製造業

再々編期での更なる成長を目指すためグループイン型M&Aへ

左: 株式会社新栄工業 代表取締役社長 中村 新一氏 
右: アポロ工業株式会社 取締役 小田 省一氏

オーナー経営者の株式を第三者に譲渡しつつ、譲渡した側のご子息や譲渡後も一緒に働く元オーナーとの関わり方、個人補償の解除や資金管理も含めてスムーズな事業承継を実施された事例をご紹介いたします。

アポロ工業株式会社 小田省一氏 は2008年の入社以来、先代社長のもとで実務に従事。2020年の年始に突然、父からM&Aをすることを聞かされ、中村 新一氏が代表を務める株式会社新栄工業にグループインすることに。オーナー後継者の立場からM&Aを経験した中で、現在はアポロ工業の取締役に就任するだけでなく、新栄ホールディングス株式会社にも在籍し、グループ企業の中核として活躍中。新栄ホールディングスグループは、3社のシナジー効果で業績を拡大している業界団体やメディアに多く取り上げられてる注目の企業です。

今回はアポロ工業様が新栄ホールディングス様へ株式譲渡されたことについてアポロ工業株式会社の取締役である小田省一氏のインタビューから、M&Aにおける本音や成功の秘訣を探ります。

企業紹介

新栄ホールディングス株式会社
金型をコア事業とするものづくりの未来を創造する持株会社です。グループ会社である株式会社新栄工業、アポロ工業株式会社、飯能精密工業株式会社の3社のシナジー効果で業績を拡大しています。

株式会社新栄工業
金型設計から個別包装まで一貫対応する金型設計・製作・金属プレス加工メーカー

アポロ工業株式会社
精密金型・治工具類の設計・製作からプレス加工・組付作業まで一貫対応会社

飯能精密工業株式会社
プレス金型設計・製作、プレス加工・組立試作から量産のワンストップ対応会社

金型業界の現状とM&Aの必要性

2009年・2010年に大手3社の再編が起こってから15年が経過しました 。この間、金型業界の事業所数は2009年の9,680所から2022年には4,357所へと減少し 、従業員数も92,181人から77,035人へと減少しています 。今後は、EVの製造方法の変化や、産業構造がハードウェアからソフトウェアへと変化することなどにより、国内の金型需要の減少は避けられないとされています 。このような「再々編期」を迎える金型業界において、M&Aは新たな経営のヒントとなる重要な戦略です 。

アポロ工業株式会社小田取締役のM&A体験談

創業から現在までの沿革、事業概要を教えてください。

小田氏:アポロ工業は今の中村で三代目になる会社で、うちの父と叔父が興したプレス業の会社です。特徴は精密金型の製作や旋盤を使用した「みんなができない技術」を提供していくことを理念に活動していました。入社した当時は鉄鋼製品の扱いが多く、自動車関係の製品加工をしていましたが、リーマンショックの影響や震災影響により、売上が徐々に落ち込んできていました。

当時社長であるお父様からM&Aの話を聞かされた時の心境はどうでしたか?

小田氏:父はM&Aを進めるにあたって、原則であるクロージングまでは周囲の誰にも伝えないルールを忠実に守っていました。そのため、父から正月にM&Aの契約が完了した話を聞いたとき、突然すぎて「ふざけるな!」と感情があらわになりました。そのため、当初は中村社長にも敵対心しかなく、従業員を連れてどのように 辞めようかしか考えられないくらいの衝撃がありました。

それから、従業員からしたら、私も承知の上でM&Aを進めていたと思われていたため、 M&Aをした最初のうちは従業員から私にクレームが来て、自分も知らなかったことを伝えました。とはいえ、新しい社長の様子もわからないし、1ヶ月間は様子を見るようになだめ、 やめる準備もしながら、社長の思いも受け入れる努力もしてみました。そうした中で中村社長と会話する機会も多くあり、押し付けでなく、「一緒に成長していきたい 」という思いを頻繁に口にしていただき、私が当初思っていたイメージと随分と違うな・・・と。

中村社長と会話をする前は、私が先代社長の親族であるため「 邪魔者扱いされるだろう。」と感じていましたが、全然違いました。お客様のところに行くとよくやってくれているとほめてもくれるし、悩みを相談 すると一緒に取り組んでもくれました。 そんな中、大きな転機となることがありました。 詳細は省きますがその転機を乗り越えたときに「従業員をこの社長になら任せていける 」辞めて従業員と苦しい思いをするのであれば「 新栄工業の一員としてこのまま任せて行きたい 」と思い、現在に至らいます。

新栄ホールディングスグループに入ったことで変わったことはありますか?

