事業承継の費用相場|手法別・依頼先別の内訳をわかりやすく整理
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事業承継の費用相場|手法別・依頼先別の内訳をわかりやすく整理

事業承継の費用は、いくらかかるのか見当がつかないまま検討を進めている経営者が少なくありません。

事業承継にかかる費用は、税金・専門家報酬・補助金という3つの要素に分かれ、選ぶ手法や依頼先によって総額は大きく変わります。 

「自走できている会社で、お金をかけずに引き継げる方法」を探している経営者もいれば、M&A仲介から届いた提案を見て「要は乗っ取りということでいいのでしょうか」と身構える経営者もいます。

同じ事業承継でも、費用に対する受け止め方は立場によってかなり異なります。 

本記事では、税金・専門家報酬・補助金という3つの要素を切り分けたうえで、親族内承継・従業員承継・第三者承継という手法別の傾向と、税理士・事業承継コンサル・M&A仲介・公的機関という依頼先別の費用相場を、中立の立場から整理します。


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事業承継の費用の全体像|税金・専門家報酬・補助金の3要素 

事業承継の費用と一口にいっても、内容はひとつではありません。

大きく分けると、株式の移転にともなって発生する税金、専門家に支払う報酬、そして費用の負担を軽くする補助金・制度という3つの要素で構成されます。

実務上は、このうちどれか1つだけを見て「高い」「安い」と判断してしまい、後から想定外の費用に気づくケースが少なくありません。 

事業承継にともなう税金 

株式を後継者に移す場面では、贈与税・相続税・法人税・譲渡所得税といった税金が発生します。

親族内で株式を贈与する場合は贈与税、相続で引き継ぐ場合は相続税が中心となり、第三者承継(M&A)で株式を譲渡する場合は譲渡所得税が発生します。

株価が高い会社ほど税負担も重くなりやすいため、事前の株価対策や納税資金の準備が欠かせません。 

専門家に支払う報酬 

税金の計算や手続き、承継計画の策定、交渉の実務は専門性が高く、税理士・事業承継コンサル・M&A仲介・弁護士といった専門家に依頼するのが一般的です。

相談料・着手金・月額報酬・成功報酬など、依頼先によって料金体系そのものが異なるため、依頼する前にどの段階でいくら発生するのかを確認しておく必要があります。 

補助金・制度による費用の軽減 

国や自治体は、事業承継にかかる費用の負担を軽減する補助金や税制を用意しています。

専門家費用の一部を補助する制度や、贈与税・相続税の納税を猶予する税制を組み合わせることで、総額の負担を抑えられる場合があります。

ただし補助金の多くは経費を先に立て替えたうえで採択後に補助される後払いの仕組みであり、税制も継続的な要件管理が必要になる点は押さえておきたいところです。 

事業承継の費用は手法でどう変わるか|親族内・従業員・第三者承継 

事業承継の費用は、親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)のどの手法を選ぶかによって、発生する費用の種類と総額が変わります。

手法を決める前に依頼先だけを先に決めてしまうと、後から想定していなかった費用が発生することもあるため、まず手法ごとの傾向を押さえておくことが役立ちます。 

親族内承継の費用の傾向 

親族内承継では、贈与税・相続税といった税金対策が費用の中心になりやすい傾向があります。

暦年贈与を少しずつ行う場合は非課税枠の範囲に収めやすい一方、株価が高い会社では移転に長い年数がかかるため、相続時精算課税の活用や専門家によるシミュレーションが必要になります。

実務上は、M&A仲介の成功報酬のような大きな手数料は発生しにくく、税理士への報酬が費用の中心を占めるケースが多いといえます。 

従業員承継の費用の傾向 

従業員承継では、後継者となる従業員が自社株を買い取る資金をどう準備するかが費用面の焦点になります。

買取資金の融資を金融機関から受ける場合、資料作成や交渉の実務を事業承継コンサルや税理士に依頼する費用が発生します。親族内承継と比べて、資金調達に関わる専門家報酬が加わりやすい点が特徴です。 

第三者承継(M&A)の費用の傾向 

第三者承継(M&A)では、上記の税金・専門家報酬に加えて、M&A仲介会社への手数料が発生します。

仲介手数料は譲渡が成立した時点で発生する成功報酬が中心で、取引金額に応じて金額が変わるため、他の手法と比べて総額が大きくなりやすい傾向があります。

手数料の体系を事前に理解しておくことが、想定外の負担を避けることにつながります。 

事業承継の費用を依頼先別に比較する|税理士・コンサル・M&A仲介・公的機関 

同じ事業承継の相談でも、依頼先によって料金体系そのものが異なります。ここでは主な依頼先ごとに、費用の一般的な考え方を整理します。

以下の金額は一部の専門家サイトで公開されている料金体系をもとにした一般的な傾向であり、実際の金額は会社の規模や依頼する業務の範囲によって変動します。 

税理士に依頼する場合の費用の目安 

税理士に事業承継の相談から実行支援まで依頼する場合、相談料は1時間あたり1万円から3万円程度、着手金は数十万円から数百万円程度、継続的な支援を受ける場合の月額報酬は月数万円から数十万円程度が目安とされています。

