株式会社船井総研あがたFASは、株式会社船井総合研究所が主催する「第99回経営戦略セミナー 経営研究会全国大会2026」において、2026年8月20日、「100億企業を実現するM&A戦略 ―「自社OS」の確立による非連続的成長の実践ステップ ―― 買える会社になるための、順番と型 ――」と題した講座を担当しました。登壇したのは代表取締役社長の光田卓司です。案件の探し方を扱う講座ではなく、M&Aを自社の経営にどう組み込むかを順番と型で示す内容でした。
開催概要
- 大会:第99回経営戦略セミナー 経営研究会全国大会2026(主催:株式会社船井総合研究所/8月19日〜23日・メイン日8月20日)
- 日程・会場:2026年8月20日/グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
- 開催枠:8月20日のランチタイムセミナー全12講座のうちの1講座(企業価値向上経営フォーラム M&A分科会 特別セミナー)
- 講座:「100億企業を実現するM&A戦略 ―「自社OS」の確立による非連続的成長の実践ステップ ―― 買える会社になるための、順番と型 ――」
- 登壇者:光田卓司(株式会社船井総研あがたFAS 代表取締役社長)
積み上げだけでは、売上100億円に届かない
営業力の強化や新規出店の積み上げだけで売上100億円に届く会社は多くありません。講座はこの話から始まりました。人口減少と人手不足のスピードに、オーガニック成長では追いつけないためです。年商30〜50億円は社長の目が届く限界で、既存事業の伸びしろが鈍化する帯域でもあると、光田は補いました。
拠点や人材、顧客、許認可をゼロから用意すれば、相応の時間がかかります。M&Aならそれらを「すでにある状態」で引き継げるので、その分の時間を買うことにあたります。
外部環境も追い風です。中小企業庁が中小企業の規模拡大・中堅企業化を推進しており税制優遇・補助金・金融支援がこの方向に集まっていること、賃上げや週休二日、DX投資、省力化投資はいずれも規模の経済が効く領域であること、地方で高水準の賃金とキャリア機会を提供する中核企業を強くすることが人口流出の抑制につながることの3点です。光田はこれらを挙げました。

3つの壁の正体は、自社に判断基準がないこと
ここから講座の中心に入ります。M&Aが進まない原因は案件の側ではなく、譲り受ける側の準備にあります。光田はこの点を繰り返し述べました。相談で挙がる壁は、次の3つでした。
- 案件が入ってこない、判断できない:方針が明確でないため良い案件が持ち込まれない
- 投資余力が不透明:借入余力や譲受可能額を把握しておらず、具体化した瞬間に止まる
- 成功イメージが持てない:統合の進め方が分からず、最後の一歩が止まる
3つとも根は同じで、自社に判断基準がないことから生まれます。なかでも最大の壁は「なぜやるのか」の弱さです。目的が言語化されていなければ検討が長引き、条件に合わない案件を断ることもできません。逆に基準があれば即断できるので、良い案件はそちらに集まります。光田はここを最初に手をつける場所と位置づけました。
言語化の順番も具体的です。ビジョンを描き、足りない機能を特定し(エリア・商品・人材・許認可・技術)、M&A方針を決め(どの領域を、どの規模で、いくらで)、譲受の判断基準をつくる、という4ステップが示されました。
「単なる規模拡大を目的としたM&A」ではなく、「自社OSの上に載せるプラットフォーム型」
型を持たないまま業種も規模もばらばらな会社を次々に譲り受けるやり方「単なる規模拡大を目的としたM&A」では、統合シナジーが生まれず、管理コストと人件費だけが膨らみ、文化摩擦でキーマンが離職していくためです。
確立した自社OSの上に譲受先を載せていくのが、「自社OSの上に載せるプラットフォーム型」です。譲り受けた直後から自社OSを注入して業績を上げられ、再現性があるぶん2件目3件目が速くなります。光田は後者を勧めました。
自社OSの4要素
その自社OSとして挙げたのが、次の要素です。
- 集客・営業:デジタルマーケティング、標準化された提案プロセス、価格設計。譲受先の商材を自社の販売網に載せ、着任初月から売上を上げる
- 採用・育成:求人媒体の運用、採用ブランディング、初期教育と評価の仕組み。譲受先が最も困っている人手不足を自社の採用体制で解消する
- 業績管理:月次決算の早期化、KPIの可視化、部門別の採算管理。感覚経営から数値経営へ切り替える
