自動車販売/整備業の2024年M&Aの振り返り

皆様、いつも大変お世話になっております。株式会社船井総研あがたFAS マネージングディレクターの淵上幸憲と申します。

今回は「自動車販売/整備業の2024年M&Aの振り返り」について解説させていただきます。

昨今では自動車業界は100年に1度の変革期に突入といわれておりまして、あらゆる観点でのM&Aが急速に進んでいるところでございます。しかしながら、M&Aについては昨今様々な悪いニュースも出ている分、慎重に検討している方々も多いのではないでしょうか。

そこで本ブログでは、自動車業界の中でどのようなM&Aが急速に普及しているのか。またはM&A戦略を上手に活用しながら成長している企業はどんな特徴があるのかをお伝えしていきたいと思います。

時流1:ディーラー統合

近年ではディーラーの統合件数が急速に増えております。背景には各メーカーにて実店舗数が飽和状態になり、バッティングをしているケースが多発していることがあげられます。

以前は日本でもバブル崩壊(1991年)までに急速なモータリゼーションが起こり、その分店舗数も急速に増えておりました。しかしながら、その後はエコカーが台頭、さらには使用ビジネス(リースやレンタカー、カーシェアなど)が普及してきて、より販売店にとっては厳しい環境となりました。だからこそメーカー主導での統合が加速してこのような流れとなっているということです。

時流2:整備工場

整備工場のM&Aも加速しております。実際には2024年10月からOBD診断もスタートし、次世代の技術に対応できない工場が、これからの時代に適応しながら変化していくのは難しいです。だからこそM&Aを決断しよう、ということで進んでいるケースが多くなっております。

また2023年から大手中古車販売店併設型の整備工場での処分件数が多くなり、2024年では日本全国で246件の処分件数となり、これは過去10年で最高水準となっています。だからこそ指定工場の市場価値は高まっているので、このタイミングで前向きに譲渡を検討しようという企業も多くなっているというわけです。

時流3:カー用品店

大手カー用品店ではM&Aが急速に加速しております。それはカー用品事業だけでなく、中古車販売店や整備工場のM&Aを各地で進めており、カー用品販売事業だけでなく周辺事業まで強化して会社の成長を促進させるという動きが主流となっているからです。

近年ではカー用品についても技術が進歩して耐用年数が長くなっている背景があり、買い替え需要は減少しております。そんな中、車検客や自動車を購入するお客様へセットで販売をするビジネスを展開すると高い相乗効果が見込まれるという流れとなっております。

時流4:IT会社のM&A

実際には外部から自動車業種への参入も増えております。良くある例としてはHP制作や運用に長けている企業が実店舗をM&Aしてマーケティングの中でも特にプロモーションの部分でテストマーケティングを展開し、全国各地に展開しているという事例も多くあります。

自動車業界は仕入れなどが難しい分、新規参入の脅威としては障壁が非常に高いビジネスではありましたが、M&Aで展開をするとそれぞれの長所を活かして、急速に成長するモデルを実現できるという流れです。

時流5:ガソリンスタンド

ガソリンスタンドでも多方面のM&Aが増えております。次世代自動車が急速に展開している分、ガソリンの需要は著しく減少しております。一番ピーク時の1998年での国内においてのガソリンスタンド事業所数は3万以上でしたが、2024年ではすでに1.6万事業所と半減しております。

企業としてはガソリンスタンド同士の統合ももちろんですが、油外収益事業の強化ということで、自動車販売事業、整備事業、鈑金事業、レンタカー事業を展開している企業と一緒になって新しい形にしあげるという流れも各地域で展開されております。

時流6:タクシー

タクシー業界でも人不足の背景からM&Aが加速しております。ドライバーの高齢化が業界としては深刻な課題となりつつ、さらにはトッププレイヤーがデジタル化や囲い込みを上手に展開されているため、資本力が乏しい企業で展開するには難しい状況となっております。

さらにアメリカではすでに普及している自動運転タクシーがスタートすると、さらに業界再編が起こり統合の流れが強くなる可能性が高いので、2025年以降ももっと統合が加速すると考えられます。

本ブログでは2024年の業界内でのM&Aの振り返りをお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

上記6つの観点ではこれからもさらに進んでいくと考えられますし、また全体に共通する後継者不足という課題もより色濃く出てくる可能性があります。弊社としては経営活動をされている皆様をより元気にしていくことが、日本をより良くしていくことに繋がると確信しておりますので、それぞれの企業の一番幸せな形をこれからも提案させていただきます。

自動車販売・整備業のM&Aについて相談したい方はぜひ一度お問い合わせください。

自動車販売/整備業のM&Aに関する詳細な情報は、こちらをご覧ください。

1.自動車販売/整備業のM&AのTOP
2.自動車販売/整備業の2024年M&Aの振り返り
3.自動車販売/整備業のM&Aの特徴
4.自動車販売/整備業のM&Aのメリット・デメリット
5.自動車販売/整備業のM&Aの注意点
6.自動車販売/整備業M&Aの譲渡対価の相場観
7.自動車販売/整備業のM&A事例
8.自動車販売/整備業のM&Aの失敗事例

最後に、自動車業界向けのM&Aレポート「売主が必ず読む本」を下から無料でダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。

淵上 幸憲

(株)船井総研あがたFAS マネージングディレクター

自動車販売等モビリティ業界のコンサルティングとプロジェクトで豊富な実績を有する。中古車販売、整備、コーティング、レンタカーの業績アップでは1年で売上2倍の実績を持つ。経営の様々なテーマに精通し、成長戦略策定や事業承継・M&Aコンサルティングで高い評価を得ている。

淵上 幸憲

(株)船井総研あがたFAS マネージングディレクター

自動車販売等モビリティ業界のコンサルティングとプロジェクトで豊富な実績を有する。中古車販売、整備、コーティング、レンタカーの業績アップでは1年で売上2倍の実績を持つ。経営の様々なテーマに精通し、成長戦略策定や事業承継・M&Aコンサルティングで高い評価を得ている。