DD費用の相場と内訳を徹底解説|M&Aデューデリジェンスの費用を抑える実務
基礎知識

DD費用の相場と内訳を徹底解説|M&Aデューデリジェンスの費用を抑える実務

 デューデリジェンス費用は、M&Aを前に進めるうえで避けられないコストです。

しかし「いくらかかるのか」「何が費用を左右するのか」を正確に把握できている方は多くありません。

この記事では、DDの種類別の費用相場・費用を決める要素・会計処理・コスト抑制の考え方まで、実務に即して整理します。 


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デューデリジェンスの費用は誰が負担するのか 

原則は譲受側(買い手)が負担 

実務上は、デューデリジェンスの費用は譲受側(引き継ぐ側)が負担するケースがほとんどです。 

理由はシンプルです。DDは「自分たちが引き継ごうとしている会社を調べる行為」だからです。

譲渡側の財務状態・法務リスク・事業の実態を確認するのは譲受側の意思決定のためであり、そのコストを譲受側が持つのは自然な流れです。 

譲受側にとってDDは「リスクを可視化するための投資」と位置づけられます。

費用を節約しすぎた結果、引き継いだ後に想定外の負債や訴訟リスクが発覚するケースは珍しくありません。適切なスコープでDDを実施することが、後から生じる損失を防ぐことにつながります。 

例外ケース:セルサイドDDとは 

一方、近年増えているのがセルサイドDDです。これは「譲渡側が自ら費用を負担して事前にDDを実施する」形態です。 

  • なぜ譲渡側が費用を持つのかというと、次のような理由があります。 
  • 交渉をスムーズに進めるために、事前にリスクを整理しておきたい 
  • 複数の譲受候補者に対して同じ調査結果を開示し、プロセスを効率化したい 
  • 自社の状態を客観的に把握することで、適正な評価額を主張しやすくなる 

セルサイドDDは大型案件や入札形式のM&Aで採用されることが多く、中小規模の案件では譲受側DDが依然として主流です。自社がどちらの立場にあるかによって、費用負担の考え方は変わります。 

デューデリジェンスの費用相場(種類別) 

DDには複数の種類があり、費用は組み合わせと調査範囲によって大きく変動します。

以下は、対象企業の規模別に見た一般的な目安です。実際の費用は、案件の複雑度・依頼先・調査スコープによって変わります。 

対象企業規模財務DDのみ財務+法務+税務フルDD(全5種)
売上3億円未満100万〜200万円200万〜400万円400万〜700万円
売上3〜10億円150万〜300万円300万〜600万円600万〜1,000万円
売上10〜50億円300万〜500万円500万〜1,000万円1,000万〜2,000万円
売上50億円超500万円〜1,000万円〜2,000万円〜 

上記はあくまで目安です。案件の性質や調査の深さ、依頼先の体制によって実際の費用は変動します。

まずは概算ベースで相談し、スコープを確定させてから正式な見積りを取得するのが実務上の流れです。 

ビジネスDDの費用相場 

ビジネスDD(事業デューデリジェンス)は、対象会社の事業競争力・市場環境・顧客基盤・収益構造を調査する工程です。

財務数値の裏側にある「なぜその数字が出ているか」を読み解くため、業種への深い理解が求められます。 

費用は財務DDと同程度か、それ以上になることもあります。事業分析・業界リサーチ・ヒアリングの工数が大きく、調査期間も長くなる傾向があるためです。 

注意点として、財務DDとビジネスDDを社内で完結できる会社は非常に少ないのが現状です。財務分析の専門性と事業分析の専門性は異なる領域であり、それを一体で提供できる体制を持つ会社はほとんどありません。 

ビジネスDDの詳細については、こちらのコラムもおすすめです。

【ビジネスDDとは|M&A成功に直結する事業デューデリジェンスの全貌と進め方】 

財務DDの費用相場 

財務DDは、対象会社の財務状態・損益・キャッシュフロー・簿外債務等を確認する調査です。M&Aにおいて最も基本となるDDであり、ほぼすべての案件で実施されます。 

費用は対象会社の売上規模・連結子会社の数・決算書の複雑さによって変わります。上場企業や複数子会社を持つグループ会社の場合、調査範囲が広がり費用も上昇します。 

経験上、財務DDのスコープを絞りすぎて「表面的な確認しかできなかった」というケースが多いです。特に未計上の偶発債務や関連当事者取引の検証は、後から問題が発覚しやすい領域です。 

