<譲受企業概要> めもりあるグループホールディングス株式会社(北海道苫小牧市)
<譲渡企業概要> 株式会社 博善社(山形県山形市)
まず、めもりあるグループホールディングス株式会社の歴史について教えてください。
沖本氏:事業を始めたのは祖父で、父が2代目、私が3代目になる創業88年の会社です。祖父が仏壇製造の会社に丁稚奉公しており、その後室蘭で仏壇製造業で独立したのが始まりでした。戦後、仏壇製造から仕入れて売るという業態に転換しました。北海道で5店舗ほど展開し、その後札幌にも進出しました。その後、2代目である父が事業を引き継ぎ、葬儀場の経営も始めました。当時には珍しく、葬儀場経営にサービス業の考えを導入し、早くからサービス品質に気を配っていました。
沖本社長は3代目でいらっしゃるのですね。
沖本氏:はい。2代目である父が法人を9つ作っており、そのうちの一つの代表に就任したのが始まりです。社内に財務について詳しい方がいなかったため、財務の勉強から始めました。その後、土地や建物に約4億円を投資し、新たなコンセプトの葬儀場をオープンしました。
船井総研とのお付き合いのきっかけを教えていただけますか?
沖本氏:葬儀場の建築設計を多く手掛けている会社様から、「今度、経営の勉強会をするから来ないか」と誘われて参加した勉強会で、船井総研さんに出会いました。財務のことは勉強してきましたが、これからはマーケティングの勉強も必要だと実感し、すぐに船井総研さんの葬儀の研究会に入会し、コンサルティング契約もしました。
確か2018年からのお付き合いだと思いますが、当時から素敵な会社でしたが、年々素敵な組織になっており、本当に従業員様が生き生きと働かれている会社ですよね。
沖本氏:企業理念の浸透作業も船井総研さんの指導を受けながら行っています。その結果、お客様が何をされると嬉しいかということを従業員自らが考え、行動してくれるようになったと思います。
一緒に五カ年計画を立てさせていただき、その際の計画にもM&Aが入っていましたね。
沖本氏:はい。船井総研さんと立てた五カ年計画の中で、本州に上陸するという計画をしておりました。そこで条件が合う案件を船井総研さんが持ってきてくれて、実際の検討を始めました。M&Aの条件としては、その都市の商圏人口、業績面、前経営者の影響力など3点を事前に考えておりました。
譲渡企業である博善社様も船井総研の会員様でした。私が前オーナーとお話ししている中で、会社を譲りたいという話が出てきまして、沖本社長にご相談させていただき、成約となりました。
沖本氏:はい。本当に良いご縁をいただき、ありがとうございます。五カ年計画でM&Aをするという項目を立てて、実際に実行できました。やはり口に出して発信するということが大事なのだと思います。まさに言霊です。
M&Aをされてからの取り組みについて、お話いただけますでしょうか?
沖本氏:M&A後は、役員が週替わりの交代制で北海道から山形に来ており、北海道のメンバーが山形に常駐するようにしています。また、北海道の従業員から7名選抜し、同様に週替わりで山形に常駐するようにしています。北海道メンバーが常駐することで、めもりあるグループホールディングスとしての働き方や考え方、コミュニケーション手法を伝えるようにしています。
博善社の社員の方々の反応はいかがでしたか?
沖本氏:M&Aの翌日に山形の従業員の方々と初めて顔を合わせ、その後ひと月ほど一緒に働いていたところ、従業員から「私も社章を付けたい」と言い出してくれたことがありました。社章の着用を義務付けると押し付けがましいのかなと考えていたこともあり、特に社章については話していなかったのですが、従業員からそのような話が出てきて本当に嬉しかったです。その後、理念研修等も実施しております。
M&A後に何を実施するかも、色々と考えておられましたよね?
沖本氏:光田さんとも相談して、100日計画のような計画を立てようと、M&Aのクロージング前から考えていました。本を何冊も読んで準備していました。ただ、やはり週替わりで山形に常駐してくれた役員と社員のおかげで、首尾よく進められたのだと思います。
私は、沖本社長が発信されていた「鉄の掟」が非常に印象的でした。
沖本氏:2社の従業員間の変な上下関係のようなものは絶対に避けたかったので、「鉄の掟」を発信していました。「マウントを取ってはいけない」「コミュニケーションを良くとる」「北海道での当たり前を押し付けない」「勉強させてもらっているというスタンスで伺う」の4つです。
めもりあるグループホールディングス様では、もともと理念や中期経営計画が従業員様に浸透しておられるので、従業員様を山形に常駐させることもスムーズだったのだと思います。
沖本氏:ある社員に「君は山形に行く7人に選ばれたよ」と伝えたところ、「ありがとうございます。光栄に思います」という反応でした。そういった前向きな考えの従業員ばかりが北海道から山形へ行ってくれているので、とても良い影響を及ぼせたのだと思います。やはりM&Aでは、会社一丸となって譲渡企業を受け入れていこうという考えが大事だと思います。
最後に、改めて、M&Aから1年経ちますが、いかがでしょうか?教えてください。
沖本氏:業績については、譲渡企業自身の業績がもともと良かったですが、更に伸びています。今回のM&Aを通して、博善社の発展に寄与でき、地域貢献ができているという実感もありますし、博善社様をグループに迎え入れることができて本当に良かったと思っています。また、譲り受けさせていただいた我々の従業員の成長にも繋がっていることがとても嬉しいです。