【2025年最新】税理士事務所・会計事務所をM&Aした際に発生する手数料とは

税理士事務所・会計事務所をM&Aした際に発生する手数料についてお伝えします。

税理士事務所の現状

日本税理士連合会で行った『税理士実態調査』によると税理士有資格者の半数以上が60歳以上となっており、事務所の承継は業界全体の課題となっています。個人事務所であれば事業承継ができなければ事務所廃業となってしまい、顧問先や従業員の方への影響もあり、税理士法人であっても法人維持という面での課題があります。

そこで、第三者承継としてのM&Aは有力な選択肢となっており、実際にM&Aをされる方は増加しています。

M&Aの相手を探す際の選択肢

M&Aを進める場合、いくつかの選択肢があります。税理士会への相談、知り合いの税理士への相談、M&A仲介会社への相談などがその選択肢となります。税理士会への相談や知り合いの税理士への相談によって進める場合は、ある程度知っている方との交渉となるため、その点においては安心することができる部分があるかと思います。

しかし、探せる事務所の幅には限りがあり、人脈の中で探し切らなくてはならないため、場合によっては任せられる方が見つからないということがあります。一方で、M&A仲介会社を利用すると自身の人脈や近隣エリア以外のエリアの税理士事務所との交渉を行うことができるため、相手が見つからないということは少ないように思います。

 また、事務所のM&Aに当たっては「譲渡対価」といわれる、事務所を譲渡した際にいただく対価を発生することが一般的です。しかしながら知り合いへのM&Aとなると、なかなか面と向かって金額交渉をしづらく、M&A仲介会社が計算する金額よりは低い金額で譲渡されるか、ほとんど対価の支払いが発生しないということもあるようです。この点、M&A仲介会社に依頼するとなると、金額交渉は仲介会社が行うため、一定の基準の中で譲渡対価が発生します。

それ以外にも、M&A後に継続して勤務される場合の報酬なども交渉するため、自身で交渉を進めるよりも経済的なメリットは得やすいといえます。

 M&A仲介会社を利用する場合の注意点

前述のとおりM&A仲介会社を利用することには一定のメリットはあると思われます。しかし、利用いただく上での注意点もあります。

その中で一番大きな部分は「手数料が発生する」ということです。既にM&A仲介会社との提携をされている方や、顧問先のM&Aに関わられた方はご存じのことと思いますが、M&A仲介会社の利用には手数料が発生します。手数料の金額や支払いが必要なタイミングは会社によって異なりますが、一般的には3度の支払いタイミングがあります。

「着手金」「中間金」「成功報酬」

着手金とは、M&A仲介会社に依頼したタイミングで発生する手数料です。定額で設定されることが多く、成約の有無にかかわらず返金されないことが多い報酬体系となります。M&Aの意思が変わらない場合や、確実にM&Aの実現が期待される場合については影響はそれほどないかと思いますが、相手を見ながら決めたい場合やM&Aが実現するかどうかという確信が持てない場合はリスクとなる可能性があります。

中間金は、M&Aのプロセスの中における「基本合意」といわれるプロセスの際に発生する手数料です。基本合意とは、M&Aの基本的な条件について合意するというもので、譲渡価額やM&A後の待遇などを決めたものになるため、概ねM&Aの成立の方向性が固まる譲渡といえます。手数料率は会社によって変わりますが、あらかじめ設定された金額を発生させるものになります。

成功報酬とは、M&Aの最終段階(クロージング)時に支払われる報酬で、M&Aが成立した場合にのみかかる手数料になります。最低報酬という定額報酬に加えて、譲渡金額に応じて割合が変わる「レーマン方式」を採用している仲介会社が多く、譲渡金額によって変わる手数料となります。

 なお、これらの手数料の設定はM&A仲介会社によって異なる部分が多く、着手金や中間金の設定がなく、成功報酬の設定だけとなる「完全成功報酬」という手数料体系にしている会社もあります。こうした手数料体系の場合、M&Aの進行や成立を見ながら事業承継プランを考えることができるため、利用しやすいM&Aの手数料体系であるといえます。

M&A仲介会社以外に係る手数料

M&AにおいてはM&A仲介会社に払う手数料以外にもかかる費用があります。手数料とは違う考え方になるかもしれませんが、お金に関わる部分のため参考としてお伝えします。M&Aにおいては専門家に依頼する部分が多く、その費用は知っていただく必要があります。

プロセスとしては基本合意後に行われる「デューデリジェンス」といわれる「買収監査」においての専門家への依頼です。デューデリジェンスでは、「財務」、「労務」、「法務」、「ビジネス」などのパターンが一般的に行われますが、税理士事務所・会計事務所のM&Aにおいては、「財務」「労務」の範囲にとどまることが多いです。

M&Aを実行するのが基本的には同業であること、事業継続に当たって法務的なチェックが必要な領域が少ないこと、また実行する側が士業であり、自身の知見の範囲で実施できることも理由の一つです。社内で実施しない場合は外部の専門家に依頼することになるため、その報酬・手数料が発生することとなります。

 また、M&Aの最終プロセスにおいて「譲渡契約書」などのM&Aの契約書を締結することになりますが、その作成や監修を弁護士に依頼することがあります。その際にはその報酬・手数料がかかります。

その他細かな手数料がかかることもありますが、個別の状況によって変わるため、M&Aの中でかかる費用や手数料を事前に把握しておきたいという方は、ぜひ一度ご相談ください。

税理士/会計事務所のM&Aに関する詳細な情報は、こちらをご参照ください。

1.税理士・会計事務所のM&AのTOPへ
2.税理士事務所・会計事務所;2024年のM&A動向の振り返り
3.税理士事務所・会計事務所のM&A/事業承継の流れを解説
4.税理士法人のM&Aに関するスキームとその後の流れを徹底解説
5.税理士がM&A実施後に意識する顧問先・案件引継ぎの成功ポイント
6.税理士事務所・会計事務所をM&Aした際に発生する手数料とは
7.成功する会計事務所のM&A、失敗する会計事務所のM&A(譲渡希望事務所編)

最後に税理士・会計事務所向けのM&Aレポートを下のバナーから無料でダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。


山中 章裕

(株)船井総研あがたFAS マネージャー

大学卒業後、船井総合研究所に入社。税理士・会計事務所のコンサルティングに従事。 その後、HR部門にて住宅、不動産、建設、リフォーム、IT、製造、運送、給食、保育園など多くの業種の人材開発を支援。現在は、成長支援型のM&Aコンサルティングに従事。

山中 章裕

(株)船井総研あがたFAS マネージャー

大学卒業後、船井総合研究所に入社。税理士・会計事務所のコンサルティングに従事。 その後、HR部門にて住宅、不動産、建設、リフォーム、IT、製造、運送、給食、保育園など多くの業種の人材開発を支援。現在は、成長支援型のM&Aコンサルティングに従事。