株価評価や相続税・贈与税対策まで含めて包括的に依頼すると、総額で100万円台後半から300万円程度になることが多いとされていますが、依頼する業務の範囲が広がるほど金額も上がります。

実務上は、株価対策だけを依頼するのか、人材や組織、経営の承継まで含めて依頼するのかによって、報酬体系がかなり変わってきます。 

事業承継コンサルに依頼する場合の費用の目安 

事業承継コンサルの費用体系は、税理士と同様に着手金・月額報酬を軸にすることが多く、株価評価だけであれば数十万円程度、実行支援まで含めると総額で数百万円規模になることもあります。

特定の手法に絞らず、現状分析から実行まで伴走してもらえる点が税理士との違いです。依頼できる範囲や選び方をさらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継コンサルの選び方と費用相場|依頼できることと注意点をわかりやすく解説』 

M&A仲介会社に依頼する場合の費用 

M&A仲介会社の費用体系は、着手金・月額報酬・成功報酬の組み合わせが一般的です。

着手金は数十万円から数百万円程度、月額報酬は発生する場合で月数十万円程度、そして成約時に発生する成功報酬が費用の中心を占めます。

小規模な譲渡であっても、最低報酬額(ミニマムフィー)を数百万円から2,000万円程度に設定している仲介会社が少なくないため、取引金額が小さいほど手数料の負担割合は相対的に重くなる点に注意が必要です。 

成功報酬型(レーマン方式)の考え方 

「要は乗っ取りということでいいのでしょうか」。M&A仲介から届いた提案資料を見て、こうした警戒心を抱く経営者は珍しくありません。

M&A仲介の成功報酬の多くは、レーマン方式と呼ばれる段階的な料率で計算されます。一般的には、取引金額のうち5億円以下の部分に5%、5億円超から10億円以下の部分に4%、10億円超から50億円以下の部分に3%というように、金額が大きくなるほど料率が下がっていく仕組みです。

どの金額を基準に料率を掛けるか(株式価額のみか、負債を含めた金額かなど)は仲介会社によって異なるため、契約前に算定基準を確認しておくことが欠かせません。 

公的相談窓口を利用する場合の費用 

事業承継・引継ぎ支援センターのような公的な相談窓口では、初期の相談を無料で受け付けている場合が多いとされています。

「義父という間柄で、銀行や税理士に相談に行くのも躊躇される」という後継者候補にとって、まず費用をかけずに全体像を把握できる窓口があることは、最初の一歩を踏み出しやすくする材料になります。

ただし実行段階の税務申告や契約実務まですべてを公的窓口だけで完結させるのは難しく、専門家への依頼が必要になる場面も出てきます。 

事業承継税制を活用する場合の費用|税制のメリットと手続きコストの関係 

事業承継税制は、贈与税・相続税の納税を猶予する制度で、要件を満たせば税負担を大きく抑えられます。

ただし税制を活用するには、特例承継計画の策定・認定申請といった初期の手続きに加え、認定後も一定期間、年次報告や継続届出への対応が必要になり、その分の専門家報酬が別途発生します。

税負担の軽減効果と、継続的に発生する手続きコストを合わせて見たうえで、活用するかどうかを判断することが実務上は重要です。

事業承継税制にかかる税理士報酬・専門家費用の内訳をさらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継税制の税理士報酬・費用相場|内訳と依頼先の選び方』 

事業承継の費用を抑える方法|補助金・助成金の活用 

事業承継にかかる費用の負担を軽くする方法として、事業承継・M&A補助金をはじめとした公的な補助金の活用があります。

補助金は返済が不要な点がメリットですが、対象経費を先に立て替えて支払い、採択・確定後にはじめて補助される仕組みが一般的で、申請には一定の要件や手続きが必要です。

実務上は、補助金だけですべての費用をまかなえるとは限らないため、融資と組み合わせた資金計画のなかで検討することをおすすめします。

対象者や申請の流れ、承継手法ごとの使い方をさらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継補助金とは|対象者・金額・申請の流れと承継手法別の使い方を解説』 

事業承継の費用の見方|比較するときに押さえておきたい視点 

金額の大小だけを見て依頼先を決めると、後から対応範囲の狭さに気づくこともあります。事業承継の費用を比較するときは、次の3つの視点を押さえておくと判断しやすくなります。 

総額で比較する視点 

着手金や月額報酬だけを見るのではなく、税金や成功報酬まで含めた総額で比較する視点が欠かせません。

実務上は、着手金や月額報酬が低く見えても、成功報酬やミニマムフィーの設定によって、最終的な総額は逆転することがあります。 

安さだけで選ばない視点 

料金の低さだけで依頼先を選ぶと、対応範囲が狭く、後から追加費用が発生するケースもあります。

何が費用に含まれ、何が別途発生するのかを、契約前に確認しておく視点が大切です。 

支払いタイミングと承継手法を先に整理する視点 

相談料・着手金・月額報酬・成功報酬のどの段階でいくら発生するのかを、契約前にどこまで明示してもらえるかも比較の対象になります。

あわせて、親族内・従業員・第三者承継のどれを選ぶかによって必要な専門家や費用構造そのものが変わるため、依頼先を決め打ちする前に、手法そのものを整理しておくことをおすすめします。 

