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【物流・倉庫業界M&A】最近の事例を解説

  • 物流・倉庫業 M&Aレポート
物流 M&A

株式会社船井総合研究所(船井総研)M&Aコンサルティンググループです。物流・倉庫業界は2024年以降、ますますM&A(企業の合併・買収)が加速することが予測されています。本コラム記事では、物流業界における最近のM&A事例を基に、業界のトレンドと今後の動向を詳しく解説します。事業・企業譲渡をお考えの経営者は必見です。

■物流業界M&A:最近の事例

① 東部ネットワークによるテーエス運輸(日本エア・リキードの子会社)の株式譲受(2024年3月1日開示)

【譲受企業】

企業名:東部ネットワーク株式会社

本社:横浜市神奈川区

上場区分:東証スタンダード(9036)

業績:売上高10,304百万円 (2024年3月期)

企業概要:横浜市東部の運送会社13社統合で発祥。関東圏が地盤。石油、瓶、飲料(コカ・コーラ等)、及びセメントを軸に拡充。

【譲渡企業】

企業名:テーエス運輸株式会社

本社:兵庫県尼崎市

上場区分:非上場

業績:売上高669百万円(2023年12月期)

企業概要:長年にわたる液化酸素・液化窒素・液化アルゴンなど高圧ガスの輸送に特化した営業展開から、相応のノウハウを蓄積。

【M&A内容】

2024年3月1日、東部ネットワークは日本エア・リキードの子会社であるテーエス運輸の全発行済株式を取得し、同社を買収しました。テーエス運輸は、産業用ガスの輸送を手掛ける企業として、液化酸素、窒素、アルゴンなどの輸送に加え、近年は新エネルギー分野で注目される水素輸送にも実績を持っています。この買収により、東部ネットワークは産業用ガスの輸送事業をさらに強化し、今後の成長が期待される水素やアンモニアの輸送事業へも参入することが狙いです。

② トナミホールディングスによる山一運輸倉庫株式会社の株式譲受(2023年10月3日開示)

【譲受企業】

企業名:トナミホールディングス株式会社

本社:富山県高岡市

上場区分:東証プライム(9070)

業績:売上高142,000百万円(2024年3月期連結)

事業概要:北陸を基盤に、国内外で広範な物流ネットワークを構築。3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業に強みを持つ。

【譲渡企業】

企業名:山一運輸倉庫株式会社

本社:静岡県富士市

上場区分:非上場

業績:売上高1,947百万円(2023年3月期)

企業概要:貨物自動車運送業者で、主に紙パルプ製品の輸送を手掛けている。

【M&A内容】

トナミホールディングスは、山一運輸倉庫を傘下に収めることで、静岡県を拠点にすることで、物流の拠点を東名阪エリアに広げ、物流ネットワークのさらなる強化を目指しています。山一運輸倉庫は、富士市で製紙関連の物流を主力としており、トナミホールディングスはこれにより製紙業界向けの物流基盤を強化。さらには、グループインフラの活用や情報システムの共有によって生産性の向上を狙っています。

③ 株式会社福岡運輸ホールディングスによる株式会社厚成社の株式譲受(2024年7月31日開示)

【譲受企業】

企業名:株式会社福岡運輸ホールディングス

本社:福岡県福岡市

上場区分:非上場

業績:売上高56,700百万円(2024年3月期連結)

事業概要:冷凍・冷蔵輸送のパイオニア。日本で初めて冷凍車を走らせ、現在のコールドチェーン構築に大きく寄与。

【譲渡企業】

企業名:株式会社厚成社

本社:福島県福島市

上場区分:非上場

業績:売上高1,035百万円(2023年3月期)

事業概要:大手菓子メーカー向けに製菓物流を手掛ける定温物流企業。

【M&A内容】

福岡運輸ホールディングスは、厚成社を買収することで、東北地方における物流網をさらに強化しました。厚成社が持つ定温物流のノウハウを活用し、菓子食品や精密機器など、温度管理が必要な商品の取り扱いを拡充。これにより、福岡運輸の東北圏での物流ネットワーク強化を図り、さらなる輸送能力とサービス向上を目指しています。

