自動車販売/整備業のM&Aの失敗事例

皆様、いつも大変お世話になっております。株式会社船井総研あがたFAS マネージングディレクターの淵上幸憲と申します。
今回は「自動車販売/整備業のM&Aの失敗事例」について解説させていただきます。
昨今ではM&Aに関する悪いニュースもたくさんでているのは事実でございます。そんな中で自動車業界ではどんな失敗事例があるのかをお伝えします。M&A戦略を描く中では成功事例を知る一方で失敗事例から教訓を学ぶことも大事だと感じますので、最後までお読みいただけたらと思います。
よくある失敗事例:デューデリジェンスの不十分さ
独占交渉の先のステージでは買収監査がありますが、その際にスピードを求めるあまり、雑な形で仕上げてしまうことは多々あります。自動車販売で多くでてくるのが在庫の有無です。実際には資産としてあげられているのに実はキズがついていて価値があまりつかないケースがあるといったことは多々お聞きしています。
さらには店舗自体も未登記または一部が違法建築であって、統合後に様々なコストが発生するなんてことも出てきます。整備工場では設備をすぐにいれかえないと難しいくらい痛んでいたり、水はけが悪い地域で大雨が降ると検査ラインが水没してしまうなんてこともしっかり確認しないと出てきます。つまりデューデリジェンスはより入念に実施しておくことが大事です。
よくある失敗事例:人材の流出
実際には、統合後に経営観が合わずに人材が退職してしまうということも生じます。これはPMIの進め方で対策はできますが、しっかり統合前に従業員の特徴なども確認しておくことが大事となります。
特に整備事業では業界として人材不足である整備士資格保有者が大量離職してしまうと、指定工場の存続も難しくなるといったことも考えられます。こういったところが起きないように、譲受企業のビジョンや経営観をすり合わせる場を設けておくことがとても大事だと感じます。
よくある失敗事例:外部環境の変化
外的要因なので難しい部分もありますが、自動車業界も変化が激しいため、トレンド業態であったビジネスを展開されている譲渡企業が統合後に外部の変化に伴って急速に業績不振に陥るといったケースも出ております。そういった時には譲受企業では市場分析を定期的に行っておき、どんな状況下でもしっかり右肩上がりの成長を実現できるように準備しておくことが大事です。
M&Aを上手に展開されている企業ではトップ面談までには譲渡企業側の市場でどんなビジネスができるのかをいくつか候補を出しておき、何かがあった時に対応できるように前準備をしております。こういった準備がこれらの課題解決に繋がるということです。
本ブログでは自動車販売/整備のM&Aの失敗事例をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
失敗事例から学べる教訓としては色々出てきますが、
- デューデリジェンスは慎重に
- 譲渡企業の市場分析を行い、将来に対しての前準備をしておくこと
- PMIでは従業員全員と面談をしてグリップすること、そして経営観を直接つたえること
この3つが大事だと感じます。
どれも準備力をたかめることができれば解決できることですし、そうすればM&A戦略をもっと上手に活用することができます。
最後に私が感じたことは、もっと日本に幸せなM&Aを普及させるためには準備の仕方をよりわかりやすくすることが大事だと感じます。双方の立場でどんなささいなことでも、準備したいことがあったらいつでもお問い合わせください。どのような観点でも色々ヒントになることをお伝えいたします。
自動車販売/整備業のM&Aに関する詳細な情報は、こちらをご覧ください。
1.自動車販売/整備業の2024年M&Aの振り返り
2.自動車販売/整備業のM&Aの特徴
3.自動車販売/整備業のM&Aのメリット・デメリット
4.自動車販売/整備業のM&Aの注意点
5.自動車販売/整備業M&Aの譲渡対価の相場観
6.自動車販売/整備業のM&A事例
7.自動車販売/整備業のM&Aの失敗事例

淵上 幸憲
(株)船井総研あがたFAS マネージングディレクター
自動車販売等モビリティ業界のコンサルティングとプロジェクトで豊富な実績を有する。中古車販売、整備、コーティング、レンタカーの業績アップでは1年で売上2倍の実績を持つ。経営の様々なテーマに精通し、成長戦略策定や事業承継・M&Aコンサルティングで高い評価を得ている。

淵上 幸憲
(株)船井総研あがたFAS マネージングディレクター
自動車販売等モビリティ業界のコンサルティングとプロジェクトで豊富な実績を有する。中古車販売、整備、コーティング、レンタカーの業績アップでは1年で売上2倍の実績を持つ。経営の様々なテーマに精通し、成長戦略策定や事業承継・M&Aコンサルティングで高い評価を得ている。