経営幹部・従業員による事業承継
- 事業承継
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MBOとは
MBOとは、オーナー社長の親族に後継者がなく、経営陣や従業員組織が、オーナーから株式を取得するもので英語で言うと、MBO(Management Buy-Out)、EBO(Employee Buy-Out)です。
ここ最近、このMBOによる事業承継が増えています。
ここで言う「承継」とは単に「社長交代」というものではなく、「社長の持っている株式を引き継ぐ(買い取る)」というものです。
事業承継で一番多いパターンは「子息及び血縁のある親族の承継」ですが、それに次ぐ「血縁のない経営幹部・従業員による承継」の割合が増えています。
船井総研のお客様からも様々な「MBOによる承継」の相談が来ています。
MBOの事例
<その1>
創業オーナーに後継者がおらず、第三者への承継(いわゆるM&A)を考え、動いていており、買い手候補も見つかり「3億円」の企業価値(創業オーナーが株式売却によって得るお金)がついた。第三者に承継する旨を経営幹部に伝えたところ、「自分たちに株を売ってくれないか?」という言葉が経営幹部から出て、経営幹部数人で会社法人を作って、金融機関も口説き、2億円を調達し、創業オーナーから2億円で会社の株式を買い取った。オーナー経営者からすると第三者に売れば3億円になったが、経営者意識に目覚めた経営幹部に2億円で売る方が1億円は損してでもいい形になると思い、それで承諾し、会社を経営幹部に承継した。
<その2>
現オーナーも前オーナーからMBOで事業を承継した。承継時、3店舗であった店舗を10店舗まで拡大し、今度は自身が事業を誰かに引き継ぐタイミングになった。後継者候補として、自身の子息1人と優秀な経営幹部が2人の3人がいる。3人とも有能ではあるが10店舗を任せるには難しい。そこで会社を3分割して、子息に4店舗、経営幹部2人にそれぞれ3店舗ずつを承継させることにした。子息には一般的な親子間での事業承継、経営幹部2人にはMBOでの事業承継を行うことにし、その手続きを進めている。
MBOによるメリット
①親族の後継者難から起こりうる会社の清算という事態を回避できること
②元々会社の役員が大株主になることから、これまでの経営方針が継続されること
③先の①と②によって、従業員の雇用方針が継続されること
まったく関係のない他人に会社を譲り渡すよりは、創業以来苦労を共にしてくれた現在の経営陣や、従業員の組織に株式を譲渡するほうがよいという考えがベースにあります。ただ、サラリーマンの役員や社員は資金準備が難しいため、後継者の能力や事業の将来性などを担保にして、金融機関の融資や投資会社の出資等を受ける必要があります。
MBOの典型的なパターン
①後継者とファンドなどが出資して受け皿会社を設立する
②金融機関が受け皿会社に融資する
③受け皿会社が経営者から株式を買い取る
④子会社化、または「吸収合併」する
金融機関などでも、こうした手法での事業継続に融資制度として「LBO(Leveraged Buyoutの略で企業の合併・買収の手法の一つで、買収先企業の将来のキャッシュフローを担保に、金融機関等から資金調達をして行うこと)ローン」等といったを設けるところが増えてきています。
ひと昔前に比べて、事業承継のパターンは増えてきてますので、経営者の考え方や思い踏まえての承継パターンを選択していただければと思います。
税務監査・財務コンサルティングの業務経験に加え、事業承継・事業再生コンサルティングの成功経験を多く持つ。2017年10月に船井総研中途入社後、M&Aコンサルティングにより22件の案件成約を担当。 現在、船井総研における事業承継・M&Aコンサルティングの中核的な役割を担う。
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