近年、後継者不足や事業承継問題が深刻化する中で、M&A機会が増大しています。本稿では、M&Aによる成長戦略を検討されているご経営者に向けて、製造業・商社のM&Aにおける譲受側のそれぞれのメリット・デメリットを詳しく解説いたします。
1. 製造業のM&A(譲受側)のメリット
①販路な地域・顧客層への販路拡大
譲渡側の企業が持つ地域的な強みや、これまで築き上げてきた顧客基盤を引き継ぐことで、自社の事業エリアやターゲット顧客層を迅速に拡大することができます。これは、新規市場への参入障壁を低く抑える効果があります。 例えば、関西の譲受会社が関東の譲渡会社をM&Aすることにより、関西への販路拡大につながります。拠点が増えることで配送コストを削減できるケースもあります。
② 新規取引先との関係構築と他業界への展開
譲渡側の企業が持つ独自の取引先ネットワークや、異なる業界とのつながりを活用することで、新たなビジネスチャンスを創出し、事業領域の多角化を図ることができます。 産業機器向けの仕事が中心の加工メーカーが医療向けの仕事を獲得するなど、他業界の販路を拡大することができます。事業領域の多角化という観点では、水平展開として例えば、コンプレッサーやコンベアベルトなど工場の機械装置を販売している機械工具商社が加工業の会社を買収することにより、商社でありながら加工機能を付加することができます。
③ 相互技術補完による技術力向上と新製品開発
譲渡側と譲受側の企業がそれぞれ持つ独自の技術やノウハウを組み合わせることで、相乗効果が生まれ、技術力の向上や革新的な新製品・サービスの開発を促進することができます。
④ 工程の内製化による生産体制の強化とリードタイム短縮
譲渡側の企業が特定の生産工程や部品製造の内製化技術を持っている場合、それを自社に取り込むことで、生産体制の強化、品質管理の向上、そして製品のリードタイム短縮につなげることができます。
⑤ 販売チャネルの多様化と顧客接点の強化
譲渡側の企業が持つ既存の販売チャネルや顧客接点を活用することで、自社の販売網を拡充し、より多くの顧客との接点を構築することができます。これにより、顧客ニーズの把握やマーケティング戦略の強化につながります。
2. 製造業のM&A(譲受側)のデメリット
もちろん、製造業のM&A(譲受側)にも注意すべきデメリットが存在します。
①高い買収コストと財務負担の増加
規模によっては多額の買収資金が必要となり、自己資金の減少や借入金の増加を招き、財務体質を悪化させる可能性があります。また、M&Aを実施するにあたり、多くの工数が必要となります。
② 事業シナジー効果の不確実性
事前の想定ほど技術、販路、顧客などのシナジー効果が発揮されず、期待した効果が得られない可能性があります。綿密な情報統制と慎重な見極めを行いながら進める必要があります。
3. 【事例】西日本金属工作機械製造業のO社事例
【譲受企業:O社】
業種 :金属工作機械製造業・機械設計業
売上 :約15億円
注力分野:非車載
【譲渡企業】
業種 :動力伝導装置製造業
売上 :約1~5億円
注力分野:車載
O社はこれまで非車載分野に特化したビジネスを展開していましたが、M&Aによって車載分野の企業を譲り受けました。このM&Aの主な目的は、事業の分散化による経営全体の安定化です。
当初期待されていた製造工程における技術的なシナジー効果は、M&A後すぐに現れてはいません。しかし、両社間で着実に相互理解を深める努力が続けられています。
この事例が示すのは、M&Aが単に水平展開、垂直展開、あるいは販路拡大だけを目的とするものではないという点です。O社のケースのように、経営基盤の安定化を主眼に置いたM&Aも存在します。昨今の厳しい市場変動の中で、製造業が車載と非車載の両分野にビジネスを展開することは、事業の安定化を実現するための有効な戦略と言えるでしょう。
まとめ
本稿では、製造業・商社のM&Aにおける譲受側のメリット・デメリットについて解説しました。M&Aは企業にとって大きな成長戦略であると同時に、慎重な検討が求められます。M&Aのメリット・デメリットを深く理解し、自社の戦略や目標に合致するかどうかを見極めることが重要です。
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製造業のM&Aについて詳しく知りたい方は、下記よりご確認ください。
1.製造業M&AのTOP
2.製造業M&A【譲受企業】のメリット・デメリット
3.製造業/商社の経営者がM&Aを考え始める7つのきっかけ
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