小田氏:企業規模が大きくなったことで、顧客要望に応えやすくなりました。アポロ工業1社だけではキャパオーバーになるような仕事量もグループ全体でこなすことができます。また、九州などの遠方からご相談があった際には中村社長と同時に訪問することができ、現地に拠点まで獲得でき、新規顧客の獲得による受注拡大を実現することができました。

数字の点でも、売上規模も1.5倍になってきており、将来的には2倍くらいまでは伸びる見込みです。今まで新栄工業の顧客からもアポロ工業にも仕事をいただき、飯能精密工業(もう1社のグループ会社)と一緒に仕事をするシナジー効果も出てきています。人材教育という観点でも成長しやすい環境になっているのではないかと思います。グループ企業間で技術交流なども定期的にあり、伸び伸びした雰囲気でいいですね。 

最後に今後M&Aを考えている経営者の方にアドバイスをお願いします。

小田氏:当然ケースによって違いはあると思いますが、迷っている方がおられればまずは色んな所でお話を聞いてみることが良いと思います。私の場合は、M&Aにより 一人で悩むことがなくなりましたし会社もM&Aをすることで従業員の方の働き方・意識も変わると感じています。安心していただければと。

また、私は社内に残ることもでき、本当にいいことだらけで従業員の目の色も変わってきて、グループ会社はいいと感じています。自分はM&Aをされる側も、する側も経験できました。まずはされる側の気持ちからすると、まずは一回、M&Aをした側の意見を受け入れてみるというのはいいかもしれないですね。従業員は急な知らせで戸惑っているので。

M&Aをする側の場合、グループジョインしていくので、今までのやり方を尊重しながら、提案していくことが大事だなと。それを継続していくことで、従業員の人がいい意味で尊敬してくれるようになります。絶対にやってはいけないのが、上から押し付けることですね。お互いが尊重することで規模・技術・対応力を含めて、プラスに働きます。M&Aは企業を成長させるために、とても有効な手段と感じています。

こんなお悩みをお持ちの方はぜひ一度ご連絡を!

  • 社員に会社を引き継ぎたいが、個人保証や譲渡金額がネックになり、なかなか事業承継を進めることができない
  • 会社の資金繰りや資金調達全般はオーナーしか触ってこなかったので、資金管理の承継が難しい
  • 後継として経営者になってもらいたいが、いろいろなリスクを考えると思うように承継が進められない

本稿では、製造業におけるM&Aの実例のインタビューをご覧いただきました。M&Aは経験する機会が限られるケースが多い為、慎重な検討が求められます。M&Aのメリット・デメリットを深く理解し、ご自身のライフプランや大切な自社にとって善い判断となり得るか見極めることが重要です。

今後M&Aによる出口戦略をお考えのご経営者は、下記より製造業/商社専門のコンサルタントへお問い合わせください。また、無料で企業価値算定も実施しております。ご経営者の今後に寄与できますと幸いです。

製造業のM&Aについて詳しく知りたい方は、下記よりご確認ください。

1.製造業M&AのTOP
2.製造業M&A【譲受企業】のメリット・デメリット
3.製造業/商社の経営者がM&Aを考え始める7つのきっかけ

最後に「売主が必ず読む本」を下から無料でダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。


木山 滉介

(株)船井総研あがたFAS シニアコンサルタント

大学卒業後、トヨタ自動車株式会社にてエンジンの生産技術者としてレクサス、ランドクルーザーの新規生産ラインの立ち上げに従事。その後大手M&A仲介会社にて経験を積んだ後、当社では生産技術の知見を活かし製造業の事業承継コンサルティングに取り組んでいる。

木山 滉介

(株)船井総研あがたFAS シニアコンサルタント

大学卒業後、トヨタ自動車株式会社にてエンジンの生産技術者としてレクサス、ランドクルーザーの新規生産ラインの立ち上げに従事。その後大手M&A仲介会社にて経験を積んだ後、当社では生産技術の知見を活かし製造業の事業承継コンサルティングに取り組んでいる。