切にし、鍼灸整骨院業界の経営コンサルティングに従事。現在は、船井総研あがたFASを兼務し、約10年間のコンサルティングで得た経験と知見を元に鍼灸整骨院業界の市場規模拡大のためM&A・事業承継に注力している。