葬祭業M&Aがなぜ今頻繁に起きているのか~葬祭業事例~
- 葬祭業 M&Aレポート
今回は弊社でご支援させていただいた葬儀社のM&A事例の中で互助会の事例について触れていきたいと思います。
互助会系葬儀社のM&Aの特徴として、事業系葬儀社と比べ、M&Aの成約率が低い状況にあります。
その理由として、財務上の問題があります。
互助会組織は毎月会費をお客様からお預かりし、冠婚葬祭の事象が発生した際に、安価で儀式が出来るのが利点としてあります。
この点で、会計上はお客様から会費をお預かりしている段階では、預り金として計上され、現金をプールしていくことになります。
一般的に互助会系葬儀社に多い傾向が、本来預り金である会費相当分の現金を、拠点展開のための設備に相当額投資し、現金がなく、固定資産があり、預り金が残っているという状況です。
これでは、買い手としては、受注があっても現金が増えることはなく、売上高が計上されていくことになり、M&Aのメリットは薄いものとなってしまいます。
この点、互助会系葬儀社を売却したいとご相談いただいた企業様は、本来投資にも使える現金をしっかりとプールしておき、実際に発生した利益と借入金で設備投資を行っていらっしゃったことから、現金=預り金という状態になっていました。その部分で買い手からの評価は高く、案件が進展しました。
通常M&Aでは、ある程度会社の決算状況や業務内容を確認後にトップ面談を行います。
その上で、案件を進めるということになれば、基本合意契約という仮契約のようなものを行います。
その後、決算内容や勤怠管理、業務内容に問題がないかM&A前の調査を行い成約となるのですが、こちらの企業様は細かい論点はあったものの、ハードルとしては建物に一部アスベストが使用されている点くらいで、スムーズに最終合意契約となりました。
今考えてみると、やはり互助会系葬儀社がM&A(売却)を検討する場合は、
・現金と互助会保証会社への預け金が最低でも会費の預り金を上回っている事
・現金と固定資産のバランスが固定資産に偏りすぎておらず、借入金も過大になっていない事
が成約の前提条件であるのかと思います。
ただし、どういう形であれ葬儀社のM&Aは活路があります。お悩みの方は是非ご相談ください。
船井総研入社後は専門サービス業の経営コンサルティング部門の統括責任者として多数のM&Aを経験。現在は、M&A部門の統括責任者をつとめる。買って終わり、売って終わりではなく、M&A後の企業成長を実現するマッチングに定評がある。過去経営支援を行ってきた企業は200を超える。
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