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医療法人M&Aの徹底解説「成功の鍵と注意点」

近年、医療業界においてもM&Aは事業承継や経営改善、事業拡大の有効な手段として注目されています。特に、後継者不足や経営環境の厳しさが増す中で、そのニーズは高まっています。本稿では、医療法人のM&Aを検討する上で重要なポイントを、長年にわたり医療機関の経営をサポートしてきた船井総研あがたFASのM&Aコンサルタントの視点から解説いたします。

まず、「医療法人M&Aスキーム」として、持分あり医療法人と持分なし医療法人における特有の譲渡方法や、合併、事業譲渡といった代表的な手法についてご説明します。次に、「医療法人M&A相場」については、医療機関の価値評価の難しさや、収益性、地域性、医療機器、人材といった評価要素に触れながら、相場観を養うためのポイントをお伝えします。

また、「医療法人M&A注意点」として、法規制、価格評価の難しさ、従業員や患者への影響など、医療法人特有の注意すべき点を詳しく解説します。さらに、「医療法人M&A手続き」では、検討開始から契約締結、統合までの一般的な流れに加え、医療法人のM&A特有の手続きや認可についても解説します。

このコラムを通して、医療法人のM&Aに関する理解を深め、成功に向けて一歩踏み出すための一助となれば幸いです。

医療法人M&Aのスキーム|持分・事業譲渡・合併を解説

医療法人のM&Aにおけるスキームは、その法人格の特性によっていくつかの種類があります。主なスキームとしては、持分あり医療法人における持分譲渡、持分なし医療法人における社員の交代、そして医療法人同士の合併(吸収合併・新設合併)、さらに事業譲渡などが挙げられます。

持分あり医療法人の場合、出資者はその出資額(持分)に応じて解散時や退社時に払戻しを受ける権利を有しており、M&Aにおいてはこの持分を譲渡し、社員の立場を承継することで経営権の移転が可能になります。

一方、持分なし医療法人には持分の概念が存在しません。この場合は、社員の入退社という手続きを通じて、理事や理事長といった経営陣を交代させることで経営権を移転します。

医療法人同士の合併には、吸収合併と新設合併の2種類があります。吸収合併は、存続する医療法人が消滅する医療法人の権利義務のすべてを承継する形です。杏和会と啓和会の事例では、持分譲渡後に合併契約を締結しております。一方、新設合併は、複数の医療法人が解散し、新たに医療法人を設立し、すべての権利義務を承継させる形になります。合併は、社団医療法人相互間、及び、財団医療法人相互間においてのみ可能であり、社団医療法人と財団医療法人との間での合併はできません。

事業譲渡は、医療法人の事業の一部または全部を他の医療法人や法人に譲渡するスキームです。ただし、事業譲渡では、過去に受領した補助金・助成金等の返還が必要になる場合や、借入金の承継が原則としてできないなどの注意点があります。

このように、医療法人のM&Aにおいては、法人格の種類や目的に応じて適切なスキームを選択することが重要になります。船井総研あがたFASでは、それぞれの医療法人の状況を詳細に分析し、最適なスキームをご提案いたします。

医療法人M&Aの相場|価値評価の要素と算定のポイント

医療法人のM&Aにおける相場を正確に把握することは非常に難しいと言えます。一般的な企業と異なり、医療法人は非営利性が求められるため、単純な収益性だけで価値が決まるわけではありません。医療機関の価値を評価する際には、収益性はもちろんのこと、地域における医療ニーズ、診療圏の状況、患者数、医師やスタッフの質と数、保有する医療機器や設備の状況、施設の老朽化度合い、そして将来性など、多岐にわたる要素を総合的に考慮する必要があります。

M&Aの価格交渉においては、譲渡側と譲受側のそれぞれの目的や状況によっても大きく変動します。譲渡側が事業承継を最優先とする場合と、資金調達を主な目的とする場合とでは、価格交渉のスタンスも変わってきます。譲受側も、新規参入や事業拡大を目的とするのか、シナジー効果を期待するのかによって、許容できる価格帯が異なります。

