マッサージM&Aで廃業回避!リラクゼーション業界の譲渡相場と高値で譲渡する3つの秘訣

この記事では、マッサージ・リラクゼーション業界の経営者様に向けて、M&Aによる事業譲渡の現実的な相場、買い手が重視するポイント、そして「回数券」や「スタッフ離職」といった業界特有のトラブル回避策について、現場の事例を交えて専門家が解説します。

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1. マッサージM&Aとは? 整骨院業界とは異なる「リラクゼーション」特有の譲渡事情

マッサージ・リラクゼーション業界のM&Aは、国家資格が必要な整骨院や鍼灸院とは異なる独自の力学で動いています。「黒字なら譲渡できる」という単純なものではありません。ここでは、M&A市場におけるマッサージ店の立ち位置と、買い手の視点について解説します。

「譲渡できる店」と「できない店」の決定的な違い

M&A市場において、マッサージ店は「属人性の排除」ができているかどうかが評価の分かれ目となります。

オーナー自身が「ゴッドハンド」として現場で売上の大半を作っている場合、オーナーが抜けるM&A後は売上が激減するリスクがあるため、買い手がつきにくくなります。

逆に、オーナーが現場に出なくても、マニュアル化された技術とオペレーションで店舗が回っている「仕組み」がある店は、投資対象として高く評価されます。

利益が出ているだけでは売れない?「仕組み」の有無

買い手が見ているのは「現在の利益」よりも「将来の再現性」です。

例えば、特別なカリスマ性を持つスタッフに依存している店舗は、そのスタッフの離職=事業の崩壊を意味します。

誰が施術しても一定のクオリティを提供できる教育システムや、特定の個人ではなく「お店」にファンがついている状態を作ることが、譲渡への第一歩です。マッサージを施術する男性

買い手は誰か?「整骨院チェーン」が欲しがる理由

実は、マッサージ店を積極的に譲受しようとしているのは、同業のリラクゼーション業者だけではありません。むしろ、「整骨院グループ」が有力な買い手候補となります。

保険診療の単価減に苦しむ整骨院業界は、自費診療(整体やリラクゼーション)のノウハウと顧客基盤を求めています。

単価アップと自費診療への誘導戦略

整骨院チェーンにとって、マッサージ店を譲受することは「自費診療メニュー」を即座に手に入れることを意味します。

整骨院の既存顧客に対して、リラクゼーションメニューを提案することで顧客単価を上げたり、逆にリラクゼーション目的の顧客を治療(整骨)へ誘導したりするシナジー効果が期待できるため、多少のプレミアムを乗せてでも譲受するケースがあります。

2. マッサージM&Aの成功を左右する「3つの壁」と対策

マッサージ業界のM&Aには、他業種にはない特有の落とし穴があります。特に「人」と「お金(前受金)」の問題は、交渉の最終段階で破談になる最大の要因です。

【人の壁】業務委託スタッフの離脱を防ぐ

リラクゼーション業界の最大の特徴でありリスクなのが、施術スタッフの多くが「業務委託契約」であることです。

雇用契約ではないため、彼らは経営が変わると分かった瞬間に、より条件の良い店へ簡単に移ったり、独立したりする可能性があります。「オーナーが変わるなら辞めます」という集団離職は、M&A直後に最も恐れるべきシナリオです。

これ防ぐためには、M&A成立前から「集客は会社が全面的に行う(個人で集客しなくて良い)」「報酬比率は維持する」といったメリットを明確にし、会社に所属し続ける合理的な理由を作っておく必要があります。

「担当制にしない」がM&A成功の鍵になる理由

スタッフの離職に伴う顧客流出を防ぐための究極の策は、「担当制(指名制)にしない」、あるいは指名の比重を下げることです。

特定のスタッフに顧客がつきすぎると、「自分のお客さん」という意識が強くなり、独立心が芽生えやすくなります。

チーム制を導入したり、カルテを共有して誰でも施術できるようにすることで、顧客は「スタッフ」ではなく「店舗(ブランド)」のファンになります。これが、M&A時の資産価値を守ることにつながります。

