旅館

旅館M&Aの注意点

譲渡対価の相場観を理解する

旅館M&Aの場合、いわゆる常識からかけ離れた譲渡対価を希望する譲渡企業様の案件は、譲受企業様の検討テーブルにも乗らないことを十二分に留意すべきと思います。

コロナ禍を経て債務超過が進んでしまった施設や、赤字が続く施設の譲渡案件が非常に多いからです。再投資次第で魅力的な施設に生まれ変わる可能性が高い施設においても、特に赤字施設においては、実勢価格から乖離した希望譲渡対価を提示するのは原則避けるべき。

というのも、やはり、他業種に比べ、旅館業は実勢価格とかけ離れた提示が出ている案件が多いためです。譲受企業様に「この譲渡企業は借金を押し付けようとしている」などと誤解されてしまうと、詳細検討にも入ってもらえない。そんな状況下ということもあり、特に売却を急ぐ譲渡企業様においては、提示される譲渡対価の設定は非常に大事になります。加えて、人気温泉地とそうでない施設の格差も大きいです。人気温泉地から外れた施設の場合、検討テーブルに乗りにくいという点も踏まえて、譲渡企業様は売却活動を進めるべきと思います。

地権者との関係性

加えて、(土地などを借りている場合)地権者や温泉を供給してもらえる湯元との関係性も非常に大事になります。

譲受企業様との合意が得られたとしても、地権者や湯元から不承知を出されることでM&Aが成立しないことが起こりえるからです。日頃の良好な関係性構築が大事で、いざというときに協力してもらえる関係性づくりが大事になります。逆に、地権者や湯元等との関係性が劣悪で、M&A成立において反対される可能性がある場合は、その反対理由を譲受企業様に開示し、それを乗り越える相談を進めるべきです。

建物や配管の老朽化

そして、譲受企業様との合意形成において最重要な協議事項となってくるのが建物老朽化や配管の老朽化に関する経営課題です。

譲受企業様には、引継ぎ後の最重要リスクにもなる項目。修繕費のコストが読みにくいこともあり、どうしても慎重な試算になることは仕方ない項目といえます。加えて、築年数が経過した施設の場合「未登記の建物がある」「所有土地や登記簿上の所有者が異なる」などの問題を抱える施設もあります。それらは譲渡企業様が解決の目処をつけてから譲受企業様への案内を始めるべきです。

旅館M&Aの工夫

ただ、譲渡が成立しにくい案件においては、「運営委託者との業務提携」や「賃貸での営業権譲渡」を腹案として並行させると、その成立が高まります。M&A成立≒事業売却と決めつけず、譲渡企業様が許容できるアレンジを加えながら譲受企業様とのご縁を引き寄せるべきです。

旅館業M&Aに限らず、より良い形でのM&A成立の原則は、相手の立場に立つこと。譲渡企業様ならば、譲受企業様の立場になって。譲受企業様ならば、譲渡企業様の立場を理解して。お互いに尊敬の念を持ってM&Aの成立を模索することで、良縁が引き寄せされるとも思います。

旅館のM&Aに関する詳細な情報は、こちらをご参照ください。

1.旅館M&AのTOPページへ
2.2024年の旅館業界M&A振り返り
3.旅館業M&Aのメリット・デメリット
4.旅館業M&Aの特徴
5.旅館M&A譲渡対価の相場観vol1
6.旅館M&A譲渡対価の相場観vol2
7.旅館M&Aの注意点

奥野 倫充

(株)船井総研あがたFAS ディレクター

1996年に船井総合研究所に入社。1998年よりパチンコ業界のコンサルティングに従事している。2019年にパチンコ法人のM&A仲介案件を経験。その後、レジャー産業事業者向けM&Aコンサルティングに従事している。

奥野 倫充

(株)船井総研あがたFAS ディレクター

1996年に船井総合研究所に入社。1998年よりパチンコ業界のコンサルティングに従事している。2019年にパチンコ法人のM&A仲介案件を経験。その後、レジャー産業事業者向けM&Aコンサルティングに従事している。