優良企業が、業容を拡大するために他社を買収したい、これは過去からよくある話といえます。
現在は、こういったご相談以外に、「いまは業績がいいが、先行きは分からないので今売りたい」というご相談も増えてきています
経営者がいくら能力的に優れていても、業界全体の大きな流れには逆らえない、とのご判断ではないかと思います。
過去にお手伝いした事例では、比較的業績のいい多国籍展開している会社が日本法人を売却したという事案があります。
私共は買収段階でのビジネスDDにかかわらせていただきました。
この会社は、調べれば調べるほどに、とても優れた経営内容でした。
買収後に経営者になられた方も、とても優れた経営者の方でした。
現場の方々も、とても優秀な方ばかりでした。
にもかかわらず、その後業界全体の市場規模が急激に縮小し、業績も落ち込んで大変苦労なされました。
経営者の能力、現場の能力では業界全体の大幅な変化の波に抗うことができませんでした。
結果として、売り手にはよかったものの、買い手にとってはあまりよくない結果になってしまいました。
その後業績は持ち直し、最終的には別の会社がオーナーとなることで落ち着きました。
いかな優れた経営、優れた経営者であっても、逆らえないだけの大きな変化に飲み込まれることもあるというシビアな現実を見ました。
M&Aは、いまの事業を調子が良いうちに手放して、資金を得て引退する、ないしは新しいことをはじめる、というきっかけづくりにもなりえます。そのためには5年先10年先を見越した判断というものが大事になってくるといえます。
業績が良い時だからこそ売却を視野に入れる、そのようなご相談が増えているというのも時流の変化だと感じざるを得ません。
「売るべきかどうか考えたい」という内容であっても、遠慮なく私どもにご相談いただけましたらと思います。