財務DDの調査項目については、こちらのコラムもおすすめです。

【財務デューデリジェンスとは|M&Aの財務DDで確認すべき項目・費用・進め方】 

法務DDの費用相場 

法務DDは、契約関係・知的財産・訴訟リスク・コンプライアンス状況を弁護士が確認する調査です。契約書の枚数・訴訟の有無・規制業種かどうかによって費用が変動します。 

製造業や医療・介護など許認可が重要な業種では、法務DDのウェイトが相対的に高くなります。許認可の承継可否が取引成立を左右するケースがあるためです。 

税務・労務DDの費用相場 

税務DDは税理士が担当し、過去の申告内容・税務リスク・繰越欠損金の活用可能性などを確認します。労務DDは社労士が担当し、未払い残業代・社会保険の適正処理・就業規則の整備状況などを検証します。

両者は財務DDとセットで実施されることが多く、単体での依頼より一括依頼のほうがコストを抑えやすい傾向があります。 

①会社の規模・事業の複雑さ 

対象会社の売上規模が大きくなるほど、調査すべき取引量・勘定残高・契約件数が増えます。

また、複数の事業を展開している会社・連結子会社を持つグループ会社・特殊な会計処理を行っている会社は、それだけ調査工数が増加します。 

実務上は、売上規模よりも「事業の複雑さ」のほうが費用に影響するケースがよくあります。小規模でも複雑な関連当事者取引があれば、それだけで工数は大きく増えます。 

②調査範囲(種類の数) 

財務DDのみ・財務+法務・フルDD(財務・法務・税務・労務・ビジネス)という組み合わせで費用は変わります。必要なDDの種類を適切に選択することが、コスト管理の出発点です。 

ただし、種類を減らしすぎると後から把握できるリスクが増えます。どのDDを「やらない」かの判断は、案件のリスクプロファイルに基づいて慎重に進める必要があります。 

③調査期間 

DDにかける期間が長くなれば、その分の人件費・報告書作成の工数が増えます。一般的に2〜4週間が標準的な調査期間ですが、大型案件や複雑な事業構造の場合は2〜3か月に及ぶこともあります。 

短期間で詰め込んだDDはリスクの見落としにつながります。スケジュールと品質のバランスを意識することが重要です。 

④依頼先の種類(ファーム・事務所) 

大手コンサルティングファームや大手監査法人は、ブランド・体制・実績がある一方で費用も高くなります。中規模のFASや専門事務所は、費用を抑えながらも一定の品質を確保できるケースがあります。 

選ぶ際は「費用対効果」で考えることが大切です。費用だけで選ぶのではなく、リスク発見後のアドバイス能力も含めて判断するのが実務上の正解です。 

デューデリジェンス費用の会計・税務処理 

勘定科目はどこに計上するか 

DDにかかった費用は「調査費用」として費用処理することが一般的です。

具体的な勘定科目としては、「支払手数料」「業務委託費」「調査費」などが使われます。会社によって勘定科目の設定が異なるため、自社の経理ルールに沿って処理してください。 

M&Aに関連する費用全般は複数の勘定科目に分散することがあります。

DD費用・仲介手数料・デューデリジェンス後の諸費用を切り分けて計上することで、後から費用の全体像を把握しやすくなります。 

損金算入の考え方 

デューデリジェンス費用の税務処理において重要なのは「損金算入できるか否か」という点です。 

原則として、DDにかかった費用は、M&Aの成否にかかわらず発生した期の損金として算入できます。ただし、株式譲受(株式取得)の場合は、取得した株式の取得価額に含める処理が求められるケースもあります。 

具体的には次の考え方が基本です。 

  • 株式譲受の場合:DD費用を株式の取得価額に含める考え方が税務上の原則 
  • 事業譲受の場合:取得した資産の一部として処理するか、発生時費用処理するかは取引の実態による 

実際の処理は案件の形態によって異なるため、税理士・会計士に確認することをおすすめします。誤った処理は後の税務調査で問題になる可能性があります。 

デューデリジェンスの費用を抑えるための考え方 

優先順位をつけてスコープを絞る 

DDの費用を抑えるうえで最も効果的な方法は、「何をどこまで調べるか」を最初に明確にすることです。全種類・全項目を網羅的に調査しようとすれば費用は青天井になります。 

実務上よくあるのは、次のような優先順位の付け方です。 

  • 案件リスクが高い領域(例:税務リスクが疑われる場合は税務DDを厚くする) 
  • M&A後の統合に影響する領域(例:重要契約の承継可否) 
  • 取引価格に直結する領域(例:簿外債務・偶発負債) 

反対に、リスクが低いと判断できる領域はスコープを絞ることで工数を削減できます。

ただし「低リスク」と判断する根拠が必要なため、初期の簡易調査(プレDD)を経てスコープを確定するケースもあります。 

財務・ビジネス・税務をワンストップで発注するメリット 

複数の専門家・ファームに個別発注すると、それぞれに管理コストが発生し、連携の手間も増えます。財務・ビジネス・税務をワンストップで対応できる会社に発注することで、コスト・時間・情報の整合性を一括管理できます。 

