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パチンコ業界における従業員承継は実現しうるのか、前回の続きからパチンコM&A専門コンサルタントより解説いたします。
パチンコ業界の従業員承継前回コラムはこちらから
SPCB社が調達した資金は、「譲渡企業A社株式の購入費用」及び「SPCB社の運転資金」に充てられます。残留した譲渡企業A社のオーナーはSPCB社に株式を譲渡することで退職金を得ることになる。そして、SPCB社は、後継者(従業員)個人の資金調達能力に頼ることなく、融資を受けることに成功しています。繰り返しになりますが、金融機関は、事業収支+A社オーナーの役員報酬(B社に事業が移れば0円になるので)という返済能力を担保に融資を実行。もちろん、SPCB社に移管された事業が未来においても必要と判断され、そして、後継者(従業員)の経営者としての能力がそれに足ると判断されることで実現する資金調達スキームです。すべての企業様で成立する事業承継スキームではないと考えられますが、ただ、他業種においては、実現している事例が出てきて来ているという点に注目いただければと思います。
また、その事例においては、資金調達に成功したSPCB社は譲渡企業A社と合併。合併後、SPCB社は解散しています。また、もちろんですが、A社オーナーが退職金を受け取り、退任した後の合併です。少々複雑な引継ぎとなっていますが、円満に従業員承継が成立した事例といえます。金融機関の協力が必須な事業承継スキームですが、そんな事業承継を応援してくれる金融機関が増える傾向にあることも実感できるスキームです。
長年、パチンコ業界に従事している我々としては、パチンコ業界の特殊性や独特な商慣習等にいわば心酔しがちです。確かに、誇りに思えることも多いですし、他業種よりも秀でている点も多い。ただ、約30年近くパチンコ業界に従事している私としては、「パチンコ業界は特別」という発想を疑い、そして、それを上手に乗り越えることで何度も良いブレイクスルーを得たと感じています。
少々我田引水な結論かもしれませんが、今回の従業員承継も然りかと思います。「投資額が大きいパチンコ業界では無理では?」などという発想に陥らず、「そのような承継方法も一理ある。(自社に相応しいかは別として)自社の業績を伸ばす手段として可能性を情報収集してみよう」と、柔軟に考え方を受け入れることも有効と思えた次第です。というのも、非常識と思えることが常識に変わるのが時流で、その時流に適応することこそ、最も有効な業績アップ原則。時流適応に成功する第一歩は「非常識が常識に変わるかも」と、非常識を疑うことからです。従業員承継に限らず、時流適応による業績アップ原則ということもお伝えできればと思います。
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奥野 倫充
(株)船井総研あがたFAS ディレクター
1996年に船井総合研究所に入社。1998年よりパチンコ業界のコンサルティングに従事している。2019年にパチンコ法人のM&A仲介案件を経験。その後、レジャー産業事業者向けM&Aコンサルティングに従事している。
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