4つめがガバナンスです。労務管理、コンプライアンス、安全衛生、基幹システムの統合を指し、リスクを抑えて金融機関からも取引先からも信頼される組織基盤をつくります。ただし最初から4つ全部を完璧にする必要はなく、多くの成功企業は集客・営業のOSが突出して強くなっています。これが光田の見方でした。
1件目は小さく始める
初めてのM&Aで大金を投じるのはリスクが高く、失敗しても本業が揺らがない金額から始めるのが鉄則です。本業のキャッシュフローで吸収できること、統合を経験してはじめて社内にノウハウと担当者が育つこと、1件やると次に譲り受けるべき会社の像が言語化されることです。光田はこの3点を理由に挙げました。
回数を重ねるほど上手くなる、という整理もありました。1件目で型をつくり、3件目で判断軸が言語化されて検討期間が短くなり、10件目では「あの会社は決めるのが速い」と評判が立って案件が集まるようになります。

統合は、理念より数字を先に置く
統合の進め方にも順番があります。譲り渡した側の社員が最初に気にするのは給与と雇用なので、理念やビジョンを最初に語っても届きにくいためです。
マーケティングのノウハウを注入して問い合わせと受注を引き上げ、KPI管理で弱いプロセスを補い、上がった業績を原資に給与・休日・労働環境を改善します。信頼が生まれてから制度と文化の統合に進むのが最短ルートだと、光田は説明しました。
当社自身の統合を例として
講座の最後に例として挙がったのは、当社自身の統合です。MIコンサルティングのグループインが2025年7月、法人としての合併は2026年7月1日でした。先に組織と営業を融合させ、現場が回ることを確かめてから合併に踏み切っています。専務取締役にはMIコンサルティング代表の鏡味氏が就任しました。
結論は、自社OS(集客・営業/採用・育成/業績管理/ガバナンス)×他社リソース(拠点・人材・顧客・許認可・時間)=非連続成長という式です。一発逆転ではなく自社の型を載せた分だけ伸びる計算できる投資であること、自社OSの言語化と財務許容度の算定は案件がなくても着手できることです。光田はこの2点を挙げて締めくくりました。
どの段階から相談しても、当社で完結します
案件を探す前の段階でつまずくのは、相談する相手が分かれるからです。自社OSの言語化は経営コンサルタント、投資余力の算定は税理士や会計士、譲り受けた後の立て直しはまた別の相手、というふうに持ち込む先が散らばります。
自社OSを言語化する、投資余力を算定する、相手を探して交渉する、譲り受けた後に伸ばす ― どの段階から相談しても、当社で完結します。
- 自社OSの言語化と、対象業種の見立て:船井総合研究所の業種専門コンサルタントが担当します。その数は約700名、扱う業種は180を超えます。年間のクライアント数は約6,000社です
- 投資余力と譲受可能額の算定、税務:税理士と公認会計士が担当します。当社は船井総研ホールディングスとあがたグローバル経営グループの合弁会社で、取締役の多賀谷博康は米国公認会計士および税理士として、あがたグローバル税理士法人の東京事務所長を務めています
- 相手探しと交渉:M&Aアドバイザリーの担当者が進めます。船井総研グループが50年以上かけて築いたネットワークは10万社以上です
- 譲り受けた後の成長:成約後のPMIと企業成長にも、同じ船井総研グループの経営コンサルタントが関わります
自社が譲り渡す側にまわった場合も、窓口は同じです。親族内承継、従業員承継(MBO)、企業価値を高めてからの譲渡、事業の立て直しまで、当社の事業承継・再生部が担当します。対象業種の商習慣や採用事情を一から説明していただく必要はありません。譲受可能額の算定と事業計画を別々の相手に持ち込む手間もかかりません。船井総研あがたFASの専門家を中心に、グループを挙げたチーム体制でお客様のM&Aをサポートいたします。
今回のような講座を次に聞けるのは、2026年10月7日のM&A分科会です
今回のM&A講座は、船井総合研究所が主催する「企業価値向上経営フォーラム M&A分科会」の特別セミナーとして実施したものです。講座の締めくくりで光田が案内したのも、この分科会でした。友好的なM&Aを進め、成立後に譲受企業と譲渡企業の双方の成長を実現している企業が集まる実戦型の研究会で、表に出ない生の事例、デューデリジェンスやPMIの専門家による直接のアドバイス、全国の経営者とのネットワークが柱になります。今日の内容は1回聞いて実行できるものではないので、継続して学び相談できる場として案内します。これが光田の説明でした。
同じ場で次に学べるのが、2026年10月7日の回です。当日のプログラムは、次の4講座で構成されています。
- 第1講座 事前ガイダンス:当社の淵上幸憲、大朝正博、小田部敦也が、研究会への参加についてご説明します