④ 株式会社エスライングループ本社による株式会社拓進物流の株式譲受(2024年8月28日開示)

【譲受企業】

企業名:株式会社エスライングループ本社

本社:岐阜県羽島郡

上場区分:東証スタンダード(9078)

業績:売上高49,600百万円(2024年3月期連結)

事業概要:全国に20社のグループ会社を持ち、輸送サービス、物流サービス、ホームサービス事業を展開。

【譲渡企業】

企業名:株式会社拓進物流

本社:埼玉県三郷市

上場区分:非上場

業績:売上高832百万円(2023年10月期)

事業概要:量販店や専門店向けの物流センター管理サービスやピッキング業務を展開。

【M&A内容】

エスライングループ本社は、物流センター管理や商品保管管理に強みを持つ拓進物流を買収することで、同グループの物流加工・保管業務を強化。エスライングループの広範な配送ネットワークとの連携により、付加価値の高い物流サービスを提供し、経営資源の連携やシステムの共有化を通じた効率化を図っています。

⑤ 南日本運輸倉庫株式会社による株式会社不二運輸の株式譲受(2024年8月9日開示)

【譲受企業】

企業名:南日本運輸倉庫株式会社

本社:東京都中野区

上場区分:東証スタンダード(9078)

業績:売上高48,100百万円(2024年3月期)

事業概要:冷蔵・冷凍食品の輸送を主力とし、全国に広範な拠点を展開。

【譲渡企業】

企業名:株式会社不二運輸

本社:埼玉県入間市

上場区分:非上場

業績:売上高540百万円(2023年3月期)

事業概要:自動車部品や住宅建材などの運送を主力とし、倉庫保管業務も展開。

【M&A内容】

南日本運輸倉庫は、不二運輸を買収することで、輸送エリアの拡大と効率化を目指しています。不二運輸が得意とする自動車部品や住宅建材の輸送と南日本運輸の食品輸送ノウハウを融合させることで、幅広い産業に対応できる総合物流サービスの提供を強化しています。

■物流業界M&A:事例の考察

物流業界におけるM&Aの多くは、事業拡大と効率化を目的として行われていますが、特に「輸送の拡大と強化」が共通する重要な要素となっています。ここでは、東部ネットワーク、トナミホールディングス、福岡運輸ホールディングス、エスライングループ、南日本運輸倉庫といった企業が実施したM&Aの事例を基に、輸送事業の拡大と強化がいかにしてこれらの企業に利益をもたらしているのかを考察していきます。

産業用ガスから新エネルギーへ:専門性の拡大と市場参入

東部ネットワークによるテーエス運輸の買収は、産業用ガス輸送という特殊な分野におけるノウハウを獲得するために行われました。テーエス運輸が長年にわたり培った液化酸素、窒素、アルゴンなどの産業用ガス輸送の実績は、東部ネットワークにとって、既存の物流ネットワークに新たな専門性を加えるものでした。さらに、テーエス運輸の持つ水素輸送の実績を活かし、新エネルギー市場への参入も目的とされています。水素やアンモニアといった新エネルギーは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて需要が急速に高まる分野です。こうした輸送の拡大により、東部ネットワークは新たな市場におけるリーダーシップを確立し、長期的な成長を見据えた戦略を進めています。

地域拠点の拡大と競争力の強化

トナミホールディングスによる山一運輸倉庫の買収もまた、輸送エリアの拡大を目的としています。山一運輸倉庫は、静岡県富士市を拠点とし、製紙業界向けの物流サービスを展開しています。トナミホールディングスは、このM&Aを通じて、東名阪エリアでの物流ネットワークをさらに強化し、コスト削減と運送スピードの向上を実現しました。特に、物流の要所ともいえる東名阪エリアに新たな拠点を加えることで、地域内の輸送効率が向上し、競争力の強化につながっています。また、山一運輸倉庫が持つ製紙業界向けの物流ノウハウを取り込むことで、総合的なロジスティクス提案力の向上も図られています。

