ラーメンのM&A|2026年の件数動向と譲渡相場、進め方を解説

ラーメンのM&A|2026年の件数動向と譲渡相場、進め方を解説

ラーメンのM&A|2026年の件数動向と譲渡相場、進め方を解説

ラーメンのM&Aは、2025年に麺業態だけで13件が公表されました。

外食全体では110件で、コロナ禍の影響を除いても過去最多の水準です(いずれも上場企業の公表ベース・当社集計)。2026年に入ってからのペースはこれを上回っています。

牛丼チェーンがつけ麺ブランドを91億円で傘下に収め、うどんチェーンの運営会社が濃厚とんこつのブランドを100店舗規模まで伸ばしています。

数年前なら業界紙の片隅にあった話が、いまは一般紙の経済面に載るようになりました。

一方で、ラーメン店を経営する側から見える景色はまったく違います。

原材料は上がり続け、人は採れず、後継者もいません。その状況で「うちの店に値段がつくのか」「誰が引き継ぐのか」という疑問に、業界全体の数字で答えている記事は多くありません。

件数の実態、価格の決まり方、そして相談の順序を、実際に飲食業のM&Aを扱う立場から整理します。

経営の正解は、一つではありません。まずは出口戦略の『選択肢』を可視化する診断ツールを手に取り、次なるステージへの展望を具体化する準備を始めてください。プロの目利きで自社の『真価』を知ること。それが、後悔のない決断への第一歩です。

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ラーメンのM&A仲介とは? 専門知識を持つ第三者が譲渡企業と譲受企業の橋渡しをすること

ラーメン店のM&A仲介会社の仕事は、単なる物件の仲介ではありません。

味の承継、職人の管理、大家との契約、そして特有の労務問題など、飲食業界特有の深い理解が求められる高度なコンサルティング業務です。

専門知識を持つ仲介者が介在することで、感情的な対立を防ぎ、双方が納得できる価格と条件での成約が可能になります。

飲食業界全体の最新動向について詳しく知りたい方はこちら

1. ラーメンのM&Aは2026年にどこまで増えているのか

ラーメンのM&A件数は、業界全体の統計として公表されているわけではありません。上場企業の開示をもとに当社が集計した数字で、輪郭を示します。

麺業態は2025年に13件、外食全体では110件

当社の集計では、ラーメンやつけ麺を含む麺業態のM&Aは、2025年に13件が公表されました。外食全体では110件です。この110件という水準は、コロナ禍で一時的に動きが止まった時期を除いて比較しても、過去最多にあたります。

13件という数字は、一見すると少なく感じられるかもしれません。ただしこれは上場企業が開示した案件に限った数です。個人店や非上場の中小チェーンの譲渡は開示義務がなく、統計には現れません。実務上は、公表される案件の何倍もの相談が動いています。

2026年上半期の飲食業は62件、前期比29%増

2026年はさらにペースが上がりました。1月から6月までの上半期で、飲食業のM&Aは62件です。前期比で29%増え、上半期としては過去最多になりました。

このまま推移すれば、通年では124件から130件程度に着地する見込みです。2025年の110件を大きく上回ります。

M&A全体で見ても同じ方向を向いています。

2026年上半期のM&Aは2,647件で、3年連続で過去最多を更新するペースです。2025年の通年5,115件に対し、2026年は5,300件前後になると見ています。

飲食業のM&Aが増えているのは、飲食業だけの事情ではなく、日本企業全体で所有者が移り続けている流れの一部でもあります。

ラーメン店の倒産だけを見ると2025年は減っている

ここは注意が必要な論点です。飲食業全体の倒産は高水準で推移していますが、ラーメン店単体では、2025年の倒産は59件でした。

過去最多だった2024年の79件から25.3%減り、4年ぶりに前年を下回っています(帝国データバンク「『ラーメン店』の倒産動向(2025年)」2026年1月10日公表)。

倒産が減ったからといって、経営が楽になったわけではありません。

同じ調査では、豚骨ベースのラーメン原価指数が2020年を100として2025年に141まで上昇したことが示されています。

5年で4割を超える原価上昇です。加えて、法的な倒産手続きを取らずに静かに店を閉める個人店は、この59件には含まれていません。

実務の感覚では、体力のある店が生き残り、そうでない店は倒産という形を取る前に廃業か譲渡を選んでいます。

倒産件数の減少は、選択肢が前倒しで使われるようになったことの裏返しでもあります。

ラーメン店を閉めるかどうかで迷っている段階の方は、廃業と譲渡を並べて比べたコラムもおすすめです。

『ラーメン店を閉める前に|廃業と譲渡を比べて決めるための判断材料』

2. なぜラーメン業態にM&Aが集まるのか

外食にはさまざまな業態があるなかで、譲受を検討する企業の関心はラーメンに集まっています。

当社でフードビジネスのM&Aを担当するコンサルタントは、その理由として収益構造の単純さを最初に指摘します。

単一ブランドで原価とオペレーションを管理しやすい

総合居酒屋やファミリーレストランは、メニュー数が多くなります。食材の管理項目が増え、メニュー構成の見直しにも手間がかかります。原価率を1ポイント動かすだけでも、確認すべき品目は膨大です。

