整骨院/治療院の2024年M&Aの振り返り

株式会社船井総合研究所の宮澤です。2024年における整骨院・治療院業界のM&Aは、過去数年間のトレンドを踏襲しつつ、新たな動きも見られた一年となりました。本記事では、2024年のM&A市場の動向や特徴、成功事例、そして今後の展望について詳しく振り返ります。中堅・中小規模の整骨院・治療院の経営者様・院長様で、M&A・事業承継・事業譲渡をお考えの方はぜひご覧ください。

1. 【整骨院業界・治療院業界】2024年のM&A市場の動向

整骨院・治療院業界のM&Aは、引き続き活発に行われました。その背景には、以下のような要因が挙げられます。

  • 業界の成熟と競争激化 整骨院や治療院の数が増加する中で、経営が厳しくなるケースが増えています。これにより、小規模な治療院が大手チェーンや投資家によって買収されるケースが増加しました。
  • 人材不足と事業承継の課題 柔道整復師や鍼灸師といった専門職の人材不足が深刻化する中、事業の継続が困難になった治療院がM&Aを選択するケースが多く見られました。
  • 法人化の加速と投資ファンドの参入 法人化を進める整骨院グループが増え、規模拡大のためのM&Aが活発になりました。また、医療・ヘルスケア業界への投資を進めるファンドの参入も見られました。

2. 【整骨院業界・治療院業界】2024年のM&Aの特徴

2024年のM&A市場には、以下のような特徴が見られました。

(1) 小規模治療院の買収増加

1院〜3院規模の小規模な治療院が大手に買収されるケースが増えました。特に、都市部においては、競争の激化や家賃負担の増大による収益性の低下が背景にあります。

(2) IT技術を活用した企業の成長

オンライン予約システムやAIを活用した検査・施術サポートを導入する治療院が増え、これらの技術を持つ企業がM&Aのターゲットとして注目されました。

(3) スポーツ関連や高齢者向け治療院の需要増加

健康志向の高まりや高齢化社会の進展により、スポーツ障害に特化した治療院や、リハビリに強みを持つ院の価値が高まりました。これらの分野に特化したM&Aも目立ちました。

(4) 外資系企業の関心の高まり

日本の整骨院・治療院業界に対して、海外のヘルスケア企業が関心を示し、一部では外資系企業によるM&Aも見られました。特に、アジア圏の医療・健康サービス企業が日本市場への参入を進めています。

3.【整骨院業界・治療院業界M&A】2024年の成功事例

2024年に成功したM&A事例として、以下のようなケースが挙げられます。

(1) 大手整骨院チェーンによる地方展開

大手整骨院チェーンが地方の有力治療院を買収し、地域密着型のブランド展開を図るケースが増えました。これにより、地方の治療院が安定した経営基盤を得ることができました。

(2) ITベンチャー企業と治療院の提携

デジタルヘルスを推進するITベンチャーが、治療院を買収または提携し、最新技術を活用した施術を展開する事例も成功しました。これにより、予約管理やリピーター獲得の効率化が進みました。

(3) 高齢者向けリハビリ施設のM&A

リハビリ特化型の整骨院が、介護事業者や医療法人と連携し、M&Aを通じて事業拡大を果たした事例もあります。これにより、高齢者向けの包括的なケアが提供できる体制が整いました。

4. 【整骨院業界・治療院業界M&A】今後の展望と課題

今後も整骨院業界・治療院業界のM&Aは活発に行われると予想されますが、いくつかの課題も考えられます。

(1) 施術の標準化とブランド力の向上

M&A後の統合プロセスにおいて、施術の質を均一化し、ブランド力を維持することが重要です。統一された施術基準や患者対応が求められます。

(2) 法規制の変化への対応

柔道整復師や鍼灸師の施術に関する規制が変化する可能性があるため、M&Aを進める際には法的リスクを慎重に検討する必要があります。

(3) 人材確保の強化

M&Aを進める中で、治療院のスタッフや院長が離職しないよう、適切な人事管理やインセンティブ設計が求められます。

(4) DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

治療院経営において、デジタル技術の導入がますます重要になります。予約管理や患者データの活用など、ITを活用した経営効率化が求められます。

5. まとめ

2024年の整骨院・治療院M&A市場は、業界の競争激化や事業承継問題、デジタル技術の活用など、多様な要因により活発に推移しました。今後も市場の動向を注視しながら、持続可能な成長を目指すことが重要です。M&Aを検討する整骨院・治療院の経営者は、事業の価値を高めるための施策を講じながら、適切な買収・売却のタイミングを見極めることが求められます。2025年以降も、業界全体が成長し続けるための戦略的なM&Aが期待されます。

今現在、これからM&Aを検討される整骨・治療院業界のご経営者様におかれましては、まずは現状を整理することが重要です。整骨・治療院のM&A専門サポートチームがある弊社では、お話をお伺いしながら現実的なM&A戦略を一緒に検討することが出来ます。是非一度お問い合わせください。

整骨院のM&Aに関する詳しい情報は、こちらをご参照ください。

1.整骨院/治療院のM&Aトップへ
2.整骨院/治療院のM&Aの特徴
3.整骨院/治療院のM&Aのメリット・デメリット
4.整骨院/治療院のM&Aの注意点
5.整骨院/治療院のM&Aの譲渡対価の相場観
6.整骨院/治療院のM&A事例
7.整骨院/治療院のM&Aの失敗事例
8.整骨院/治療院のM&Aの2024年の振り返り


宮澤 駿

(株)船井総合研究所 シニアコンサルタント

大学卒業後、2014年に株式会社船井総合研究所へ入社。「院長を経営者に」を大切にし、鍼灸整骨院業界の経営コンサルティングに従事。現在は、船井総研あがたFASを兼務し、約10年間のコンサルティングで得た経験と知見を元に鍼灸整骨院業界の市場規模拡大のためM&A・事業承継に注力している。

宮澤 駿

(株)船井総合研究所 シニアコンサルタント

大学卒業後、2014年に株式会社船井総合研究所へ入社。「院長を経営者に」を大切にし、鍼灸整骨院業界の経営コンサルティングに従事。現在は、船井総研あがたFASを兼務し、約10年間のコンサルティングで得た経験と知見を元に鍼灸整骨院業界の市場規模拡大のためM&A・事業承継に注力している。