船井総研 建設不動産支援本部 マネージングディレクターの中嶋です。本稿では住宅業・リフォーム業におけるM&Aの「リアルな相場」をお話していきます。
「いやいや・・・うちなんか企業価値つくのかわからないですよ」
「そもそも、相場がいくらかわからない」
というオーナー様こそ、是非お読みいただきたい記事です。
船井総研グループでは業種特化のコンサルティング実績・知見を基に、オーナー様には最高の形で承継ができるようなサービスを提供させていただくことを心がけております。
ぜひ、本稿をお読みいただき、譲渡対価のリアル相場をご確認いただければと思います。
“利益×倍率”だけで決まらないワケ
譲渡価格は一見シンプルに見えて、実は
①職人ネットワークの厚み
②OB顧客DBの質
③建設業許可・瑕疵保証の残存年数
④技術者(施工管理の有資格者)や職人(特に多能工)
という無形資産で大きくブレます。
例えば、あるリフォーム会社を買収した会社が「実質 EBITDA 5倍」という高値で提示しながら、協力職人300人の継続契約を条件に締結した例もあるほどです。「人と顧客を丸ごと買う」業界特性を踏まえないと紙の試算表は瞬時に崩壊します。
基本レンジは「EBITDA3倍」
地域密着のリフォーム会社や住宅会社(年商1〜10億円規模)であれば、EBITDAで見るなら3倍が目安です。もっと簡易に出すなら、「時価純資産+営業利益3年分(年倍法)」を当てれば大きく外しません。営業利益5,000万円・純資産3,000万円の会社なら、概算譲渡対価は約1.8億円となります。(※あくまで本当にザックリとした概算だと思ってください)しかし、
・多能工の自社職人、もしくは専属職人が多くついている場合
・技術者(有資格者の施工管理)が多く在籍している
・自社独自固有の技術がある
・経審や総合評価点の点数が高い(公共工事において)
などの場合、3倍からさらに跳ね上がることもあります。
“プレミアム乗せ”になる3条件
多能工を含む職人稼働率80%超
即戦力人員が読めるため EBITDA マルチプルが+〇倍。
10年以上蓄積した定期点検データ付きCRM
再工事率が高く、LTV が読めるぶん+〇倍。
自社施工比率60%以上かつ粗利40%台
資材高でも利益が毀損しにくく、金融機関がレバレッジを許容。結果としてキャッシュアウトの大きい買い手も応札しやすく、入札競争で相場を押し上げる。
船井総研ではオーナー経営者様に寄り添って、総合的な経営判断としてセカンドオピニオンサービスも行っております。建設業に特化したM&Aコンサルタントが対応させていただきます。買収によって事業をさらに推進したい・第三者承継を行いたい、という経営者様も、お気軽にご相談ください。
住宅/リフォーム業のM&Aに関するより詳しい情報は、下記の記事をご参照ください。
1.住宅/リフォーム業のTOP
2.住宅/リフォーム業のM&Aの失敗事例と注意点
3.住宅/リフォーム業の業界再編と主な目的
4.住宅/リフォーム業のM&Aのポイント
5.住宅/リフォーム業のM&Aの特徴
6.住宅/リフォーム業M&Aの譲渡対価の相場観
7.住宅/リフォーム業の社長に必ず考えて欲しい第三者承継