【お金の壁】未消化回数券という「隠れ借金」

M&Aのデューデリジェンス(買収監査)で最も問題になるのが、「未消化の回数券」です。

多くのマッサージ店では、回数券を販売した時点で「売上」として計上しがちですが、会計上、サービスを提供していない分は「前受金」という「負債」です。

もし、未消化分が大量にある状態で譲渡しようとすると、買い手からすれば「お金はもらっていないのに、施術というサービス(コスト)だけ提供しなければならない借金」を引き継ぐことになります。その結果、企業価値(譲渡価格)から、未消化分の金額を差し引かれるケースがほとんどです。

 有効期限なしの回数券が命取りになるケース

さらに危険なのが、「有効期限のない回数券」です。

期限がない場合、その負債は半永久的に消えません。M&Aを検討し始めた段階で、新たに発行する回数券には必ず有効期限(半年〜1年など)を設けましょう。

期限が切れれば、その分は「営業外収益」として処理でき、簿外債務のリスクを減らすことができます。これは、買い手に安心感を与えるための必須の準備です。

【法律の壁】あはき法と広告規制のリスク

「マッサージ」という看板を掲げられるのは、本来は国家資格(あん摩マッサージ指圧師)を持つ施術所だけです。無資格のリラクゼーション店が「マッサージ」と広告することは法的にグレー、あるいはブラックです。

M&Aの際、コンプライアンスに厳しい大手企業ほど、この表記を嫌います。「リラクゼーション」「もみほぐし」といった適切な表記に改め、法的リスクをクリーンにしておくことが、スムーズな成約につながります。

3. マッサージ店の譲渡相場と価格の決まり方

では、実際にあなたの店はいくらで譲渡できるのでしょうか?業界の相場観と、少しでも高く評価してもらうためのポイントを解説します。

 相場は「時価純資産+営業利益の2〜3年分」

中小規模のマッサージ店M&Aでは、「年倍法(年買法)」という算出方法が一般的です。

譲渡価格 = 時価純資産 + (営業利益 × 2〜3年分)

ただし、マッサージ業界は参入障壁が低く、利益率も決して高くないため、営業権(のれん代)がつかない、つまり純資産価格のみでの評価となるケースも少なくありません。

「何億で譲渡できる」という過度な期待は持たず、まずは直近の決算書から冷静に自社の価値を把握することが大切です。

譲渡対価の決定要素について詳しく知りたい方はこちら

修正純資産法による算出イメージ

時価純資産とは、帳簿上の資産から、回収不能な売掛金や在庫の劣化分などを引き、前述の「未消化回数券(負債)」などを加味した実質的な資産価値です。
ここで簿外債務(未払残業代や未消化回数券)が多いと、最悪の場合、譲渡価格がゼロ、あるいはマイナス(逆にお金を払って引き取ってもらう)になる可能性もあります。

査定額を上げるために「今すぐ」できる準備

譲渡価格を少しでも上げるためには、数字には表れない「無形資産」をアピールすることです。
最も評価されるのは、「自社でコントロールできる集客チャネル」です。

ホットペッパービューティーなどの有料媒体に依存せず、自社のLINE公式アカウントやSNS、ブログ等でリピーターを囲い込めている場合、その顧客リスト自体に高い価値がつきます。「広告費をかけなくても集客できる仕組み」は、買い手にとって喉から手が出るほど欲しい資産です。

4. マッサージM&Aの具体的な流れと期間

M&Aは、思い立ってすぐに完了できるものではありません。一般的な流れと期間を把握しておきましょう。

 相談から成約まで(平均6ヶ月〜1年)

  1. M&A仲介会社への相談・契約:秘密保持契約を結び、自社の情報を開示して簡易査定を受けます。

  2. 買い手探し(マッチング):匿名情報(ノンネームシート)を使って買い手を募ります。

  3. トップ面談:興味を持った買い手と経営者同士が面談します。

  4. 基本合意・デューデリジェンス:独占交渉権を結び、詳細な監査を受けます。

  5. 最終契約・クロージング:譲渡対価の決済と事業の引き渡しを行います。

トップ面談で重視される「オーナーの人柄」

小規模M&Aでは、数字以上に「オーナーの誠実さ」が見られます。
「不都合な情報(スタッフの不満や設備の不具合)」を隠さずに話すかどうかが信用に直結します。嘘や隠し事はデューデリジェンスで必ずバレて、破談の直接的な原因になります。

