基礎知識

M&Aにおける会社の価値の評価方法は? 一般的な算出法を解説

M&Aにおける会社の価値の評価方法について、一般的な算出法を解説いたします。

M&Aにおける、会社の価値(価格)とは

M&Aにおける会社の価値とは、最終的な売り手・買い手間の交渉価格のことであり、事業価値に会社の保有する有価証券などの非事業価値を上乗せし、負債などのマイナス的な要素を取り除いた金額のことです。また、事業価値は現在価値ではなく、将来的な視点で価値を定めます。

企業価値の一般的な評価方法

一言に「企業価値」と言っても、その算出には状況に応じて様々な手法が用いられます。

マーケット・アプローチ

マーケットアプローチとは、マーケット(市場)との比較で会社の価値を判断することです。

市場株価法

市場株価法は上場企業のみが用いることができる算出法です。その企業が上場している株式市場における株価を参照することで、企業価値を導く方法です。

マルチプル法=類似会社比較法

マルチプル法は類似会社比較法とも呼ばれます。類似会社比較法はその名の通り、上場している類似会社の株価を参考に、売上や利益等に倍率をかけることによって非上場企業の価値を算出する方法です。

類似取引法

類似取引法とは、その名の通り、その企業と類似している企業に関する取引を参照し、その取引での取引額を元に会社価値を算出する方法です。

インカム・アプローチ

インカムアプローチとは、企業の将来的な利益や将来的なキャッシュフローに基づいて企業の価値を算出する方法です。

DCF法

DCFとはDiscounted Cash Flow(ディスカウントキャッシュフロー)の略です。将来的に得られるであろうキャッシュフローを現在の企業価値に割り引くことで企業価値を策定します。つまり、DCF法を用いることで、将来キャッシュフローの現在価値を特定することができます。

配当還元法

配当還元法は非上場企業の相続税などの査定の際に用いられる手法であり、株式の配当金から企業価値を策定する手法です。配当還元価額=(1株当たりの年間配当金÷10%)×(1株当たりの資本金等の額÷50円)という式に基づいて算出されます。

コスト(アセット)・アプローチ

コストアプローチとは、バランスシート(貸借対照表)の純資産額を基準に企業価値を算出する方法です。

簿価純資産法

簿価純資産法とは、企業の決算書に計上されている資産から、負債を取り除くことで企業価値を算出する方法です。企業価値の算出法の中でも算出が最も容易であるため、中小事業社の価値算定などに用いられます。

時価純資産法

時価純資産法とは、企業の決算書に計上されている資産の時価総額から、負債の時価総額を取り除くことで企業価値を算出する方法です。時価純資産とは資産の時価総額から負債の時価総額を取り除いたもののことを指します。

取引価格はいつ確定するのか

M&Aにおいて、ある算出法で導き出した企業価値が取引価格であるとは限りません。多くの場合は売り手の希望売買価格と買い手の希望売買価格が釣り合っておらず、それぞれが独自の算出法を用いて企業価値を算出し、交渉やデューデリジェンスの過程で徐々にその金額を釣り合わせていきます。つまり、取引価格とは「売り手、買い手の両者が納得する金額のこと」です。企業価値がそのまま取引価格に直結するわけではないということをポイントとして押さえておきましょう。

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M&Aはご経営者に大きな決断を要します。決断を迷う場合も、傍にコンサルタントがいるかいないかで、ご経営者の負担が大きく変わります。船井総研グループでは、50年以上経営者と伴走してきた実績がございます。是非、事業承継について少しでも気になることがございましたら、ご相談ください。船井総研グループでサポートさせて頂きます。

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光田卓司

(株)船井総研あがたFAS 取締役

2008年株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に入社。入社後は専門サービス業の経営コンサルティングに従事し、2019年より専門サービス支援部部長に就任。併せて、多数のM&A支援に従事。2022年同社M&A支援部部長に就任、同社M&A部門の成長を牽引した。2025年1月、株式会社船井総研あがたFASの取締役に就任。

光田卓司

(株)船井総研あがたFAS 取締役

2008年株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に入社。入社後は専門サービス業の経営コンサルティングに従事し、2019年より専門サービス支援部部長に就任。併せて、多数のM&A支援に従事。2022年同社M&A支援部部長に就任、同社M&A部門の成長を牽引した。2025年1月、株式会社船井総研あがたFASの取締役に就任。