【最新】不動産のM&Aと事業承継の動向

住宅・不動産・賃貸管理M&Aの特徴

住宅会社・工務店・不動産会社のM&Aの業界再編は今後も活発化していく見込みです。新設住宅着工戸数は、毎年3%前後で減少傾向が続く見通しです。一方、住宅リフォームやリノベーションは、住宅が増加し築年数が25年から30年を越える築古物件が増加するため、多少の増減はあるものの比較的安定した市場といえるでしょう。このような市場環境の中で、ハウスメーカー、ビルダー、住宅リフォーム会社のM&Aはさらに増加すると想定されます。もともと住宅業界は小商圏型のビジネスモデルで寡占化しにくく、中小零細企業が乱立している状況で、資金力がある事業者が、資金力がない中小零細企業の市場占有率を奪いやすい業界構造といえます。

賃貸管理はストックビジネスの要素が高く管理戸数で企業価値がつきます。今後は、住宅会社・工務店・不動産会社が賃貸管理会社をM&Aしていくという流れも強まっていく可能性が高いとみられます。

不動産仲介業界(売買)は、コロナショックによる一時の取引件数の減少はあったが、金融取引システムへの直接のダメージが少ないことが特徴的で、大きくな減少は見られていません。しかし、コロナ禍での影響から、海外部材工場の閉鎖、ウッドショックの影響から、新築物件建築が減少し、売却件数も多少減少した関係で、市場に並ぶ不動産物件が減った状態になり、需要過多になると、価格が高騰するエリアも出てきています。コロナ状況にもよるが、暮らし方の変化は、ますます意識があがり、テレワークスペースをもった郊外型住居への移住は続くとみられ、その需要も多様化していき、ニーズに合わせた不動産物件の供給を準備するべきと言えるでしょう。結果的には、今まで以上に、新築・中古ともに、物件仕入れの強化、また物件の商品の差別化を求められる傾向があり、買い手主導での仲介では、取引件数を伸ばしきれない状況になります。売却物件受託の専門部門を構築し、より特化した販促・営業活動が必要とされる。もちろん、分譲・建売住宅の企画、中古物件の買取再生など、自社独自の売り物件ラインナップをそろえていく必要性が、益々増していきます。そういった、業務の多様性、専門性を進めるにあたって、社内業務の効率化、デジタル化への推進も、必要不可欠になり、成熟化した不動産仲介業において、大都市圏からの大手企業や、地域ごとでの中堅一番店企業の台頭が顕著になり、M&Aを活用した業界再編の動きもみられています。

住宅・不動産・賃貸管理 M&A譲渡案件

こちらのページに最新の譲渡案件を掲載しております。ご覧ください。





賃貸管理業界における2022年のM&A動向の振り返り

新型コロナウイルスの影響も3年目となり、賃貸住宅建築、収益物件売買、賃貸入居者住み替えなど、コロナ前の状況に戻ってきている傾向はありました。

賃貸住宅の市場においては、都市部の利便性の高い賃貸住宅は、コロナ禍で家賃減少の傾向はあったが、こちらも戻り上昇傾向にありました。ただしコロナ禍をきっかけにした生活スタイル変化や、顧客ニーズの多様化などにより、その周辺部は上昇範囲が拡大していました。

賃貸管理市場は、まず入居率の低下傾向は続いています。地域差はありますが、築年数の古い物件で、設備・間取りなどのリフォーム・リノベーションが進んでいない物件はより空室が目立ち、賃貸物件の所有者は物件からの収支が悪化し資産の見直し・再生を余儀なくされてきています

そんな賃貸物件の所有者に対して、賃貸管理・資産管理の両面で展開する管理会社も出てきており、より管理委託率があがり、管理物件拡大の難度が上がってきています

M&A情勢では、不動産仲介業は売上減少・事業承継から、譲渡が増加傾向にあります。一方、管理業は安定したストック事業であり、経営基盤もあるケースが多く、事業継承事情・市場動向などより、譲渡が年々増加する傾向にあり、買い手希望はより増えてきている為、価値が上昇しています。また人手不足解消の景況から不動産業に従事する(資格保持者、建築リフォーム関係者、実績のある営業社員)など売り手の人材に焦点が当てられ、価値が上がるケースも出てきています。

なお、2022年12月20日に、日銀総裁による事実上、長期金利の値上げが発表され、2023年4月以降、住宅ローンに合わせて、事業用ローン(収益物件購入・賃貸住宅建築)の金利も上がっていく方向化で、2023年の市場は大きな変動が見られると思われま

詳細はこちらのページもご覧ください

住宅工務店における2022年のM&A動向の振り返り

住宅工務店業界は成熟期を超え、衰退期にあると言えます。

令和3年度の新築住宅着工戸数は866千戸となり、前年の812千戸よりは増加しているものの、平成24年度から令和元年度の数値に比べると減少傾向にあります。(住宅着工統計:国土交通省)今後も少子高齢化に伴う人口減少により、市場の縮小ないし停滞の状況は続いていくものと考えられます。

一方、近年ではコロナ禍の影響を受け、テレワークの普及やZoom等のITツールを活用した新しい働き方に注目が集まっており、都市部に居住する必要性に疑問を持った層が、一定数存在すると考えられます。彼らの一部には、既に郊外に住宅を購入したケースも散見され、住宅工務店業界においては、コロナ禍はマイナスな側面だけではなかったと考えられます。郊外住宅の場合には、新築住宅にこだわることもなく、空き家を活用したリフォームやリノベーションをして住むケースも見受けられるため、新たな需要が顕在化したと言えます。

