船井総研 建設不動産支援本部 マネージングディレクターの中嶋です。今回は「建設業の社長に必ず考えてほしい第三者承継」についてお話させていただきます。
“会社を売る=身売り”の時代は終わった
これが一番伝えたいことです。
個人的なことですが、私は某地方都市(人口30万人ほどの田舎の市)の生まれで、父が電気工事会社(大分類では建設業)を営んでいます。私はもう父の家業を継がないと伝えています。
私の弟が継ぐ?ことになっていますが、社長である父が還暦を迎えた今でも「僕が継ぎます」と宣言をしていない状態。
そこで、社長である父に「M&Aによる第三者承継は考えないの?」と聞くと、決まって「それは難しい問題だから」で止まってしまいます。このような状況は、私の実家だけでなく、日本中の中小企業でも見られるのではないでしょうか。しかし、
・会社を売るというのは、身売りであり、考えるべきことではない。
・従業員や関係業者への恩知らず。
・そもそも第三者承継(売却)は悪であるかのような認識。
10年前と比べると、M&Aに対する認識は大きく変わってきていますが、現在もこのような認識が残っているのも事実です。
しかし、そうではないのです。第三者承継(売却)は企業が持続的に成長するための重要な戦略の1つなのです。
むしろ、第三者承継を行い
「会社の業績が伸びて、もっと成長した!」
「従業員の待遇が上がった!」
「(雇われ社長を続けて)役員報酬が上がった!」
「後継者不足を解消できた!」
と、プラスのお声を頂くことの方が多いです。
では、そのような実体験をされたオーナー様が何を考えその決断をしたのか?や、業界的な背景をお伝えできればと思います。ぜひ、1人でも多くの「会社の未来に悩んだことのあるオーナー様」に知って頂ければと思います。
”売却=悪”という幻想
例えば、リフォーム会社A社様が売却した後の話です。このリフォーム会社様は地域でも有力な事業者で、業界内での認知度も高かったのですが、社長の後継者不在・高齢化から売却を決意しました。社長様は当然、すぐに経営の現場から離れるわけではなく、数年の会長期間を経て退任するつもりだったとのこと。そんな会社様が第三者承継後どうなったか?
・買収元の企業の顧客リストに販売したことによって、販促コストを抑えながら受注額増加に成功。
・受注増加により、職人さんに安定して仕事を渡せるようになった。
・買収元は大手企業であったため、従業員の待遇も大幅に改善。
グループインしたことによって、会社が良くなったのです。以前は会社を売却するというと「調子が悪くなったのか?」とか、マイナスイメージが大きかったのですが、条件面も整えてしっかりとした状態で実施することができれば、素晴らしい経営戦略となり得るのです。
建設業は全国で約48万社あります。その中で、代表者が60歳を過ぎている法人は約44%という調査があります。建設業界における「後継者不足」は60%という調査もあり、それらを掛け合わせると代表者が60歳以上かつ後継者不足の事業者は約12.6万社あります。
住宅業界・リフォーム業界においては、社長が60代を迎えると 「後継者がいないから店舗を閉じる」 という選択肢しかない・・・。そんな“常識”が今も根強く残っています。
しかし実際には、協力職人網・OB顧客・建設業許可 という3大資産さえ整っていれば、第三者承継(外部への株式譲渡) を選ぶことで会社はむしろ“第二の成長曲線”に乗れる時代になっています。
船井総研ではオーナー経営者様に寄り添って、総合的な経営判断としてセカンドオピニオンサービスも行っております。建設業に特化したM&Aコンサルタントが対応させていただきます。買収によって事業をさらに推進したい・第三者承継を行いたい、という経営者様も、お気軽にご相談ください。
住宅/リフォーム業のM&Aに関するより詳しい情報は、下記の記事をご参照ください。
1.住宅/リフォーム業のTOP
2.住宅/リフォーム業のM&Aの失敗事例と注意点
3.住宅/リフォーム業の業界再編と主な目的
4.住宅/リフォーム業のM&Aのポイント
5.住宅/リフォーム業のM&Aの特徴
6.住宅/リフォーム業M&Aの譲渡対価の相場観
7.住宅/リフォーム業の社長に必ず考えて欲しい第三者承継