基礎知識

MBO成功の鍵:レンダーによるモニタリング(コベナンツ)の基礎と留意点

はじめに

 前々回コラムでは、MBO(LBOローン活用ケース)の概要を、前回コラムではレバレッジ効果についてお伝え致しました。今回は、LBOローンのレンダー(金融機関等の貸付人)によるモニタリングについて、その概要をお伝えしたいと思います。 

 前々回コラムで申し上げましたとおり、LBOローンはノン・リコース・ローン【[1]】であるため、通常のコーポレート・ローンよりも回収リスクが高いという特性があります。

[1]】借入人(SPC/対象会社)が生み出す事業キャッシュフローおよび設定担保の実行を主な返済原資とし、エクイティ・スポンサー(PEファンドや後継経営者個人)に対しては原則として求償(リコース)しない構造のローン。

この為、MBOの対象会社の経営状況等を通常のコーポレート・ローンよりもシビアにチェックすることとなります。このとき使われる重要なツールの一つが「コベナンツ(誓約)」です。レンダーはコベナンツチェックを通じて経営状況のモニタリングを行っています。

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コベナンツの類型と具体的な内容(例)

定期的な書類・資料の提出や、一定の禁止事項等、いくつかの類型があります。大別すると(1)行為コベナンツと(2)財務コベナンツがあります。

レンダーはこれらの内容のチェックを通じて、MBOの対象会社の経営状況に関する理解を能動的に確認もしくはアップデートすることとなります。 

1.行為コベナンツ

書類提出義務

1.定期的な提出


 

2.随時提出







報告義務







禁止事項(不作為義務)

レンダーによる事前の書面承諾なしに行わない事がローン契約に規定されます。




 

2.財務コベナンツ(財務数値・指標の維持等)

例えば、2期連続の経常赤字とならない事や、純資産残高の一定水準以上に保つ事など、財務数値や財務指標をある水準に維持する義務です。


 

コベナンツ・チェックへの対応に関する留意点

コベナンツ・チェックの目的は、レンダーの回収リスクのコントロールにあるのですが、状況によっては、機械的にローン契約上の義務違反として扱うことが、本来の趣旨に照らして望ましくない場合もあり得ます。

平素からレンダーと適時適切なコミュニケーションを重ねつつ、個々の具体的な状況に応じ、早めに相談するという視点も必要です。

なお、具体的にどのようなケースで相談すべきか、またその具体的な内容をどうすべきかについては、経験豊富な専門家にご相談頂くことをお勧めいたします。

 

今回のまとめ

 レンダーによるコベナンツ・チェックへの対応は、一見、煩雑さを感じるかもしれませんが、マネジメント・チームによる経営モニタリング(適切なKPIの設定とPDCAサイクルの運用)といった観点からも重要な内容です。

レンダーを重要なビジネス・パートナーと位置づけ、むしろ能動的に対応し、経営改善や価値創造に繋げて行く姿勢が望まれます。

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事業承継・M&Aに関する基礎知識関連情報は、下記の記事をご参照ください。

1.M&A用語集
2.M&Aと税金
3.株式譲渡
4.株式交換
5.第3者割当増資
6.合併
7.M&A後の譲渡企業
8.M&Aの流れとスキームの種類
9.会社分割
10.事業譲渡


石ケ森 英俊

(株)船井総研あがたFAS 公認会計士

公認会計士 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)

アーサー・アンダーセン監査部門(朝日監査法人)及びコーポレートファイナンス部門、KPMG FAS、あがたグローバルコンサルティング、独立系投資銀行、自己資金投資会社 等を経て、2025年、船井総研あがたFASに参画。法定監査、IPO支援業務等に11年間従事した後、約25年間に亘り、M&Aアドバイザリー(FA業務)、事業再生アドバイザリー業務、中期事業計画策定等の財務コンサルティング、企業内研修講師業務 等に従事。

石ケ森 英俊

(株)船井総研あがたFAS 公認会計士

公認会計士 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)

アーサー・アンダーセン監査部門(朝日監査法人)及びコーポレートファイナンス部門、KPMG FAS、あがたグローバルコンサルティング、独立系投資銀行、自己資金投資会社 等を経て、2025年、船井総研あがたFASに参画。法定監査、IPO支援業務等に11年間従事した後、約25年間に亘り、M&Aアドバイザリー(FA業務)、事業再生アドバイザリー業務、中期事業計画策定等の財務コンサルティング、企業内研修講師業務 等に従事。