レポート

求めていないのに、M&A譲渡案件が舞い込む会社の3つの特性

特性①自社の取り組みを社内外に発信し続ける企業であること








画像提供:PIXTA

中小企業であっても、単年度計画に加え、中期経営計画をつくり、取引関係者を招いて決算発表会や経営計画発表会を開催する会社も存在します。

それによって取引先との信頼関係を保つことや、金融機関への説明を定期的に行っているわけです。当然に会社の戦略や目標が外部にも周知され、いざ譲渡を考えようとしている企業に伝わり、直接の連絡のほか、その会社と取引のある金融機関、会計事務所などから「一緒にやってほしい」とオファーが来るといったことがあります。自社の取り組みを外部に発信していくことの付随効果と言えます。

特性②経営者の経営スタイル・人間力にカリスマ性があること


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会社の規模や業界に偏見を持たず、相手が困ったときには相談に乗る、経営者仲間に声がけして孤立させないなど、人間としての魅力に溢れ、幅広い視野と才覚を持っている経営者は、同業のさまざまな相談を受けるものです。

こういった経営者に対しては、売る側も「M&Aで会社を譲り受けた際に従業員も大事にしてくれる」という期待が湧きます。

企業の経営者が高齢となり事業承継の課題を抱え、真っ先に相談したいと考える際は、自身が最も信頼している経営者が思い浮かぶものです。

取引先の後継者不在の相談を受けることが、M&Aの1つのきっかけとなります。逆に評判が悪くなるような事象があると、仲介会社や金融機関が売り手に紹介をしても、地域の評判の悪さを理由にNGを出されてしまうケースも多くあります。

特性③財務状況・経営成績ともに外部から一定の評価を受けている企業であること


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自社が後継者不在や経営不振となった場合に、借金を引き継いでくれる体力があることが、買い手企業の前提となります。そうなると客観的に見たときに、採用活動や投資活動に積極的であることや、銀行からの評価が高いことがきっかけで、紹介者を通じて譲渡企業の情報が舞い込むことがあります。

企業とその経営者は常に外部から見られています。

M&Aの譲渡企業の情報を集めるには、単なる仲介会社への声がけだけではなく、自社の魅力を外部に発信し、地場の取引関係者と信頼関係を築き続けていくことが自然と相談が舞い込むことに繋がるため、上記3つの共通点から自社やご自身に置き換えてみていただければと思います。

問われるのは「日ごろの姿勢」と「発信の取り組み」


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「M&Aが舞い込む企業の特徴」として3つお伝えしましたが、この内容は決してM&Aに限った話ではありません。

自社の取り組みをしっかり外部に発信するとは、それだけしっかり自社についての棚卸ができていて、外に伝えられる状況にできていることを意味します。

同業者の相談を受けるような顔の広さ、対応してもらえる経営者としての懐の広さや、会社は正しいあり方をしているかなど、日ごろの姿勢が見られています。

「この会社は儲かっている、お金がありそう」と思ってもらえることは、M&Aに限らずさまざまな投資案件を呼び込むものです。

なお、1つM&Aが成立すると「あの会社は買ってくれる」と周知され、持ち込みは一気に増えていきます。

そこはやはり、実績がモノを言います。

そのようなよいサイクルが回っていくためにも、やはり最初のM&Aは非常に重要です。

よいM&Aを成功させることは、よい会社経営をしている、経営者としてよい立ち居振る舞いをできていることを意味しますので「M&Aをするために」と目的を限定せずに、企業経営に臨んでいただければと考えています。

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