- 第2講座:シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長の森田隼人氏が「『ブレない理念』がいかにして売上100億企業をつくったのか?」と題して登壇します。17年間の赤字を乗り越えて売上100億企業をつくった経路と、全社員が動くロードマップへの落とし込み方を扱います
- 第3講座:船井総合研究所 上席執行役員の菊池功が「高市政権政策を活用した新規事業戦略」として、政策分析、成長分野の研究、業界別の補助金予測、新規事業の成功チェックリストを扱います
- 第4講座は事後ガイダンスで、当日の振り返りと翌日からの取組指針をお伝えします。会員向けの場ではあるものの、お試し参加も可能です。
- 日程・形式:2026年10月7日(水)10:00〜17:00/会場開催
- 会場:船井総研グループ 東京本社 サステナグローススクエア TOKYO(八重洲)
- 主催:株式会社船井総合研究所
- 参加対象:代表取締役・理事長その他名称の如何を問わず経営の主宰者
- 参加料金(お試し参加):1名あたり11,000円(税込)。会員価格は1名あたり8,800円(税込)
申込期日は2026年9月30日(水)で、申込ページは https://study.funaisoken.co.jp/pages/keieikikaku-shitsu-016224-vi-ma-S001 です。ぜひお気軽にお申し込みください。
※お席に限りがあり、満席の場合は次回以降のお試し参加日程をご案内します。あらかじめご了承ください。
同じ日の事業承継講座は「譲り渡す側」の話でした
同じ8月20日、別会場では事業承継・再生部グループマネージャーの植木諒が「持続的成長を実現する“事業承継”」を担当しました。本記事が譲り受ける側の準備を扱ったのに対して、あちらは譲り渡す側の設計です。出口戦略を事業面・財産面・組織体制面の3軸で考える進め方、誰に承継するかで向きが逆になる株価対策、機能を持たせるホールディングスの設計まで扱っています。譲渡を検討している会社が何を考えているかを知る材料になります。
【開催レポート】株価対策の向きは、誰に承継するかで逆になる ― 事業承継を事業面・財産面・組織体制面の3軸で考える
登壇者プロフィール
光田 卓司(株式会社船井総研あがたFAS 代表取締役社長):2008年株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に入社。入社後は専門サービス業の経営コンサルティングに従事し、2019年より専門サービス支援部部長に就任。併せて、多数のM&A支援に従事。2022年同社M&A支援部部長に就任、同社M&A部門の成長を牽引した。2026年3月、株式会社船井総研あがたFASの代表取締役社長に就任。これまで200件以上のM&A・事業承継に携わり、業界特化型の支援スタイルを確立。経営者の「想い」に寄り添い、成約後を見据えた伴走支援に定評がある。
M&Aについて、あわせてお読みください
• 『第三者承継(M&A)とは|会社売却の流れと後継者の探し方を中立に解説』(https://ma.funaisoken.co.jp/column/employee-succession-mbo-shokei)
• 『デューデリジェンス(DD)とは?M&Aの買収監査とは何かを徹底解説』(https://ma.funaisoken.co.jp/column/ma-dd-flow-basis)
• 『ビジネスDD(事業デューデリジェンス)とは|調査項目・進め方と財務DDとの違い』(https://ma.funaisoken.co.jp/column/business-due-diligence-guide)
• 『事業承継とは|方法・進め方・税金までの流れをまとめて理解できるガイド』(https://ma.funaisoken.co.jp/column/business-succession-guide-shokei)
最初に手をつけるとすれば、案件を探すより先に、自社OSの4要素を書き出して自社の強い順に並べるところからです。案件が具体化していなくても構いません。『当社の相談ページ』(https://ma.funaisoken.co.jp/contact_all)から、自社OSの言語化と財務許容度の算定までご相談いただけます。
【注記】本記事は2026年8月20日に開催した講座の内容をもとに編集したものです。個別の数値・固有名詞は開催時点の情報に基づきます。具体的な検討にあたっては専門家にご相談ください。