ラーメンは違います。単一のブランドで展開でき、メニューの幅を広げなくても商売が成立します。原価のコントロールもオペレーションも単純です。スープとタレと麺という限られた要素で勝負するため、どこを触れば数字が動くかが見えやすい構造になっています。

譲受する側から見ると、これは「引き継いだ後に手を入れやすい」ことを意味します。外食のなかでも収益化の道筋が描きやすい業態として、大手外食企業や投資ファンドの関心が集まっています。

滞在時間の短さが客単価1,000円台の採算を支える

ラーメンの客単価は1,000円から1,500円程度です。居酒屋と比べれば低い水準になります。それでも成り立つのは、席の回転率が高いからです。

滞在時間が短いため、同じ坪数でもより多くの客数を入れることができます。

大きな箱を構える必要がなく、出店できる物件の条件は緩やかです。

駅前の小さな区画や、居抜きで出た10坪台の店舗でも成立します。

人件費の面でも有利です。オペレーションが単一化されるため、人員を厚く配置しなくても回ります。

原価と人件費の両方で上昇圧力がかかる局面では、この差が効果を生みます。

譲受後に利益構造を変えられる

譲受企業がラーメン業態を選ぶ最大の理由は、引き継いだ後にレバレッジがかけられることです。

居酒屋は夜間に人を多く抱える必要があり、省人化やデジタル化を進めにくい業態です。

ラーメンは、伝票での注文を券売機に切り替える、タッチパネルを導入するといった手を打てば、利益の構造そのものが変わります。

資本力のある企業が引き継いだ後に、こうした投資を一気に実行することで、同じ店舗が別の収益性を持つようになります。

職人が不可欠な業態ではないという点も、多店舗展開との相性を良くしています。

マニュアル化が進めば、エリアも店舗数も広げやすくなります。

実務上は、この「広げやすさ」が譲渡価格に反映されるケースが多く、1店舗の利益額だけで評価が決まるわけではありません。

海外では1杯3,000円から4,000円という価格差

国内で1,000円から1,500円で提供されているラーメンは、海外では1杯3,000円から4,000円で売られています。同じ商品に2倍から3倍の値がつく構造です。

この価格差があるため、将来の海外展開を織り込んでブランドを評価する譲受企業が出てきます。

訪日客に支持されている店であれば、そのブランドをそのまま海外に持ち出す構想も可能です。

国内の1店舗あたりの利益だけを見て割高に見える案件でも、海外市場を前提にすると説明がつく水準に収まることがあります。

ただしこれは、味を再現する仕組みが整っている店に限った話です。

店主の勘に依存したままでは海外に持ち出せません。

3. 誰がラーメン店を譲り受けているのか

ラーメンのM&Aで実際に動いているのは、大きく分けて大手外食チェーン、投資ファンド、そして地域で複数店舗を運営する中堅企業です。

公表されている案件から、その狙いを読み取ります。

牛丼チェーン2社がラーメンを第3の柱に据えた

2025年12月15日、松屋フーズホールディングスがつけ麺「六厘舎」を手がける松富士食品を子会社化すると発表しました。

譲受額は91億円です。松富士食品は「六厘舎」「舎鈴」「ジャンクガレッジ」などのブランドを約120店舗展開しています。

先行していたのは吉野家ホールディングスです。

2016年に「せたが屋」を傘下に収めたのを皮切りに、「ばり嗎」「キラメキノトリ」と譲受を重ね、2030年2月期までにラーメン事業で500店舗・400億円という目標を掲げています。

牛丼2社がそろってラーメンに向かった背景には、牛肉価格への依存を減らしたいという事情があります。

単一の原材料に業績が左右される構造から抜け出すために、既存の店舗運営力を活かせる隣接業態を探した結果がラーメンでした。

トリドールは34店舗のブランドを100店舗まで伸ばした

時間軸の長い例として、トリドールホールディングスによるZUNDの譲受があります。

2017年11月、トリドールは「ラー麺ずんどう屋」を運営するZUNDの株式80%を取得しました。

当時の規模は国内33店舗と海外1店舗、年商は約36億円です。

姫路発祥の背脂系濃厚とんこつとして評価は高かったものの、全国チェーンと呼べる規模ではありませんでした。

その後、丸亀製麺で培ったチェーンストアの運営ノウハウを投入し、2024年11月に100店舗を達成しています。

属人的な技術が前面に出るラーメンブランドを多店舗展開に乗せるのは、本来は難しい取り組みです。

それでも伸ばせたのは、譲受側が店舗展開の仕組みを持っていたからです。

譲渡側のブランド力と譲受側の運営力が噛み合うと、こうした伸び方をします。


譲受企業が求めるのは「認知が長く、テコ入れで伸びる会社」

事例を並べると、譲受企業が何を探しているかが見えてきます。

実務上、譲受企業の関心が集まりやすいのは、はじめから譲渡を前提に立ち上げられた新しいブランドではありません。

地域で長く認知されていて、これまで手を入れてこなかった部分に打ち手が残っている会社です。

認知の蓄積は買ってくることができず、時間でしか作れないためです。

逆に言えば、いま利益が出ていない店にも値がつく余地があります。

赤字の理由が構造的なものではなく、券売機の未導入や価格設定の据え置きといった打ち手の不足であれば、譲受企業はそこに伸びしろを見ます。

譲受を検討する立場で事例をさらに詳しく確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。

『ラーメンのM&A事例|松屋・吉野家・トリドールの譲受戦略と身の丈の見極め』

 

