M&Aと無形資産 ~PPAの役割と重要性~
- M&Aコンサルティングレポート
企業の成長と発展は様々な形で起こりますが、その一つに合併と買収(M&A)があります。企業が他の企業を買収する場合、様々な資産を取得しますが、その中でも無形資産の取得は特に重要です。
ここで、M&Aが行われた後には購入価格割当(PPA)というプロセスが必要になります。PPAは買収後の企業の経営管理や財務報告に大きな影響を与えるため、極めて重要な役割を果たします。
本記事では無形資産とは何か、そしてM&Aが行われた後のプロセスの一つであるPPAについて解説します。
コンテンツ
無形資産とは
無形資産とは読んで字のごとく形を持たない資産のことを指します。無形資産は企業がビジネスを行う上で重要な役割を果たします。その代表的な種類としては以下のようなものがあります。
ブランド価値
企業の名前やロゴ、製品の品質やサービスの評価など、消費者の心に残るイメージを形成するものです。強力なブランドは消費者の信用、信頼を得ることができ、競争優位性を確保します。
特許
特許は新しい製品、技術などの独自の開発に対する法的保護を確立させるためのものです。
特許を取得することで、企業は一定期間その技術を独占的に利用、販売、製造をする権利を得ます。他社が同じ技術を使用する場合は許可とライセンス料が必要となります。
特許は優位性を維持し利益を最大化するための重要な手段であり、特許は企業の無形資産の価値を大幅に増加させ、その結果企業全体の価値を高めます。
この他にも無形資産には様々なものがあります。ノウハウや経験、文化、データも無形資産に含まれます。
無形資産の種類
無形資産は下記の3種類に分けられます。
人的資産:企業の人材、そのスキル、経験、能力を指し、従業員が企業に貢献するためのすべての要素が含まれます。
知的資産:企業が所有する、知識、情報、知的財産、経験を指し、企業の製品やサービスを独自で競争力のあるものにする要素です。
基盤的資産:企業の運営を支える基本的な要素であり、その事業を遂行するために必要な資産を指します。
人的財産、知的資産、基盤的資産はそれぞれが企業の価値と成功に寄与します。これらの資産は互いに手を取り合い、企業が競争優位性を持つ製品やサービスを提供し、目的を達成するための基盤を作ります。
PPAとは
PPAはPurchase Price Allocationの略語でM&Aにおいては、買収価格の配分を意味します。これは企業が他の企業を買収する際に、買収価格が買収企業の様々な資産や負債にどのように配分されるかを決定するプロセスになります。
PPAの役割
PPAは、M&Aの企業価値評価において需要な役割を果たします。企業型の企業を買収する際に、その企業の全体価値を決定します。この全体価値を具体的な資産と負債に分ける作業がPPAです。
無形資産はその企業の価値を大きく左右するため、適切な評価をされることが求められます。PPAは無形資産の価値を評価し、その価値を適切に認識することで企業の真の価値を反映させる役割を担っています。
PPAの重要性
PPAの重要性は次の2点です。
1点目は財務報告の精度を向上させることです。PPAを通じて無形資産の価値が明確化されると、企業の財務状況がより正確に反映されます。これは企業の株主だけでなく、投資家や、クレジットレーティング機関にとっても有益の情報提供となります。
2点目は企業経営の効率化につながることです。PPAによって企業の真の価値が明らかになると、経営者は無形資産の管理や活用について、より具体的な戦略を立てることが可能になります。これは企業の成長戦略の推進や、業績改善に対する対策の策定において重要な要素となります。
まとめ
M&Aと無形資産に関しては、現代の企業活動において切っても切れない関係にあります。そして、その中でPPAは買収後の企業価値評価や財務報告の精度向上、経営効率化において、重要な役割を果たします。そのため、企業がM&Aを考える際にはPPAの適切な実施が必要不可欠といえます。無形資産の適切な評価と管理は、企業の競争力向上と持続可能な成長に向けて重要なステップとなります。
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