旅館

旅館業M&Aの特徴

旅館業界のM&Aの特徴について、旅館M&A専門コンサルタントより解説いたします。

1.旅館業M&Aの際、重要議題となる協議事項

旅館業は、コロナ禍で最も財務面でダメージを受けた業種の筆頭格ともいえる業種。そんな旅館業の事業承継コンサルティングに携わっているコンサルタントとして、下記のような特徴があるとルール化しております。

(1)借入金の多さ

特に業績に伸び悩む旅館業の事業社におかれましては、多額の借入金があり身動きが取れない状況に陥っている企業様も多いかと思います。コロナ禍で業績が下がり、その後、再投資ができないがために業績回復ができない企業様も多い

(2)人件費比率の高さ

特に老舗の事業社様においては、省人化(DX)の時流に適応しきれていないことも多く、その結果、人件費比率の高さが経営を圧迫している

(3)施設の広さ、そして老朽化

人件費比率の高騰傾向と連動するのですが、施設が広く、入り組んでいるという点は、旅館業の事業承継において協議事項となる重要課題の一つです。加えて、老舗ほど、老朽化に伴う修繕のリスクという課題を抱えています。

上記に加えて、特に土地評価に関する減損が出てしまう企業も多いのが旅館業M&Aにおける重要協議事項です。

2.譲渡企業が主導権を握れる事業承継とは?

上記の特徴を踏まえ、特に譲渡を検討される企業が意識された方がいいのは下記の3点になります。譲渡企業様におかれましては、できる限り主導権を持ちながら譲渡成立を目指していただきたい。そんな想いで整理してみました。

(1)自力で業績アップの後、再度、譲渡方針を決定する

借入金が重くのしかかる旅館業事業社のなかには、昨年対比で110~115%程度の業績アップが達成できれば財務面の好転が見込まれる企業様も散見されます。110~115%程度の業績アップならば、集客方法の見直しや人的資源の再配置などで達成ができる企業様も多い。旅館業の業績アップ≒設備投資が必須と考えがちですが、その前に、大型の設備投資をせずとも達成できる業績アップ策を講じてみる。そして、業績が好転してきたころに再度譲渡方針を検討するのが有効と思います。

(2)運営委託や業務提携を模索

事業承継≒M&Aと短絡的に考えるのではなく、運営委託や業務提携による自社業績回復を模索するというのも有効策と思います。

(3)外部機関のサポートも借りながら借入金の圧縮を実現する

それでも多額の借入金を抱えて行き詰ってしまっている事業社様は外部機関のサポートも得ながらその圧縮策を検討すべきと思います。経営者ご自身の民事再生や会社更生の選択前に私的整理手段も含めて検討。いわゆる軟着陸策を模索すべきです。

3.好転傾向の業況感を上手く活用

コロナ禍の約三年間は、特に旅館業事業社には地獄のような期間でした。その期間を経て財務面で大きなダメージを背負ってしまった事業社も多いのですが、ただ、コロナ禍を乗り越えた企業様は、その後の恩恵を受けていただければ・・と思う次第です。特に設備投資をせずとも講じれる策を有効活用し、業績回復を模索する。その取り組みが昂じて各企業様におかれましては、主導権が握れる経営判断ができるようになるとも思います。もしも、M&Aをご検討されている旅館業事業社様がいらっしゃいましたら、少しでも主導権が握れるような交渉ができることを心からお祈りしております。

旅館のM&Aに関する詳細な情報は、こちらをご参照ください。

1.旅館M&AのTOPページへ
2.2024年の旅館業界M&A振り返り
3.旅館業M&Aのメリット・デメリット
4.旅館業M&Aの特徴
5.旅館M&A譲渡対価の相場観vol1
6.旅館M&A譲渡対価の相場観vol2
7.旅館M&Aの注意点

最後に「売主が必ず読む本」を下から無料でダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。

奥野 倫充

(株)船井総研あがたFAS ディレクター

1996年に船井総合研究所に入社。1998年よりパチンコ業界のコンサルティングに従事している。2019年にパチンコ法人のM&A仲介案件を経験。その後、レジャー産業事業者向けM&Aコンサルティングに従事している。

奥野 倫充

(株)船井総研あがたFAS ディレクター

1996年に船井総合研究所に入社。1998年よりパチンコ業界のコンサルティングに従事している。2019年にパチンコ法人のM&A仲介案件を経験。その後、レジャー産業事業者向けM&Aコンサルティングに従事している。