コールドチェーンの拡充とサービス提供力の強化

福岡運輸ホールディングスによる厚成社の買収は、特にコールドチェーン(低温物流)事業の強化を目的としています。厚成社は、食品や製菓の物流を中心に定温物流を展開しており、この分野に強みを持つ福岡運輸ホールディングスにとっては、事業拡大の絶好の機会となりました。さらに、福岡運輸は、このM&Aによって東北エリアにおける物流ネットワークを強化し、地域密着型のサービスを拡大することが可能になりました。これにより、東北一円での物流サービス提供能力が飛躍的に向上し、全国的なネットワークの強化を通じて顧客満足度の向上も図っています。

グループ内シナジー効果の創出

エスライングループによる拓進物流の買収では、グループ全体でのシナジー効果を最大限に活用することが目的とされています。拓進物流が提供する商品保管・ピッキングサービスと、エスライングループの強力な配送ネットワークを結びつけることで、付加価値の高い一貫したサービスの提供が可能となりました。このM&Aにより、グループ内での経営資源の共有が進み、さらに情報システムの統合を通じた業務の効率化や生産性の向上が期待されています。これにより、物流センター業務の効率化と共に、顧客ニーズに迅速かつ柔軟に対応できる体制が整えられています。

輸送エリアの拡大と総合物流サービスの強化

最後に、南日本運輸倉庫による不二運輸の買収も、輸送エリアの拡大と物流サービスの強化を目的としています。南日本運輸倉庫は、主に冷蔵・冷凍食品の輸送に強みを持っていますが、不二運輸が取り扱う自動車部品や食品容器の輸送を取り込むことで、さらに広範な商品分野に対応できるようになりました。これにより、南日本運輸倉庫は総合物流サービスの提供力を強化し、取引先への付加価値を高めています。

物流業界における輸送の拡大と強化の重要性

これらのM&A事例に共通するのは、輸送エリアの拡大とサービスの多様化・強化です。物流業界は、規模の経済が働きやすい業界であり、企業が物流ネットワークを拡充し、新たな専門性やノウハウを取り込むことによって、顧客への提供価値を高めることができます。また、2024年問題に代表される労働環境の変化や、持続可能なエネルギーへの需要拡大など、物流業界はこれからも多くの課題に直面します。これらの課題に対応するためには、M&Aを通じて事業の拡大と効率化を図ることが、企業の成長と競争力強化に不可欠となっているのです。

物流業界におけるM&Aの目的:2024年以降の動向と戦略

物流業界では、M&Aが活発に行われており、2024年にはすでに株式譲渡だけでも20件以上の適時開示が行われています。また、非上場企業同士のM&Aや事業譲渡を含めると、2024年のM&A件数は100~200件に達すると予想されており、今後さらにその傾向が強まる見通しです。特に2024年問題が業界に大きな影響を与え、M&Aの重要性が高まっています。以下に、物流業界におけるM&Aの目的とその背景を詳しく解説します。

1. 事業拡大と市場シェアの向上

物流業界においてM&Aが行われる主な目的は、事業拡大です。これには、新たなエリアへの進出、取引先の獲得、ドライバーの確保が含まれます。物流業界では規模の経済が働きやすいため、企業が成長するにつれて、効率的にコストを抑えつつ、収益を増やすことが可能です。

  • エリア拡大:M&Aによって新しい地域に進出することで、地理的なカバー範囲を広げることができます。たとえば、関西地域に強い企業が関東圏の企業を買収することで、両地域を結ぶ効率的な輸送ネットワークを構築することが可能になります。
  • 取引先の拡大:グループ全体で様々な貨物や物流サービスを提供することにより、顧客からの信頼度が高まり、新規取引先の獲得が容易になります。複数のサービスラインを持つ企業が統合することで、クロスセルの機会も増え、業績向上が期待できます。
  • ドライバーの確保:ドライバー不足が深刻化している中、M&Aによりドライバーの確保や車両数の増強を図ることができます。特に、地方や都市部での配送網を持つ企業を譲受することで、効率的な人材配置が可能になります。

2. 中継地の確保と2024年問題への対応

物流業界では、中継地の確保がM&Aのもう一つの主要な目的となっています。2024年問題では、年間の時間外労働が960時間に制限され、長距離輸送が大きく制約されることが予想されます。この制限により、各社は新たな中継拠点の確保を急務としています。

