基礎知識

M&Aにおけるマルチプルとは?用語解説

本記事では、M&Aにおける企業価値評価の要となる「マルチプル法」について、その仕組みから実務上のメリット・デメリットまでを網羅的に解説します。

2026年現在、市場環境の不透明感が増す中で、自社の価値を客観的な「物差し」で測る重要性はかつてないほど高まっています。買収や譲渡を検討する際、必ずと言っていいほど登場するこの手法を正しく理解することは、納得感のある取引への第一歩です。

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マルチプルとは

M&Aを検討される際に「マルチプル」という言葉を聞くことがあるかもしれません。マルチプル法とは端的に言えば、企業や株式の価値評価の際に、数字として算出する手法の一つになります。様々な評価手法がありますが、なかでもマルチプル法は客観性が高いことに定評があります。

本記事では、マルチプル法の概要やメリット・デメリットを解説します。

企業価値の選定方法

企業のバリュエーションには、アプローチの方法が大きく3つほどあります。具体的には、売却企業の利益率や還元率などから価値を算出するインカムアプローチ、売却企業が今まで投資してきた金額から評価するコストアプローチ、マーケットの動向から価値を算出するマーケットアプローチなどです。中でもマーケットアプローチにおいて、マルチプル法が利用されます。

マルチプル法

「マルチプル」とは、様々な意味を持つ単語ですが、ここでは「倍率」のことを指し、対象企業と他の企業を比較して、評価倍率を算出することで評価付けをします。マルチプル法は類似企業比較法とも呼ばれており、名前の通り、類似した企業の時価総額との倍率によって価値を算出します。そのため、客観的に価値評価を行えることが強みになります。

マルチプル法を用いて評価できる主な価値は、企業価値・株式価値・投資価値になります。次に、マルチプル法において、価値算出のために使われる指標について簡単に解説します。

マルチプル法の指標

マルチプル法を用いて価値評価をする際に、よく活用される指標がいくつかあります。

「EBIT」「EBITDA」「PER」「PBR」といった指標です。

EBIT・EBITDA

EBITは、Earnings Before Interest and Taxesの略で、利払前・税引前利益を意味します。

EBITを活用することで、借入金に対する利息を税金控除前の収益から差し引き、利益に計上されない金額を取り除くことができます。

EBITDAは、Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、利払前・税引前・償却前利益を意味します。

EBITDAを活用して、「EV/EBITDA倍率」を算出することで、対象企業の評価を行います。

PER

PERは、Price Earnings Ratioを意味し、株価収益率を指します。株価の状況から価値を判断する指標です。マルチプル法との親和性が高く最も多く用いられる指標になります。

PERを用いることで、対象株式へ投資した際の回収までの期間を予測することができます。

PBR

PBRは、Price Book-value Ratio価格簿価比率)を意味し、株価の純資産を表す指標です。株式の状態を評価するため、外向きの市場価値を測ることができ、PERと同じくマルチプル法でよく用いられる指標になります。

マルチプル法のメリット・デメリット

メリット

・企業価値の算出が難しい非上場企業でも、類似企業から価値の算出が行える

・他社との比較によって価値を算出するため、客観性が高い

・将来価値の推測が可能

デメリット

・比較した企業と対象企業のマルチプルが、ぶれている可能性がある

・非上場企業の類似企業を規模の大きい上場企業から探すのが難しい

・算出者の裁量に影響を受ける

まとめ

このように、「マルチプル」とは、バリュエーションの際に用いられる手法の一つです。類似企業との比較によって評価倍率を算出することで、企業価値を評価します。

他社との比較や市場価値の算出によって価値をつけるため、比較的客観性の高い評価手法になりますが、完全なものであるわけではありません。 バリュエーションには入念な対策が必要です。アドバイザリー等を活用することで、より良いバリュエーションを行えるようにしましょう。

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光田卓司

(株)船井総研あがたFAS 取締役

2008年株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に入社。入社後は専門サービス業の経営コンサルティングに従事し、2019年より専門サービス支援部部長に就任。併せて、多数のM&A支援に従事。2022年同社M&A支援部部長に就任、同社M&A部門の成長を牽引した。2025年1月、株式会社船井総研あがたFASの取締役に就任。

光田卓司

(株)船井総研あがたFAS 取締役

2008年株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に入社。入社後は専門サービス業の経営コンサルティングに従事し、2019年より専門サービス支援部部長に就任。併せて、多数のM&A支援に従事。2022年同社M&A支援部部長に就任、同社M&A部門の成長を牽引した。2025年1月、株式会社船井総研あがたFASの取締役に就任。