船井総研あがたFASでは、医療業界に特化した専門のコンサルタントが、財務状況はもちろんのこと、非財務的な要素も考慮した適正な価値評価を行い、M&A交渉をサポートいたします。M&Aの検討にあたり「どのような条件での取引が行われているのか、事前にある程度把握できて良かった」というお客様の声もいただいております。

医療法人M&Aの注意点|法規制・従業員・患者への影響

医療法人のM&Aを成功させるためには、一般的な企業のM&Aとは異なる、医療法人特有の注意点を理解しておく必要があります。主な注意点としては、法規制、価格評価の難しさ、従業員の反発、そして患者への影響などが挙げられます。

まず、法規制についてですが、医療法をはじめとする様々な法律や規制が医療法人のM&Aには適用されます。特に、医療法人の設立や運営には都道府県知事の認可が必要であり、M&Aにおいても事前相談や認可の手続きが求められる場合があります。医療法人は公益性が高いことから、M&Aにおいても厳格なルールが適用されます。また、患者の診療情報などの個人情報保護についても、細心の注意を払う必要があります。これらの法規制は複雑で専門的な知識が必要となるため、専門家への相談が不可欠になります。

次に、前述の通り、価格評価の難しさも大きな注意点です。医療機関の価値は、財務状況だけでなく、医師やスタッフの質、地域における評判なども考慮する必要があるため、客観的な評価が難しい場合があります。適切な価格でM&Aを行うためには、専門家による評価が不可欠です。

従業員の反発も十分に考慮すべき点です。M&Aによって、雇用条件や労働環境が変化する可能性があるため、従業員が不安を感じたり、離職してしまう可能性も懸念されます。M&Aを成功させるためには、従業員への丁寧な説明やコミュニケーション、適切な人事制度の設計などが重要となります。特に、医師や看護師など専門性の高い人材の確保は医療機関の経営において非常に重要であるため、M&Aによる人材流出は大きなリスクとなります。クロージング後、早期に従業員に情報共有を行い、不安や疑問を解消していくことが推奨されます。

さらに、患者への影響も無視できません。M&Aによって、診療時間や診療体制、医療費などが変更される可能性があり、患者が不安を感じたり、通院を継続できなくなる可能性もあります。M&Aを検討する際には、患者への影響を最小限に抑えるよう、十分な配慮が必要です。M&A後も同様に、患者が安心して医療サービスを受けられるよう、丁寧な説明や対応を行う必要があります。

船井総研あがたFASでは、これらの注意点を踏まえ、法務、財務、人事など、各分野の専門家と連携し、医療法人のM&Aを全面的にサポートいたします。「自社がM&Aを行うに当たって解決すべき課題がわかった」というお客様の声もいただいております。

医療法人M&Aの手続き|検討開始から統合までの流れ

医療法人のM&Aの手続きは、一般的な企業のM&Aと同様に、検討開始から基本合意、デューデリジェンス(DD)、最終契約、クロージング、そして統合(PMI:ポスト・マージャー・インテグレーション)という段階を経て進みます。医療法人の場合、これらの一般的な手続きに加えて、医療法人特有の手続きや認可が必要になる点に注意が必要です。M&Aは通常、検討を開始してから契約が成立するまで平均9ヶ月~10ヶ月を要します。早期の準備が重要になります。

検討開始段階では、まずM&Aの目的を明確化し、自社の現状分析を行います。事業承継、経営改善、事業拡大など、M&Aによって何を実現したいのかを明確にすることが重要です。次に、M&A仲介会社やコンサルティング会社などの専門家に相談し、情報収集やアドバイスを受けながら相手先の選定を行います。