  • 中継拠点の迅速な増強:土地や拠点の新規取得には多額の費用と時間がかかります。そのため、他社をM&Aによって取り込むことで、既存の中継拠点を迅速に確保し、効率的な輸送ルートを構築する動きが加速しています。
  • 提携やシナジー効果の活用:特に2024年問題に対応するために、他社との提携やM&Aを通じてコスト負担を軽減し、土地や設備の効率的な運用を進める動きが活発化しています。物流の分野での効率化や、他社との協力によるシナジー効果を最大化するための戦略的なM&Aが求められています。

3. 地場配送へのシフトと効率化

2024年問題に対応する一環として、地場配送へのシフトもM&Aの重要な目的となっています。長距離輸送から地場配送に重点を移すことで、ドライバーの労働負担を軽減し、より効率的な運営体制を構築することが可能です。

  • 地域密着型サービスの強化:地場配送に特化した企業をM&Aで取り込むことで、地元エリアに密着したサービス展開が可能になります。これにより、顧客満足度の向上や、リピーターの獲得につながり、安定した収益基盤の確立が期待されます。
  • 短距離輸送の効率化:長距離輸送を避け、近隣エリアでの配送を強化することは、労働時間やコストの削減に直結します。M&Aを通じて地場配送に特化した企業を買収することで、効率的な物流ネットワークを構築し、競争力を強化することができます。

4. 新分野への参入と技術導入

近年、物流業界では新分野への参入技術導入を目的としたM&Aも増加しています。Eコマースの成長に伴い、特にラストマイル配送や自動化技術の導入が重要視されています。

  • コールドチェーンの強化:食品や医薬品といった温度管理が必要な商品に対応するため、冷蔵・冷凍物流に特化した企業の買収が進んでいます。コールドチェーンの確立は、食品業界や医薬品業界との連携を強化し、収益源を多様化するために有効です。
  • 自動化技術の導入:物流センターや倉庫の自動化を目的に、最新技術を保有する企業を買収し、業務の効率化を進めるケースも増えています。これにより、人件費の削減や作業の効率化が図られ、競争力を高めることが可能です。

5. スモールM&Aの増加と効率化

物流業界では、規模に関わらずスモールM&Aが増加しています。売上規模30億円以下の中小規模の企業でも、積極的なM&Aを通じて競争力を強化する動きが見られます。

  • 小規模企業の取り込みによる効率化:小規模企業を取り込むことで、特定地域や特定業種における市場シェアを迅速に拡大し、効率的な経営が可能になります。大手企業と同様に、地域密着型の企業がスモールM&Aを通じてエリアごとの配送網を拡大することで、コストの削減やサービスの充実を図っています。
  • 物流ネットワークの強化:特に地方や特定の産業に強みを持つ企業を買収することで、全国的な物流ネットワークを強化し、より多くの顧客に対応できる体制を構築します。これにより、サービスの幅が広がり、持続可能な成長が期待されます。

6. 物流テクノロジーの導入とデジタル化の推進

物流業界におけるデジタル化とテクノロジーの活用は、近年ますます重要視されています。そのため、最新技術を保有する企業を買収することで、業務効率化と競争力強化を図る動きが見られます。

  • デジタルトランスフォーメーション(DX)の促進:自動化倉庫、AIによる最適配送ルートの管理、IoTを活用したリアルタイム追跡システムなど、先進的な技術を持つ企業とのM&Aを通じて、物流プロセスのデジタル化を進めることが目的となります。これにより、業務の効率化だけでなく、顧客に対するリアルタイムの情報提供が可能になり、顧客満足度の向上も期待されます。
  • Eコマース市場への対応:Eコマースの拡大により、迅速な配送ニーズが高まっています。M&Aを通じて、EC対応のラストマイル配送サービスや、最適化された物流管理システムを導入し、迅速な対応力を確保することができます。特に、ラストマイル配送を得意とする企業の買収により、都心部や都市近郊エリアでの配送体制を強化し、EC市場での優位性を確立する戦略が進められています。

