開業医の高齢化、勤務医割合の増加、後継者不足による黒字廃院。
67,000件を切った歯科医院の業界動向と、歯科医院のM&Aの動向について解説いたします。
・歯科医院数の推移
・歯科医師数、勤務医割合、開業医の年齢推移
・後継者不足の実態と、歯科の出口戦略
・歯科医院のM&A動向
・診療圏やタイプ別(保険、自費、矯正等)のM&A動向
歯科医院の開設数1,333件<廃止数1,410件
上記は2022年の数字ですが、2017年に初めて廃止数が開設数を上回ったときから、2019年、2020年(コロナの影響も大)も廃止数が上回っており、歯科医院数の減少が常態化し始めています。その背景には歯科医師数と、開業意向の変化が挙げられます。
歯科医師合格者数1997年2710名➡2023年2006名
歯科医師勤務医割合2008年25.2%➡2020年30.6%
歯科医師数は2014年以降毎年2000名の推移となっており、それ以前の約2割減となっております。また歯科医師になっても開業せずに、勤務医として活躍するキャリアを選ぶ先生も増えてきており、開設数よりも廃止数が多くなる業界構造になっています。加えてこの25年ほどで開業医師の年齢も平均10歳高齢化しています。開業意向ドクターは減少しているにもかかわらず事業承継ニーズは激増しているという難しい課題を歯科業界は抱えており、早急に対策を講じる必要が出てきています。
ご子息・ご息女の独立開業
ご子息ご息女が歯科医師となられても、そのまま承継されずに独立開業するケースを、最近よくお聞きします。今までの感覚で当然継ぐものだろうと思っていても、いざそのタイミングで話し合うとそんなつもりはないということで、急に後継者不在が顕在化するパターンです。親族承継が出来れば良いですが、本人と話し合いをしないまま勝手に後継者認定するのは危険です。そういったリスクも想定した上で、貴院に合った出口戦略を早めから検討しておくことが、これからより重要性を増してきます。
歯科の出口戦略は4つ
歯科の出口戦略は下図の4つです。それぞれのメリットとデメリットについて簡単にまとめておりますので、ご確認の上いずれの方向性が貴院にマッチするのか、早めにご検討いただくのが良いです。
歯科のM&Aは増えている
歯科医院の出口戦略において、第3者承継、いわゆるM&Aが徐々に増えてきております。大々的にM&A事例について語られることが少ない業界なので、あまり表には聞こえてきませんが、確かに歯科医院のM&Aの実施件数は増えてきております。近くに後継者がいらっしゃらない優良医院様は、前向きにM&Aを検討されるのが良いと思います。
立地と医院のタイプでM&A難易度は変わる
どの診療圏で開業されているか、自費型の医院かどうかで、M&A難易度は大きく変化します。一番難易度の低いタイプは都心の保険中心タイプで、一番難易度の高いタイプは郊外の自費中心タイプです。ご自身の医院がどのタイプに大別されるか、タイプ別の優先的取り組みは何かなど、詳しくは下記リンクよりご確認いただければと思います。
立地やタイプ別(保険、自費、矯正等)のM&A動向について詳しくはコチラ