相手先との間で基本的な条件について合意に至ったら、基本合意書(MOU)を締結します。基本合意書には、秘密保持義務や独占交渉権などが定められることが一般的です。続いて、譲受側によるデューデリジェンス(DD)が実施されます。デューデリジェンスとは、対象となる医療法人の価値やリスクを詳細に調査するプロセスであり、財務、法務、事業、税務、人事など、多岐にわたる分野の調査が行われます。譲渡側は、デューデリジェンスに備え、必要な資料を準備し、質問に誠実に対応する必要があります。

デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な契約内容について交渉を行い、最終契約書を締結します。契約締結に先立って、理事会や社員総会での決議が必要になる場合があります。また、医療法人のM&Aにおいては、都道府県知事への認可申請などの手続きが必要になります。

クロージングは、契約で定められた日に対価の支払いや経営権の移転が行われる段階です。医療法人の場合、経営権の移転は理事や社員の入退社によって行われることになります。

M&A成立後には、統合プロセス(PMI)が重要になります。組織文化の融合、人事制度の統合、システム統合など、両法人がスムーズに連携し、シナジー効果を発揮するための取り組みが必要になります。M&Aを事業戦略に上手く組み込んでいる法人の中には、PMIの専門チームを有する法人もあります。

船井総研あがたFASでは、M&Aの各段階において、専門的な知識と豊富な経験に基づき、手続きのサポートから交渉のアドバイス、そして統合支援まで、一貫したサービスを提供いたします。

医療法人M&Aに関する情報収集と専門家活用の重要性

医療法人のM&Aを検討する際には、適切な情報収集が非常に重要になります。M&Aに関する書籍やウェブサイト、セミナーなどを活用し、基本的な知識を習得することから始めましょう。M&A仲介会社等が掲載している医療機関のM&Aに関する事例も参考になります。

特に、医療法人のM&Aは法規制や手続きが複雑であるため、独力で進めることは困難と言わざるを得ません。M&A仲介会社、コンサルティング会社、弁護士、税理士など、専門家と連携し、適切なアドバイスやサポートを受けることが成功への近道となります。専門家は、M&Aに関する豊富な知識や経験を有しており、M&Aプロセスをスムーズに進めるためのサポートや、譲渡側の利益を最大限に守るための交渉などを代行してくれます。

M&A仲介会社は、M&Aの相手探しや交渉、契約締結などをサポートします。経営コンサルティング会社は、M&Aに関するアドバイスやデューデリジェンスの支援などを行います。弁護士は、M&A契約書の作成や法的なアドバイスなどを行います。税理士は、M&Aに伴う税務申告や税務相談などを行います。

船井総研グループは、日本最大級の経営コンサルティング会社として、半世紀以上にわたり中堅・中小企業の経営者のサポートを行ってまいりました。医療・介護専門の経営コンサルタントとM&A専門のコンサルタントがタッグを組み、医療法人のM&Aを全面的に支援しております。

「業界の将来を考えて、自社がM&Aで会社を譲渡すべきか、自前で頑張るか、相談したい」「後継者がいないので、どのような選択肢があるのか把握しておきたい」といったご相談はもちろん、「もし、譲渡するとしたら、どのような譲受企業があるか、可能性を知っておきたい」といったご相談にも対応いたします。金融機関やM&A仲介会社から事業承継・M&Aの打診があった場合のセカンドオピニオンサービスも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

M&Aは、医療法人の持続的な成長や地域医療への貢献を実現するための重要な戦略の一つです。船井総研あがたFASは、豊富な実績と専門性をもって、医療法人のM&Aを成功へと導くお手伝いをさせていただきます。

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M&Aはご経営者に大きな決断を要します。決断を迷う場合も、傍にコンサルタントがいるかいないかで、ご経営者の負担が大きく変わります。船井総研グループでは、50年以上経営者と伴走してきた実績がございます。是非、事業承継について少しでも気になることがございましたら、ご相談ください。船井総研グループでサポートさせて頂きます。

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