左: 株式会社キンポーメルテック 取締役会長 野沢稔弘氏
右: 株式会社技術承継機構 取締役承継支援部長 堀江 藍子氏
今回、精密板金加工を営む株式会社キンポーメルテック様が、株式会社技術承継機構様へ株式譲渡されたことについて、株式会社キンポーメルテック 取締役会長の野沢稔弘様、株式会社技術承継機構 取締役承継支援部長の堀江藍子様にお話をお伺いさせていただきました。
このインタビュー内容は2025年7月に開催する「部品加工業M&Aセミナー」で本編収録されておりますので、ご興味をお持ちいただけましたら、是非セミナーに申し込みいただき、ご視聴いただけると幸いです。
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会社紹介について
堀江氏:技術承継機構は、日本の製造業が培ってきた技術や技能を次世代へと繋ぐことを使命とし、約7年前に設立。主な事業内容は、後継者不足や更なる成長に課題を抱える製造業の会社様を譲り受け、その経営に取り組むことです。
現在、10社(※インタビュー当時)の企業が私たちの仲間に加わっております。新たな仲間を迎え入れることと、迎え入れた一社一社の経営を支援すること、この2つのサイクルを継続的に回すことで成長を続けている会社です。 また、他社に真似できない独自技術を重視しております。ここでいう技術は、必ずしも最先端のものである必要はなく、その会社にしか作れない製品や、その製造方法や体制に独自の工夫があれば一つの重要な技術と捉えております。
野沢氏:昭和6年創業の弊社は、飾り職人だった先祖が踊った「金宝(きんぼう)」を社名に冠します。二代目社長時代は養蚕機械で全国展開しましたが、養蚕業衰退後、モーター部品加工を経て、そして現在の主力である精密板金加工業へと転換しました。
私が継承後は、安定経営を目指して取引先を増やし、安定的な仕事とそうでない仕事を組み合わせることで業績は安定しています。他社との差別化として、精密板金加工業に加えて15年以上前からレーザーによる薄膜・微細加工技術の開発にも注力しています。
キンポーメルテックにアプローチした理由や背景
堀江氏:キンポーメルテックには、2つの素晴らしい点があると感じ、お声掛けいたしました。 1点目は、他社には真似できない独自の高い技術力をお持ちであることです。特に溶接技術は非常に優れており、見ればすぐにキンポーメルテックの仕事だとわかるほどです。
熟練の技術者の方だけでなく、ベトナムからの実習生の皆様もその高い技術を実現されていると伺い、技術を教えるノウハウもしっかりと確立されていることに感銘を受けました。 2点目は、顧客の分散がしっかりとされており、非常に安定した経営基盤を築かれていることです。特定の一社に依存することなく、多くのお客様との取引があることは、会社の安定に繋がる重要な要素であり、キンポーメルテックの素晴らしい点だと感じております。
譲渡候補先の中で、技術承継機構を選ばれた理由
野沢氏:元々、「特定の企業の色に染まりたくない」という思いがありました。実は、これまで長年の主要取引先や、近隣の企業など、これまでにもいくつかの譲受のお話がありましたが、どの選択肢を選んだとしても、私がこれまで築き上げてきたもの、特に少しずつ良くなってきている部分を失ってしまうのではないかという懸念がありました。 技術承継機構は、特定の企業に統合されるのではなく、独立性を保ちながら事業を継続できるという点に強く惹かれ、技術承継機構にお願いすることを決めました。
譲受した後の企業様への経営の関わり方
堀江氏:はい。経営のご支援の方針としましては自主独立を重んじます。必要な改善はしっかりやっていくことに加えて、その会社が一社一社で自走できるための体制を整えるということを重視して取り組んでおります。その中で3つの特徴があります。
1つ目はグループ間での連携を積極的に推進しているというところです。具体的には、営業面では、グループ間でお客様を紹介し合うということ、例えば機械メーカーが部品メーカーに部品を発注するような形でグループ間での受発注を積極的に促しています。また、製造の面では、各社が現場を訪問し合って技術を学び合うことをやっています。
人事面では、合同研修を積極的にやっておりまして例えば 新卒合同研修をやったり、次世代の経営人材を集めた研修をやっています。
2つ目は、、、
>>残りの特徴は下記「部品加工業M&Aセミナー」にて解説いたします。

グループインの前と後でイメージのギャップ
野沢氏:いや、あんまりないですね。凄い経歴の方々がうちに来て、一人ひとりと面談して、「こんな問題がありますよね」「この課題をどうやっていきましょうか」と一生懸命考えてくださって。
我々が取り組みながら、「これはこうやって、あれはこうやって」といろんなアイデアを出して解決してくださっているのを見ると、すごくありがたいなっていう感じです。「これから支配するから、お前らこうやれ」みたいなことも一切ないですし、、現場はほとんど変わってないです。頭だけ変わったんだ、みたいな感じです。
キンポーメルテックの今後の目標
野沢氏 :AIやロボット技術が進展する一方で、板金加工の仕事は設計が最終工程となるため、開発期間が短く自動化が遅れる傾向にあります。そのため、手作業に対応できる技能者のいる企業に仕事が集まるようになると考えられます。
従来は仕事があるから人が集まっていましたが。今後は人がいるから仕事が集まるという構造に変化していく可能性があり、弊社にとって熟練技能者の育成が最も重要です。もし技能者がいなくなれば、仕事は失われていくでしょう。
このような変化に対応するため、営業構造を変革し、特定の顧客に依存しない体制を築く必要があります。多様な顧客との取引経験を活かし、時代の変化に左右されない安定した経営を目指すべきだと考えます。
技術承継機構のM&A戦略
堀江氏:弊社のM&A戦略の特徴は3つあると思っております。
1つ目が譲り受けた株式を再譲渡しないということです。譲り受けた会社の永続的な成長のためには何が必要かということを第一に掲げて何事も取り組んでおります。ファンドさんですとやはり再譲渡が前提となりますので、設備投資を一時的に絞るなど、短期的な利益追求に囚われてしまいます。
私どもの場合は永続的成長が最優先ですので、これまでオーナーの皆様がやってこられた考え方と一致する形でやらせていただくということができるかなという風に考えております。
2点目が譲り受けした会社の自主独立を重視していることです。会社名や雇用、取引先との取引関係は維持する方針でございますので、取引先だけでなく、従業員の方々にも説明がしやすいというところもございます。
3点目は、製造業に特化して譲り受けをしているというところでございます。製造業に特化するからこそ、製造業独自の課題や改善をノウハウとして蓄積していくことができるというところでございます。これがグループに横展開してグループ自体の成長もできるということに繋がってるんじゃないかというふうに考えております。製造業に特化しておりますが、業種は結構分散させております。これはお客様を分散させることでグループ全体で見た時には景気の波に翻弄されない強いグループになっているというところを目指してそういった形を作らせていただいております。
本インタビューはごく一部です。全編のセミナーでは、上記以外の質問にも詳しく説明しております。詳細な内容は無料セミナーを開催しておりますので、お申込みください。
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まとめ
本稿では、製造業におけるM&Aの実例のインタビューをご覧いただきました。M&Aは経験する機会が限られるケースが多い為、慎重な検討が求められます。M&Aのメリット・デメリットを深く理解し、ご自身のライフプランや大切な自社にとって善い判断となり得るか見極めることが重要です。
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1.製造業M&AのTOP
2.製造業M&A【譲受企業】のメリット・デメリット
3.製造業/商社の経営者がM&Aを考え始める7つのきっかけ
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