また国土交通省、経済産業省、環境省の3省連携による「住宅の省エネリフォーム支援」や、国土交通省による「ZEH住宅の取得への支援」が始まっています。

上記政策には、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて家庭部門の省エネを強力に推進するため、住宅の断熱性の向上に改修や高効率給湯器の導入などの住宅省エネ化への支援を強化する目的があり、年間のエネルギー消費量0を目指したZEH住宅の支援からも、政府は環境に配慮した持続的な住宅への支援を進めていることがわかります。

以上を踏まえると、今後の住宅建設業界としては、最先端技術を導入しつつ、持続可能的に対応した住宅を、いかに提供できるかが課題となると言えます。

一方、住宅工務店業界は以下の問題を抱えていることは2022年を通しても顕著であると言えます。

廃業・倒産の増加

人材不足による問題

住宅着工率の減少

2022年の建設業の倒産件数は3年ぶりに前年より増加し、1,194件(前年1,065件)となっています。(東京商工リサーチ)また帝国データバンクによると、2022年の物価高倒産(=法的整理企業のうち、原油や燃料、原材料等の「仕入れ価格上昇」、取引先からの値下げ圧力等で価格転嫁できなかった「値上げ難」等により、収益が維持できずに倒産した企業)の件数は、全業種で320件(前年比2.3倍)となり、建設業はそのうちの70件を占めています。

物価高はロシアのウクライナ侵攻が主な原因と考えられ、足元では、エネルギーや食料品コスト、為替相場の上昇速度は落ち着きつつありますが、依然高止まりの状況が続いています。価格転嫁が十分に進まない状況が続く中、今後も「物価高倒産」は引き続き増加傾向で推移すると考えられます。

また、住宅工務店業界には資格が求められる業務が多く、人材難も大きな課題となっています。採用力、教育力に長けているいわゆる大企業であっても有資格者の確保は経営活動にとって重要な課題であり、中小企業であればその課題はより顕著に現れています。

社長を除けば従業員1人だけが業務に必要な資格を保有しているケースも少なくありません。仮に有資格者従業員が退職されたことを考えると、やはり廃業という選択を検討せざるを得ません。

詳細はこちらのページもご覧ください

不動産仲介業界(売買)の2022年のM&A動向の振り返り

令和4年地価公示地価は全国全用途平均で0.6%のプラスと2年ぶりに上昇し、新型コロナウイルスの影響が徐々に緩和される中で、全体的に昨年からは回復傾向が見られました。

住宅地は、低金利継続、住宅取得支援施策の効果から、住宅需要は回復傾向にて、結果地価は上昇に転じていました。都市部の利便性の高い住宅地ではより上昇が継続し、コロナ禍をきっかけにした生活スタイル変化や、顧客ニーズの多様化などにより、その周辺部にも上昇範囲が拡大していました。

商業地については、都心部において店舗・マンションなど事業用地に対する需要が高まり、上昇に転じた地点が多く繁華性のある商業地や地方圏の路線商業地など、上昇地点が増加しています。外国人訪日客が回復していない地域や飲食店舗等が集積する地域では、下落が継続している地域もありました。

開発・流通・賃貸ともに上昇傾向にあります。M&A情勢では、不動産仲介業は売上減少・事業承継から売り増加傾向にあります。

なお、2022年12月20日に、日銀総裁による事実上、長期金利の値上げが発表され、2023年4月以降、住宅ローンなどの固定金利が上がっていく方向化で、2023年の市場は大きく変動を迎えると思われます。

詳細はこちらのページもご覧ください

不動産業界におけるM&Aのメリット・デメリット

メリット

①後継者問題を解決できる
②経営者を継続することもできる
③創業者一族メリットとしての資産を得ることができる
④個人保証などが外れる
⑤従業員の雇用を守ることができる
⑥事業の選択と集中ができる

デメリット

①経営権が少なくなる
②買い手が見つからないケース・譲渡対価が想定より少なくなるケースも
③取引先との関係性がこじれる場合がある
④従業員が退職するケースもある
⑤シナジーを生むことができる

詳細はこちらのページもご覧ください

不動産業界のM&Aを実践されたお客様の声

社長と社員が幸せになれるM&Aとは?
~成長戦略としてのM&Aを考える~ 株式会社クラスコ×株式会社フロンティアホーム


詳細はこちらのページをご覧ください

不動産業界のM&A実績一覧(2023年3月29日時点)

*下記は船井総研での成約実績のうち一部を掲載させていただいております

ハウスビルダーが不動産仲介業をM&Aした事例

譲受会社(買収側)

業種 ハウスビルダー

地域 九州

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 不動産仲介

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業は船井総研のご支援先で自社単独での運営に限界を感じ、M&Aを検討したいとの相談があった。譲受企業として関東へ進出を検討しており、住宅分野への知見もあったことから条件面の調整に時間を要したものの成約に至った。M&A後は譲受企業のリソースを用い、シナジー効果を発揮し業績好調となっている。

その他の成約案件についてはこちらのページをご覧ください。

post