デューデリジェンス(買収監査)でチェックされる項目

買い手は、財務、法務、人事などの専門家を入れて徹底的に調査します。
マッサージ店の場合、重点的に見られるのは以下の点です。

  • 回数券の残高と管理状況

  • 業務委託契約書の内容(偽装請負になっていないか)

  • 社会保険の加入状況(適用業種の場合)

  • 賃貸借契約の引き継ぎ可否

デューデリジェンスについてより詳しく知りたい方はこちら

5. 【まとめ】マッサージM&Aを成功させるために

マッサージ・リラクゼーション業界のM&Aは、整骨院などに比べて買い手がつきにくく、価格もシビアに見られる傾向があります。
しかし、「仕組み化された運営」「クリーンな会計(回数券管理)」「整骨院とのシナジー」というポイントを押さえれば、適正な価格で、従業員を守りながら事業をバトンタッチすることは十分に可能です。

専門家への早期相談が「良い買い手」と出会う近道

M&Aを検討し始めたら、まずは業界に詳しい専門家に相談することをお勧めします。
「自分の店にはどんなリスクがあるのか」「どうすれば高く評価されるのか」を客観的に診断してもらうことで、譲渡に向けた「磨き上げ」が可能になります。

知識を得るだけでは、未来は変わりません。 激変する環境下で、貴社の選択肢が狭まってしまう前に『攻めの出口戦略』を。

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マッサージ業界のM&Aについてよくあるご質問

Q1. 赤字のマッサージ店でもM&Aで譲渡できますか?
A. 可能です。立地が良い、スタッフが確保できている、固定患者リストがある場合は、赤字でも「事業譲渡」として買い手がつくケースがあります。特に新規出店コストを抑えたい整骨院グループなどが検討します。

Q2. 個人事業主ですが、店を譲渡することはできますか?
A. はい、「事業譲渡」というスキームで可能です。ただし、賃貸契約の名義変更や従業員(業務委託)の再契約などの手続きが煩雑になるため、専門家のサポートが不可欠です。

Q3. スタッフに知られずに譲渡活動を進められますか?
A. 可能です。M&Aは成約直前まで秘密裏に進めるのが鉄則です。情報漏洩はスタッフの離職を招くため、「ノンネーム(匿名)」で買い手を探し、最終段階でスタッフに説明します。

Q4. 回数券の未消化分はどう扱えばいいですか?
A. 会計上は「負債」となります。譲渡価格から未消化分を差し引くのが一般的です。トラブル防止のため、M&A検討段階から有効期限の設定や、買い手との精算方法を協議しておく必要があります。

Q5. 仲介手数料はどれくらいかかりますか?
A. 会社により異なりますが、最低報酬額(ミニマムフィー)として100万〜500万円程度設定されていることが多いです。小規模案件に強い仲介会社を選ぶことで、手数料を抑えられる場合があります。

宮澤 駿

(株)船井総研あがたFAS ディレクター

大学卒業後、2014年に株式会社船井総合研究所へ入社。「院長を経営者に」を大切にし、鍼灸整骨院業界の経営コンサルティングに従事。現在は、船井総研あがたFASを兼務し、約10年間のコンサルティングで得た経験と知見を元に鍼灸整骨院業界の市場規模拡大のためM&A・事業承継に注力している。

宮澤 駿

(株)船井総研あがたFAS ディレクター

大学卒業後、2014年に株式会社船井総合研究所へ入社。「院長を経営者に」を大切にし、鍼灸整骨院業界の経営コンサルティングに従事。現在は、船井総研あがたFASを兼務し、約10年間のコンサルティングで得た経験と知見を元に鍼灸整骨院業界の市場規模拡大のためM&A・事業承継に注力している。