船井総研あがたFASは財務DDとビジネスDDをワンストップで提供し、税務・労務についてはあがたグローバル経営グループと連携して対応します。

複数の会社に個別発注した場合と比べて、情報共有のロスや調整コストを抑えられます。 

費用より重要な「リスク発見後のアドバイス力」 

問題が出た後に動ける会社を選ぶ理由 

DDはリスクを「発見する」工程です。しかし実務上は、発見した後の対応が成否を分けます。

問題が出たときに「それは報告書に書いてあります」で終わる会社と、「このリスクをどうヘッジするか、一緒に考えましょう」と動ける会社では、最終的な案件の着地が大きく変わります。 

費用だけで選んだDDファームが発見したリスクを「どう処理するか」がわからず、交渉が止まった——そういった話は少なくありません。 

船井総研あがたFASがDDで重視しているのは「重箱の隅をつつくだけでなく、M&Aを成功させるための前向きなDD」という考え方です。

M&A仲介の知見を持つチームが調査に関わるため、リスク発見後のヘッジアドバイス(表明保証への反映アドバイス等)まで一体で対応できます。 

DDを依頼する会社を選ぶ際は、費用の安さだけでなく「問題が出た後に動けるか」という視点を持つことをおすすめします。 

デューデリジェンスの基本については、こちらのコラムもおすすめです。

【デューデリジェンスとは|M&Aで必須の調査を種類・流れ・費用まで徹底解説】

【まとめ】DDの費用は「何ができる会社か」で判断してください 

デューデリジェンスの費用は、調査範囲・対象会社の規模・依頼先の体制によって大きく変動します。この記事で整理した内容をまとめます。 

  • 費用負担の原則は譲受側。セルサイドDDという例外形態もある 
  • 費用相場は対象企業の規模・DD種類の組み合わせで変わる 
  • 費用を左右する主な要素は「規模」「調査範囲」「期間」「依頼先」の4つ 
  • DD費用の勘定科目は「支払手数料」等。損金算入の処理は案件形態で異なる 

コスト抑制には優先順位の明確化とワンストップ発注が有効 費用よりも大切なのは、リスクを発見した後に「何ができるか」です。DDは調査報告書を受け取って終わりではありません。発見されたリスクをM&Aの成立につなげるアドバイスまでできる会社を選ぶことが、最終的なコストパフォーマンスを高めます。 


DDの費用感や進め方について、もう少し詳しく確認したい場合はご相談ください。案件が具体化していない段階でのご相談も受け付けています。 

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デューデリジェンス(DD)についてよくあるご質問

Q. M&AのデューデリジェンスのDD費用はどちらが払うのですか? 

A.原則として、依頼者である譲受側が負担します。DDは譲受側がリスクを確認するために実施する調査であるためです。

ただし、譲渡側が自主的に「セルサイドDD」を実施する場合は譲渡側が費用を負担します。費用の会計・税務上の処理は案件スキームによって異なるため、担当専門家に確認することを推奨します。 

Q. デューデリジェンスの料金はいくらですか? 

A.DD種別・対象企業の規模・調査範囲によって大きく変動します。売上3〜10億円規模の企業で財務DD+法務DD+税務DDを実施する場合、300万〜600万円程度が目安です。

財務DDのみであれば150万〜300万円程度が一般的です。複数種別をワンストップで発注できる会社に依頼すると、費用を抑えられるケースがあります。 

Q. M&AのDD費用の会計処理はどうなりますか? 

A.DD費用の会計・税務処理は取引スキームによって異なります。株式取得の場合、一般的には取得原価に算入せず発生時に費用処理するケースが多いですが、案件の性質によって変わります。

勘定科目の処理についても担当の税理士または公認会計士に確認することを推奨します。 

Q. デューデリジェンスの費用を抑えるにはどうすればよいですか? 

A.主な方法は2つです。①調査範囲に優先順位をつけてスコープを絞る(すべての種別を実施せず、リスクが高い領域に集中する)、②財務DD・ビジネスDD・税務DDをワンストップで発注できる会社に依頼することです。

複数社に分けて発注すると調整コストが発生し、結果的に費用が増えるケースがあります。 

Q. 労務デューデリジェンスにかかる費用は? 

A.社会保険労務士または弁護士が担当し、売上3億円未満の中小企業であれば30万〜150万円程度が目安です。調査範囲(雇用契約・就業規則・残業実態・退職金積立状況など)によって変動します。

財務DDや税務DDと同時並行で実施すると、全体のDD期間と費用を効率化できます。 

株式会社船井総研あがたFAS

船井総研あがたFASでは、50年以上にわたる業種別コンサルティングの経験を活かした、M&A 成立後の業績向上・企業の発展にコミットする事業承継・M&A支援を目指しております。業種専門の経営コンサルタントと事業承継・M&A専門のコンサルタントがタッグを組み、最適な成長戦略・出口戦略を描きます。

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