まず、大前提として住宅業界・リフォーム業界でのM&Aは活況です。
・リフォームを取り扱いたい住宅会社が買収する
・職人や技術者不足を解消するために買収する
・事業承継者がいないため、第三者承継を選択する
など、多くの事業者がM&Aに取り組んでいます。さらに、住宅業界・リフォーム業界では
「許認可+建設業法の専任技術者」「協力職人網」「OB顧客との長期関係」という3つの無形資産で回っています。デューデリを財務と人事だけで済ませるのではなく、
・自社の抱えるOB様の数
・自社職人・自社専属職人の数
・施工管理技士を保有する技術者の数
など、無形とも言われる資産が思わぬ評価につながることも多いです。「え、うちの会社がこんなに譲渡価格がつくの?」と驚かれる経営者様も多いほど。とはいえいいことばかりではなく、失敗もつきものです。今回は2つほど、実際の失敗事例を記載させていただきます。
失敗事例①某住宅会社の倒産劇
ある住宅会社が隣県の住宅会社を買収しました。隣県の同業を買収することで、事業のさらなる拡大・推進を図ったのです。しかし、その後どうなったか。なんと、その会社は
・クレーム乱発
・完工遅延により受注残が多く、完工スケジュールの見込みもない
・施工管理者のレベルが低く、受注粗利~完工粗利の乖離が高すぎる
という状況だったのです。これでは、買い手側も改善するのに相当な時間がかかります。
失敗事例② 看板目当ての買収でOB客が・・・
ある地域密着のリフォーム会社を、別地域の住宅会社が買収した事例がありました。そこで起こったことは「OBが一気に離反し、売り上げが急落した」です。譲渡社長が半年で勇退し、なんと翌期のOB様からの売上が約半分に急落しました。
理由はシンプルで、「近所の○○社長に頼みたい」地域密着型ビジネスで“顔役”を失ったからです。
「M&Aで第三者譲渡を行いたい」「事業成長の戦略の1つにM&Aを組み込みたい」という経営者様には、こういったM&Aの失敗事例は必ず頭に入れておいて欲しいです。
しかし、上記の事案は事前に防げる内容です。
・工事の遅延は発生していないか?
・完工粗利率の水準は業界レベルなのか
・クレーム率はどうなっているか?
・買収後のOB様フォローはどのように実施していくか?
など、対策することは可能です。
船井総研ではオーナー経営者様に寄り添って、総合的な経営判断としてセカンドオピニオンサービスも行っており、また企業価値についても住宅/リフォーム業に特化したM&Aコンサルタントが対応させていただきます。買収によって事業をさらに推進したい・第三者承継を行いたい、という経営者様も、お気軽にご相談ください。

住宅/リフォーム業のM&Aに関するより詳しい情報は、下記の記事をご参照ください。
1.住宅/リフォーム業のTOP
2.住宅/リフォーム業のM&Aの失敗事例と注意点
3.住宅/リフォーム業の業界再編と主な目的
4.住宅/リフォーム業のM&Aのポイント
5.住宅/リフォーム業のM&Aの特徴
6.住宅/リフォーム業M&Aの譲渡対価の相場観
7.住宅/リフォーム業の社長に必ず考えて欲しい第三者承継