タクシー業界のM&Aの注意点

1、タクシー業界M&Aにおける注意点

タクシー業界におけるM&Aでは、「ドライバーの獲得」、「車両数の拡大」、「異なる地域・エリアへの進出」のためのM&Aのほか、「異なる交通ビジネスへの進出」、「新規事業参入」、「DX」など、M&Aの目的も、年々多様化してきています。

ただ、昨今は、M&Aの増加に比例するように、M&Aにおけるトラブルも増加しており、例えば、M&A成立後の金銭の支払いが履行されないケースや、譲渡企業の運転資金を吸い上げることだけを目的とするような不適切なM&A譲受側とのトラブル。また、金融機関債務に対する経営者保証の取扱いについての適正な対応がなされないトラブル等々、M&A取引そのものに問題が発生するケースが発生しています。

また、人材(ドライバー等)の獲得を目的として行ったM&Aにも関わらず、M&A実行後、キーマンやドライバーの多くが離職してしまうようなケース等、いずれも、本来期待していたM&Aの趣旨と大きく逸脱するような結末を迎えてしまうという不幸な事例も増えてしまっています。

2、M&A後の注意点

また、タクシー業界のM&Aにおいて、実行後のPMI(Post Merger Integration:M&A後の統合プロセス)において、シナジー効果を創出することが求められるのですが、その創出が、下表の事情等により、非常に難しくなっていることに留意が必要となります。

売上面でのシナジー難航要因

コスト面でのシナジー難航要因

人口・マーケットの減少
制度・規制の変化
ビジネスモデル・産業構造の変化
(ライドシェア、自動運転等)
他社との競合激化
人材・資格者の確保困難

原価高騰(燃料費、光熱費高騰)
人件費・採用費高騰
(最低賃金、社会保険料、残業規制)
設備投資資金の高騰(車両等)
金利上昇

 タクシー業界では、新型コロナによる業績の乱高下を経ながら、一定の回復基調に入っている企業様が多いかと思いますが、M&Aを実行するに際しての、今後の計画策定の際には、あまり楽観視し過ぎるのではなく、上表のような要因も加味した、計画策定が必要になってきます。 

3、M&Aはリスクだけなのか

このように、M&Aには注意点が多く、リスクしかないように思われるかもしれませんが、決してそうではありません。結論から言うと、M&Aを、まったく検討しないというリスクの方が大きいものと思われます。自社のリソースのみを活用するかたちで成長を目指す「オーガニック成長」は、今後ますます難しくなることは明白であり、労働集約型のタクシー業界は、更にそれが明白です。

トップライン(売上高)は、エリアによっては、インバウンド需要を獲得できるなどの風向きが向上していることもありますが、それ以外のエリアでは、少子高齢化からの人口減少等、タクシー需要は縮小傾向になってくると言わざるを得ません。

また、業務効率化のために、運行管理、配車効率化等のDXを推進することは不可欠ですし、人件費や採用費についても高騰の一途を辿り、さらに良い人材を確保するには、教育費や福利厚生費も削減どころか、むしろ経費を更に投下する必要があることもご理解いただけるかと思います。

そのような中で、自社単独で経営することだけを唯一の手段と思いこみ、自社の周りはグループ化を進めることで、業務の効率化を進めているような環境になってしまうと、エリアでの優勝劣敗が進みかねないことになります。日常から、業界の動向や、周辺の競合状況も把握しながら、オーガニック成長だけを目指すのか、M&Aを含むインオーガニック成長(他社資源を活用した成長)を目指すのかは、常に比較検討することが、経営には必要になってきています。

 4、共棲共栄型M&Aついてお問い合わせください

このように、M&Aにはリスクがあることは間違いありませんが、M&Aを一切検討しないこともリスクでしかありません。また、国内のマーケットが縮小する中で、同業者同士の過当競争は、双方が消耗するだけでメリットがありません。

そこで、船井総研グループがご提案させて頂いているのは、「共棲共栄型M&A」です。

「競争ではなく、共棲していく」ことができれば、自社の成長に有効な手段となるだけではなく、地域に必要不可欠な交通インフラとしてのタクシー会社として、地域活性化にも貢献できるものと考えております。このような理念をもったM&Aにご関心をお持ち頂けましたら、是非一度、船井総研あがたFASまで、お気軽お問い合わせください。

松本 武

(株)船井総研あがたFAS チーフコンサルタント

大学卒業後、ノンバンクへ入社。 営業・法務・管理部門を担当する中、当該ノンバンクが投資ファンドに買収されたことにより、その後、投資ファンド側でのM&A(企業買収・売却)や事業再生支援に従事、買収企業でのハンズオン支援などにも携わる。 2019年船井総合研究所に入社。M&A部門にてエネルギー業界、人材派遣業界、サービス業等幅広い業界でM&A成約のサポートを行っている。

松本 武

(株)船井総研あがたFAS チーフコンサルタント

大学卒業後、ノンバンクへ入社。 営業・法務・管理部門を担当する中、当該ノンバンクが投資ファンドに買収されたことにより、その後、投資ファンド側でのM&A(企業買収・売却)や事業再生支援に従事、買収企業でのハンズオン支援などにも携わる。 2019年船井総合研究所に入社。M&A部門にてエネルギー業界、人材派遣業界、サービス業等幅広い業界でM&A成約のサポートを行っている。