モビリティ業界特化型 M&Aで幸せな未来を実現するためのレポートvol.10

「自動車販売店をM&Aして新車リース事業を成長させたモデル」

について皆様にお話させていただきます。

自動車業界でのM&Aは年々加速する中、中古車販売店においては主力業態によって統合プロセスが大きく変化します。統合プロセスでは事業、評価、人材、システム、財務、など様々な観点で進める必要がありますが、特に事業面での連携においては業態別の営業プロセスなどの統合も重要なテーマにあげられます。今回は株式会社東日産自動車の三和社長にお話を頂き、その内容を一部ご紹介させていただきます。

まずは譲渡企業の立場を尊重したうえで出来るところから導入すること

同社では営業に関する業績管理ツールや来店から成約までのプロセスを細部まで定めています。しかし譲渡企業側にも仕組みがあり、すべてを変化させると従業員にも多大なストレスを与えてしまいますので3段階に分けて浸透させる動きを進めています。まずはしっかり話し合い、ポイントを伝えて、実施してみたい箇所から導入を進めています。同社では全てが浸透するまでは100日程度かかりましたが、一人も退職することなしに導入出来ております。やはり相手の立場を尊重して上手く進めることが大事です。

人的労力がかからない部分から積極的に浸透させること

この観点でいうと集客・価格・商品の観点から仕組みを導入することをおすすめします。基本的には集客は販促費の増額や新しい手段の導入がメインとなります。なので譲渡企業側で担う部分よりは、譲受企業側の事業部でサポートに入るかまたは外注で強化するポイントが多くなります。商品や価格の観点でも在庫量を増やし、お客様がよりお得に感じる価格を設定することが挙げられます。つまり労力がかからないところから固めていくと、接客面や売り場面の統合まで上手く進められますのでこの工程が大事になります。

システムや業績管理はマニュアルをつくること

一番労力がかかる点はこの業績管理の部分です。新しいデジタルツールを使いこなすまではストレスがかかりますので、1on1ミーティングでしっかり活用できるように進めることが大事となります。また直接の指導だけでなく工程マニュアルを用意しておき、1回のすり合わせであとはマニュアルを見ながら解決ができるようになると浸透しやすくなります。

マニュアルのポイントはなるべく文字数を少なく、画像で認識できるようにしておくことです。パッとみて実施イメージがわくマニュアルをぜひ作成してみてください。

~最後に~

今回は「自動車販売店をM&Aして新車リース事業を成長させたモデル」

についてお伝えいたしました。

本内容は新車リース事業だけではなくあらゆる事業にも反映できる観点が多数あったかと思います。流れとしてはまずは譲渡企業の立場を尊重し、話し合うことが第一ステップです。次になるべく労力はかからないが優先順位が高い販促・商品・価格を統合していくこと。その次には文字の少ないマニュアルを作成し、接客・売り場・業績管理の部分を整えること。この流れとなります。 

ではまた来週の第11弾のコラムもお楽しみにしていただけたらと思います。

淵上 幸憲

(株)船井総研あがたFAS マネージングディレクター

自動車販売等モビリティ業界のコンサルティングとプロジェクトで豊富な実績を有する。中古車販売、整備、コーティング、レンタカーの業績アップでは1年で売上2倍の実績を持つ。経営の様々なテーマに精通し、成長戦略策定や事業承継・M&Aコンサルティングで高い評価を得ている。

淵上 幸憲

(株)船井総研あがたFAS マネージングディレクター

自動車販売等モビリティ業界のコンサルティングとプロジェクトで豊富な実績を有する。中古車販売、整備、コーティング、レンタカーの業績アップでは1年で売上2倍の実績を持つ。経営の様々なテーマに精通し、成長戦略策定や事業承継・M&Aコンサルティングで高い評価を得ている。