本コラムでは、後継者不在に直面するOA機器販売店の経営者様向けに、業界再編の現状、M&Aの基本的な流れや、従業員とお客様の未来を守るための注意点をわかりやすく解説します。
会社の売却・事業承継でお悩みの経営者様へ
「長年育ててきた会社を廃業させたくない」「従業員の生活やお客様との関係をどう守るか」―このような切実な悩みを抱え、M&Aという選択肢を匿名で検索されている経営者様は少なくありません。
M&Aは決して大企業だけのものではなく、特に中小のOA機器販売店にとって、事業を未来へ繋ぐための最も現実的な解決策になりつつあります。この選択が、大切な会社と人を守る道になることをお伝えしたいと思います。
売り手のメリット
M&Aは金銭的な利益を得るだけでなく、経営者様が最も重視する「従業員と顧客、取引先を守る」という部分で大きな責任を果たせるというメリットがあります。
①従業員の雇用と未来の確保
新しい親会社のもとで従業員の雇用契約を交渉の最重要条件として守りやすくなり、より大きな組織での経営資源を活用した事業継続の機会を得られる可能性があります。
M&A後の従業員の雇用や待遇の変化についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
②顧客・取引先の維持
廃業により途切れてしまうはずだった保守サービスや取引が継続され、お客様に迷惑をかけることなく事業を引き継ぐことができます。
③創業者の利益の獲得
会社を売却することで、長年の努力に対する報いとして、まとまった売却益を得ることができますが、これには申告分離課税の対象となる譲渡所得税などがかかります。税金や手取り額の詳細については、専門家にご相談ください。
M&Aでかかる税金の種類や計算方法についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
OA業界の「大再編時代」で何が起きているのか?
M&Aという選択肢を検討する上で、まずは皆様が長年携わってこられたOA業界が、現在の市場でどのような環境にあるのかを理解することが重要です。現在の業界は、静かに、しかし急速に「大再編時代」へと突入しています。
OA業界のM&Aについて、小さな会社でも成功させるための具体的な進め方を知りたい方はこちらをご覧ください。
淘汰の波:中小零細企業が直面する「冬の時代」
現在、売上が1億円から3億円未満の小規模企業にとって、市場環境は非常に厳しくなっています。この層の企業は、ビジネスモデルが文具販売や官公庁の入札案件に偏っていることが多く、さらにアスクルなどのB2B通販企業の台頭により、低価格競争に巻き込まれ、構造的に利益率が低いためです。今後2〜3年でまず売上1億~3億円未満の企業の淘汰が進み、その後5〜10年で、地域の雄である5億〜8億円の中堅企業の再編が起きてくると予想されます。
再編背景
①利益率の低迷
原価率が80%を超えるケースも少なくなく、次の成長エンジンへの投資体力が失われています。
②高齢化による停滞
経営者の高齢化(60歳超)と従業員の平均年齢の上昇(50歳超)が重なり、DXやセキュリティといった新しい収益源への転換が時間的に困難になっています。
③後継者不在
長年会社を支えてきた経営者が引退を迎えるにも関わらず、事業を引き継ぐ後継者が社内・社外に見つからず、事業継続が困難になるケースが急増しています。
残された選択肢は、自力で立て直すには時間が足りず、結果的に「廃業」か「売却」しかありません。売却を希望する動機は、価格よりも「従業員の雇用維持」という切実な思いが中心となっています。
市場の成熟化に伴う業界再編の動き
国内市場の成熟化に伴い、大手OA機器メーカーやITサービス企業は、成長戦略としてM&Aを積極活用しています。
ストック収益の獲得
大手が自力で新規開拓するよりも、地域の販売会社を買収することで、安定した顧客基盤と保守契約というストック収益を効率的に獲得したいという狙いがあります。
競争激化とロールアップ戦略
一部の優良な中堅企業は、生き残りのために周辺の小規模企業を次々と買収し、規模のメリット(仕入れ交渉力の向上など)を活かして収益性を改善する「ロールアップ戦略」を採用し始めています。
顧客リストの有無が決め手になる
OA機器販売店の真の価値は、目に見える機器や在庫の量ではなく、長年にわたり築き上げてきた「顧客との信頼関係」と「保守契約という安定収益源」です。
買い手企業は、この安定した顧客基盤と、それを支える技術者こそが最大の魅力だと考えます。この「ストック収益」の評価が、M&Aの成功と売却額を大きく左右します。
なお、顧客リストの引き継ぎには、個人情報保護法に基づいた適切な対応が必要になる点にご留意ください。
OA業界でM&Aを行う際の注意点と心構え
M&Aを成功させ、後悔しないために、売り手が事前に知っておくべき「準備」や「情報管理」の重要ポイントを解説します。特に初めてM&Aを経験する経営者様は、実務的な注意点を冷静に理解しておくことが重要です。
M&Aの戦略や準備を入念に行う
M&Aが選択肢に入ったら、まずは「どの企業にグループインするのか」「何を譲れないか(特に従業員の雇用)」という目的を明確にすることが重要です。
①目的の明確化
従業員の雇用維持が最優先か、譲渡価格が最優先か、オーナー自身の役職、役割など、譲れない条件を整理します。
②会社の強み・弱みの把握
顧客の数、保守契約の安定性、特定の技術者のスキルなど、自社の魅力を再確認します。
顧客離れを防ぐための情報管理と説明責任
M&Aの検討は水面下で進める必要があります。情報漏洩は従業員や顧客に不安を与え、M&Aが破談になるリスクもあるため、細心の注意が必要です。
M&A交渉における情報漏洩リスクの具体的な対策についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
機密保持の徹底
M&Aの交渉中は、情報が外部に漏れないよう厳重に管理します。
顧客への説明責任
M&Aが成立した後、新しい経営体制でサービスが継続されることを、お客様に対して誠実に説明するタイミングと方法を慎重に計画する必要があります。
M&Aを成功させる「非金銭的価値」:経営者の安心
M&Aは金銭的な交渉だと見られがちですが、譲渡企業が最終的に決断を下すのは、「安心」という非金銭的価値です。
引退後の人生設計
売却後も経営者として何年働くのか、あるいは引退した場合のセカンドキャリアはどうなるのか。この経営者自身の人生設計まで含めて、将来を保証してくれる譲受企業が選ばれます。
従業員の成長
ナンバー2などの後継者が、経営の雑務(人事・労務など)に煩わされず、事業成長に専念できる体制を親会社側が提供できるかどうかも、大きな差別化要因となります。
OA業界の将来と事業承継でお悩みの方は、まずあなたの業界に特化したM&A・事業承継の資料をダウンロードするか、一度当社の業界特化のコンサルタントにご相談ください。この大切な事業と従業員の未来を、最も良い形で次世代に繋ぐためには、まず御社の持つ真の価値を正しく評価することが重要です。M&Aのプロセス全体を円滑に進めるためには、M&Aアドバイザリー業務に精通した専門家(M&A仲介会社など)にご相談ください。
そして、法務は弁護士、税務は税理士の専門知識が不可欠であることを理解しておきましょう。
M&Aの進め方や成功のポイントについて全体像を知りたい方はこちらをご覧ください。
OA業界のM&Aに豊富な知見を持つ船井総研あがたFASへのご相談、または各業界に特化したM&A、事業承継に関する資料をダウンロードしてください。
> M&A(譲渡側)問い合わせフォーム
> M&A(譲受側)問い合わせフォーム
> 事業承継問い合わせフォーム