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医療業界M&Aの事例について

  • 医療・介護 M&Aレポート

今回は医療業界におけるM&Aの事例をご案内したいと思います。

医療業界M&A:最近の事例

①医療法人桂名会によるNTT西日本東海病院の事業譲受(2021年7月21日開示)

【譲受企業】

企業名:医療法人桂名会

本社:愛知県名古屋市

事業内容:回復期リハビリテーション病院である木村病院を中核とした医療法人。病院、クリニック、訪問看護ステーション、訪問介護、居宅介護支援事業所、通所リハビリテーション、介護老人保健施設、サービス付き高齢者向け住宅、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、地域包括支援センター(名古屋市委託事業)など、10以上の医療・介護サービス事業所を展開。

【譲渡企業】

企業名:西日本電信電話株式会社

本社:大阪府大阪市

事業内容:日本電信電話株式会社等に関する法律に基づいて、西日本地域における地域電気通信業務ならびに付帯業務を展開。

【M&A内容】

事業譲渡によりNTT西日本東海病院を取得しグループ化することを決定。2021年10月1日付けで医療法人桂名会大須病院として事業開始した。大須病院は150床の病床があるが、2025年に名古屋・尾張中部医療圏は既存病床数の不足が見込まれるため病床数の確保を目的としている。また、大須病院周辺3km圏内の人口約28万人の“かかりつけ病院”、周辺5km圏内の人口約78万人の“専門病院”として地域密着の街づくりで地域医療に貢献のため実行。取得価格は非公表。

(引用URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000018773.html)

②医療法人竜山会による藤井病院の事業譲受(2021年7月1日開示)

【譲受企業】

企業名:医療法人竜山会

本社:石川県金沢市

事業内容:総合病院

【譲渡企業】

企業名:医療法人博洋会(2022年1月保険医療機関指定取り消し、2022年3月破産申請)

本社:石川県金沢市

事業内容:総合病院(105床)

【M&A内容】

博洋会が藤井病院において診療報酬の不正請求(夜勤看護要員の配置要件を満たしているように見せかけ勤務実態と異なる届出をして診療報酬を不正に請求していた)が明らかとなり、保健医療機関指定取り消しの処分を受けることとなった。そのため、博洋会は医療サービスと雇用の継続のため藤井病院の事業を引き受け先を探索した結果、竜山会に事業譲渡した。

(参照URL:https://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20220401_04.html)

③公益財団法人ときわ会・医療法人社団ときわ会による医療法人翔洋会の経営権譲受(2019年8月2日開示)

【譲受企業】

企業名:公益財団法人ときわ会・医療法人社団ときわ会

本社:福島県いわき市

事業内容:総合病院、クリニック、介護施設等

【譲渡企業】

企業名:医療法人翔洋会(2022年3月破産申請)本社:福島県いわき市

事業内容:総合病院、介護施設等

【M&A内容】

翔洋会は東日本大震災後に大規模な設備投資を余儀なくされ、投資費用を金融機関から調達したが債務超過となり2018年11月に負債額61億6,400万を抱え福島地方裁判所いわき支部に民事再生法を申請した。ときわ会グループが譲受けし、医師・看護師等の職員のうち、継続して就業希望者は雇用を維持し、病院・介護施設等もときわ会既存拠点と連携を図り、地域医療の充実を図る。

医療業界M&A:事例の考察

昨今、後継者不在や医療費削減により経営不振、また自然災害をはじめ建物の老朽化による再投資が負担となり、債務超過となる医療機関も増えています。一方、地域医療存続のため病院職員の雇用維持のほか、地域医療の提供など「公益性」がキーとなってM&Aが検討されているように見受けられます。

ほか株式会社のM&Aと異なり、医療機関には「非営利性」が求められ、営利企業による設立には制限があるほか、医療法人設立には都道府県の認可が必要であり、M&Aとして第三者へ譲渡する際に一つの障壁となります。

また法人格に関しても、「持分あり医療法人」「持分なし医療法人」と法人格が分かれていることで、M&Aスキームの難易度を高くしています。「持分あり医療法人」では、出資額(持分)に応じて、解散・退社の際に払い戻しを受けることができ、M&Aでは「持分譲渡」として実行が可能となります。

一方、退社時に出資額より法人の財産規模が大きくなっていると「剰余金の配当」として触れる可能性があり、スキームは慎重に検討したほうが良いです。

また、「持分なし医療法人」では、出資ではなく基金拠出となり、返還額は拠出額そのままとなります。この場合、持分がないため社員交代を行い、売り手側と買い手側の社員・表銀を交代することで経営権を取得します。

医療法人のM&Aに関しては、営利法人より制限が多くスキームの組み立ても医療法・税制に則った構築が求められます。どのようなお譲り渡し方法が最適かお気軽にご相談ください。

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