7. 国際展開とグローバルロジスティクスネットワークの構築

日本国内にとどまらず、海外展開を視野に入れたM&Aも物流業界で増えています。海外の物流企業とのM&Aにより、グローバル市場での競争力を高めることが目的となります。

  • 国際輸送ルートの拡充:海外に拠点を持つ企業とのM&Aにより、アジアや欧米市場への進出が容易になります。これにより、国際輸送ルートを拡大し、グローバルに一貫した物流サービスの提供が可能となります。特に、近年の国際貿易の増加に伴い、アジア諸国や北米市場に強い企業の買収を通じて、より広範囲なエリアでのサービス展開が進められています。
  • 現地対応能力の強化:現地に拠点を持つ企業との提携により、その国や地域の法規制、文化、顧客ニーズに即した物流サービスを展開できます。これにより、日本国内で培ったノウハウを海外市場に活かし、地域特化型の物流サービスを提供することが可能となり、グローバル市場でのプレゼンス向上を目指します。

■まとめ

物流業界におけるM&Aの目的は、事業拡大、中継地確保、地場配送へのシフト、新分野への参入、スモールM&Aの活用、デジタル化の推進、そして国際展開と多岐にわたります。各企業がM&Aを通じて競争力を強化し、変化する市場環境に柔軟に対応することが、持続的な成長と成功の鍵となります。2024年問題をきっかけに、物流業界ではさらなる企業再編が進むことが予測されており、戦略的なM&Aの実行が企業の未来を左右する重要な要素となっています。

物流業界は、2024年以降さらに大きな変革期を迎えます。2024年問題による労働時間の制限や、燃料費の高騰、さらにはドライバー不足といった課題に直面し、各企業はこれらの変化に迅速に対応する必要があります。その中で、M&Aは事業承継や成長のための有効な手段となっています。実際、2024年には既に20件以上の株式譲渡が行われており、開示されていない事業譲渡や非上場企業同士のM&Aを含めると、年間で100~200件に達することが予測されています。この背景には、企業が規模を拡大し、競争力を強化するために戦略的なM&Aを実行している現状があります。

物流業界でのM&Aの主な目的は多岐にわたります。まず、事業拡大や市場シェアの向上が挙げられます。特定の地域に強い企業が他のエリアの企業を買収することで、エリアを広げ、効率的な輸送ネットワークを構築する戦略が一般的です。また、取引先の拡大やドライバーの確保も重要な目的で、M&Aによって顧客基盤や人材資源を迅速に確保することが可能になります。特に、地場配送に特化した企業を取り込むことで、地域密着型のサービスが強化され、ドライバーの労働負担を軽減し、労働環境の改善を図る企業も増加しています。

さらに、物流業界では2024年問題に対応するための中継拠点確保が急務となっており、土地や設備を迅速に確保するため、他社との提携やM&Aが加速しています。中長期的には、地場配送へのシフトを進めることで、より効率的な運営体制の構築を目指しています。また、技術革新や新分野への参入を狙ったM&Aも盛んで、冷蔵・冷凍物流(コールドチェーン)やEコマース対応のラストマイル配送など、成長市場に対応するためのM&Aが進行中です。特に、コールドチェーンの強化は食品や医薬品業界との連携強化に直結し、新たな収益源として期待されています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するため、最新技術を持つ企業を買収し、物流プロセスの自動化や効率化を進める企業も多く見られます。AIやIoTの導入により、最適な配送ルートの構築やリアルタイムの追跡システムの構築が可能になり、顧客満足度の向上を図ることができます。また、国際展開を目指す企業は、海外の物流企業をM&Aすることで、グローバルな物流ネットワークを確立し、日本国内のノウハウを活かした現地対応型のサービス展開が実現可能になります。 今後、物流業界でのM&Aは、事業拡大、中継地確保、地場配送の強化、技術導入、国際展開といった多様な目的で進められるでしょう。企業が変化する市場環境に対応し、持続的な成長を実現するためには、戦略的かつ効果的なM&Aの実行が不可欠です。物流業界では、これらの取り組みを通じて企業再編が進み、新たな成長機会を掴むための動きが加速していくでしょう。

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