タクシー業界のM&Aの失敗事例

1、タクシー業界のM&Aの失敗事例
多くのM&Aが行われているタクシー業界ですが、すべてが当初の目的通りに進み、M&A自体が成功に至ったと言えるかというとそうではありません。当初想定していたような事業計画での推移ではなかったり、想定していたシナジー効果の創出が出来なかったり、ひいては、取得した株式の減損損失を計上してしまったりと、いわゆる「失敗」という結末に至るようなケースも散見されているのが、残念ながら事実であります。
但し、結論から申しますと、失敗を恐れるばかり、M&Aという成長の手段の選択肢を、一切考慮しないことの方が、今後の企業運営においては、よりリスクが高いものと考えております。大局的には国内の人口減少の中、国内需要も縮小を避けられない状況下で、オーガニック成長を続けることは非常に難しく、また自社のリソースだけで、新たな市場への進出や新たなサービスを導入することにも、相当なリスクがあることから、その手段の選択肢として、M&Aも必ず比較検討すべきということになります。
2、具体的な失敗事例
それでは、実際にM&Aの場面で、どのような失敗が起こり得るか、ケースに沿って見ていきましょう。
M&A検討段階
まず、譲渡側では、情報収集力がカギとなります。
自社の企業価値はどの程度なのか、適正なパートナー企業はどのような企業か、業界を理解して、的確なアドバイスをもらえるアドバイザリー会社はどこなのか、等々、これらの前準備を怠ったかたちで、M&Aのプロセスをむやみに進めてしまうと、「こんなはずではなかった」「こんなつもりではなかった」と、必ずどこかでプロセス自体に破綻をきたすことになりかねません。徹底した、事前の情報収集、前準備を心掛けてください。
次に、譲受側においては、「M&Aの本当の目的は何か」ということを徹底的に定めてください。
「M&Aが流行っているから」、「周りの関係者もやっているから」、というだけで、M&Aの譲受を検討してしまうと、M&Aをすること自体が目的となってしまい、本来の目的であるべき、自社の成長のためのM&Aということが無いがしろになってしまい、例えば、M&A仲介会社や紹介会社に言われるがまま、M&Aを進めてしまい、結果としては、何らのシナジー効果も創出できないというようなことも想定されます。
M&Aは、決してオススメされたものを買う「お買い物」でも、イチかバチかの「ギャンブル」でもございません。自社は、何を獲得するために、M&Aを検討しているのか、そして、M&A以外の他の手段よりも優れているのかを、きっちりと吟味する必要がございます。
M&Aの検討プロセス段階
この期間は、譲渡側・譲受側いずれの当事者も相手方を意識した言動を心掛ける必要があります。お互いの業務や業績を理解するという重要な段階であるとともに、相性も含めて、M&Aの後に一緒にビジネスを行う際のイメージを明確にしていくことが重要になります。
M&Aの検討プロセスは、トップ自身が行わず、担当者等が行うケースもあるかと思いますが、単に受け身の姿勢ではなく、トップが率先垂範しながら、M&Aの検討を進めていくというのが、理想のプロセスであり、M&Aを使って成長を続けている「M&A巧者」は、必ずそれを行っています。
M&A後
M&A後は、両社の信頼関係を構築することを第一に考え、適正な距離感の中で、グループ運営を行うことを意識しましょう。グループ化した会社に気を遣うあまりに、経営を完全に委任してしまったり、逆に強制的・支配的な言動で、管理を強要したりする行為は、信頼関係が構築されず、キーマンの離脱や、従業員とのハレーションが起きることで、当初想定していたようなシナジー効果を創出すことが出来ないケースも散見されます。
また、タクシー業界においては、ドライバーという「ヒト」が、事業の根幹となり、その獲得をM&Aの目的とされるケースも多いものと思われます。M&A後に、譲渡側の従業員等の関係者との間で、「変化」「成功」を体感いただける施策を、スピード重視で数多く実践することが必要です。
車輛の刷新やシステム投資など、多くの金額が掛かるハード面での投資も長期的には必要ですが、例えば、「ITツールの貸与」「制服の刷新」「ロゴマークの社員公募」「社長賞などの表彰制度」「食事会や社内SNSなどのコミュニケーションツール」等々、小さな変化でも構わないので、全ての関係者に「変化を体感」してもらうことが、M&A後の施策の第一歩だと考えます。
3、M&Aについて、ご不明な点があればお問い合わせください
このようにM&Aと一言で言っても、各段階において留意すべき点も異なり、それを見誤ることで、当初想定していようなM&Aの目的を成就できないことも考えられます。
船井総研あがたFASでは、「M&A・事業承継で、サステナグロースカンパニーをもっと。」という理念のもと、経営者の皆さまの事業承継のお悩みにワンストップで対応させて頂くことはもちろん、M&Aでの譲受を検討されている皆さまにおいては、非連続の成長に向けたM&Aの戦略立案やビジネス・財務・税務・労務のデューディリジェンス等幅広いコンサルティングを提供しておりますので、何かご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。

松本 武
(株)船井総研あがたFAS チーフコンサルタント
大学卒業後、ノンバンクへ入社。 営業・法務・管理部門を担当する中、当該ノンバンクが投資ファンドに買収されたことにより、その後、投資ファンド側でのM&A(企業買収・売却)や事業再生支援に従事、買収企業でのハンズオン支援などにも携わる。 2019年船井総合研究所に入社。M&A部門にてエネルギー業界、人材派遣業界、サービス業等幅広い業界でM&A成約のサポートを行っている。

松本 武
(株)船井総研あがたFAS チーフコンサルタント
大学卒業後、ノンバンクへ入社。 営業・法務・管理部門を担当する中、当該ノンバンクが投資ファンドに買収されたことにより、その後、投資ファンド側でのM&A(企業買収・売却)や事業再生支援に従事、買収企業でのハンズオン支援などにも携わる。 2019年船井総合研究所に入社。M&A部門にてエネルギー業界、人材派遣業界、サービス業等幅広い業界でM&A成約のサポートを行っている。