【まとめ】事業承継の費用は手法と依頼先で変わる、まず内訳を整理してから相談を 

事業承継の費用は、税金・専門家報酬・補助金という3つの要素で構成され、親族内・従業員・第三者承継のどの手法を選ぶか、税理士・事業承継コンサル・M&A仲介・公的機関のどこに依頼するかによって、総額は大きく変わります。

実務上は、対応範囲や支払いタイミングまで確認しないまま契約し、後から想定外の負担に気づく経営者も見られます。

まずは自社にかかりそうな費用の内訳を、税金・専門家報酬・補助金の3つに分けて整理し、複数の専門家から見積もりを取ったうえで、対応範囲まで含めた総額で比較してから依頼先を決めることをおすすめします。 

事業承継全体の方法・進め方・税金を確認したい場合は、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継とは|方法・進め方・税金までの流れをまとめて理解できるガイド』 

自社に合った相談先を中立の立場で選びたい方は、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継は誰に相談すべき?相談先の種類と選び方をわかりやすく解説』 

船井総研あがたFASでは、事業承継の手法や依頼先を1つに絞らず、税務会計と経営コンサルティングを一気通貫で見る立場から、費用の内訳を含めて状況に応じた選択肢を一緒に整理する相談を受け付けています。 


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事業承継についてよくあるご質問

Q.事業承継にかかる費用はいくらくらいですか? 

A.事業承継にかかる費用は、税金(相続税・贈与税・法人税・譲渡所得税など)と専門家報酬(税理士・事業承継コンサル・M&A仲介など)の大きく2つに分かれ、手法や依頼先によって総額は数十万円から数百万円規模まで幅があります。

第三者承継(M&A)では仲介手数料が加わるため、他の手法より総額が大きくなりやすい傾向があります。補助金を活用すれば、専門家費用の一部を軽減できる場合もあります。 

Q.税理士とM&A仲介では、事業承継の費用体系にどのような違いがありますか? 

A.税理士は相談料・着手金・月額報酬を中心とした料金体系が一般的で、税務や株価評価を軸に費用が発生します。

一方でM&A仲介は、着手金や月額報酬に加えて成約時に発生する成功報酬(レーマン方式)が中心となり、取引金額が大きいほど手数料の絶対額も増える仕組みです。

依頼する範囲によって、どちらの総額が大きくなるかは変わります。 

Q.事業承継の相談は必ず費用がかかりますか? 

A.事業承継・引継ぎ支援センターのような公的な窓口では、初期の相談を無料で受け付けている場合が多いとされています。

一方で税理士や事業承継コンサル、M&A仲介など民間の専門家に実行支援まで依頼する段階になると、着手金や月額報酬といった費用が発生するのが一般的です。

まず無料相談で内訳を確認してから、依頼するかどうかを判断する方法があります。 

Q.M&A仲介の成功報酬(レーマン方式)はどのように計算されますか? 

A.レーマン方式は、取引金額を複数の区分に分け、区分ごとに異なる料率を掛け合わせて成功報酬を算出する計算方法です。

一般的には5億円以下の部分に5%、5億円超から10億円以下の部分に4%というように、金額が大きくなるほど料率が下がる段階的な仕組みが用いられます。

基準となる取引金額の定義は仲介会社によって異なるため、契約前の確認が欠かせません。 

Q.事業承継の費用はいつ、どのタイミングで支払うものですか? 

A.専門家に依頼する場合、相談料は面談ごと、着手金は正式に契約した時点、月額報酬は契約期間中毎月というように、段階ごとに支払うタイミングが分かれています。

M&A仲介の成功報酬は、譲渡が成立した時点でまとめて発生するのが一般的です。

契約前にどの段階でいくら発生するのかを確認しておくと、資金繰りの見通しを立てやすくなります。 

植木 諒

(株)船井総研あがたFAS マネージャー

士業事務所でキャリアを歩み、法務・不動産の現場実務に精通。2018年の船井総研入社後は、財務コンサルティングを主軸に数多くの事業承継・再生案件を完遂してきた 。現在はグループの事業承継分野で中核を担う存在である 

土地家屋調査士・行政書士の資格を保持し、「事業・財産・組織」の3つの視点から包括的に支援 。現場実務から承継戦略までをワンストップで解決できる希少なコンサルタントとして、多くの経営者から厚い信頼を得ている。

植木 諒

(株)船井総研あがたFAS マネージャー

士業事務所でキャリアを歩み、法務・不動産の現場実務に精通。2018年の船井総研入社後は、財務コンサルティングを主軸に数多くの事業承継・再生案件を完遂してきた 。現在はグループの事業承継分野で中核を担う存在である 

土地家屋調査士・行政書士の資格を保持し、「事業・財産・組織」の3つの視点から包括的に支援 。現場実務から承継戦略までをワンストップで解決できる希少なコンサルタントとして、多くの経営者から厚い信頼を得ている。