4. ラーメン店はいくらで譲渡できるのか

譲渡価格の考え方は、ラーメンであっても中小企業のM&A一般と大きく変わりません。

ただし、何が価値として評価されるかには業態特有の事情があります。

価格の土台は「時価純資産+営業利益の数年分」

中小規模の譲渡では、時価純資産に営業利益の数年分を加える考え方が広く使われています。

年買法と呼ばれる方法で、加算する年数はおおむね2年から4年の範囲に収まることが多いものです。

この「数年分」の部分が、いわゆるのれんにあたります。

帳簿に載っていない価値、つまりブランドの認知、立地、レシピ、常連の顧客基盤に対して支払われる対価です。

ラーメン店の評価が分かれるのは、ほぼこの部分です。

年数を押し上げるのは、相場より低い家賃で契約が続いていること、複数店舗を同じ方式で運営できていること、味を再現する仕組みが整っていることです。

のれん代の具体的な計算方法については、こちらのコラムもおすすめです。

『ラーメン店ののれん代|M&Aでの計算方法と会計・税務の扱い』

譲受企業は「新しく店を作る場合」と比べている

譲受側が価格を判断するときの物差しは、同業他社の譲渡事例だけではありません。同じ資金を新規出店に使った場合との比較です。

いま新しく店を出そうとすると、採用費が上がり、原材料の仕入条件は新規取引のため不利になり、建築費も上昇しています。

加えて、立地の良い物件は既に押さえられています。

実務でよく見るのは、ブランドとしての勢いは落ちているものの一等地を長く確保している老舗、という構図です。そうした物件が新規募集で出てくることはほとんどありません。

ゼロからブランドを立ち上げて認知を作る時間まで含めると、既にあるものを引き継ぐほうが早く、結果として安いという判断になります。この「時間を買う」発想が、譲渡価格を支えています。

価格を押し下げるのは社長への依存と契約の弱さ

反対に、評価を下げる要因ははっきりしています。

最も大きいのは、社長が広告塔になっている状態です。

社長がいるから売上が立っているのであれば、その社長が退いた後に売上が維持される保証がありません。

譲受企業はここを必ず確認します。メディア露出の多い店主ほど、この点は厳しく見られます。

賃貸借契約の残存期間が短い、更新の可否が不透明といった事情も、価格に直接響きます。

店舗は物件と一体で価値を持つため、契約が不安定であれば、その分は差し引かれます。

譲受企業が具体的に何を見て判断しているのかについては、こちらのコラムもおすすめです。

『ラーメン店の評価基準|譲受企業が見る5項目と高値譲渡の条件』

 

5. ラーメンのM&Aの進め方と相談先の選び方

ここまでの内容を踏まえて、実際に検討に入る場合の順序を整理します。

ラーメン店の後継者問題|親族・従業員・第三者の承継先を比べて選ぶ

相談から成約までの流れ

譲渡を前提とした場合、おおまかな流れは次のとおりです。

• 現状の整理と企業価値の把握(1か月から2か月)

• 譲受候補の選定と打診(2か月から3か月)

• 条件交渉と基本合意(1か月程度)

• 買収監査(デューデリジェンス)と最終契約(2か月程度)

全体では半年から1年程度を見ておくと、無理のない進行になります。

急ぐと条件面で譲ることが増えるため、期限を切られた状態での交渉は避けたほうが賢明です。

決算期をまたぐかどうかで論点が変わる場合もあり、着手の時期は早いほど選択肢が残ります。

なお、株式譲渡と事業譲渡のどちらで進めるかによって、引き継がれる契約も税金の計算方法も変わります。

手法ごとの違いについては、こちらのコラムもおすすめです。

『ラーメン屋の株式譲渡と事業譲渡|手法の違いと選び方を解説』

相談先を選ぶときに確認したいこと

飲食業のM&Aでは、財務諸表に表れない部分の評価が価格を左右します。

相談先を選ぶときは、次の点を確認してください。

• その業態の案件を実際に扱った経験があるか

• 立地や賃貸借契約の価値を説明できるか

• 譲受企業側の出店戦略を把握しているか

• 譲渡後の運営まで含めて話ができるか

飲食業のM&Aは、関係する相手が多い取引でもあります。卸や仕入先、物件の賃貸主といった取引先との関係を踏まえて進める必要があり、株式の譲渡手続きだけを扱えれば済むものではありません。

なお当社は、税務会計のあがたグローバルと経営コンサルティングの船井総合研究所を同じグループに持ち、場面ごとに必要な専門家をグループ内から配置できる体制を取っています。

M&Aの手数料はどう構成されているか

費用の話を後回しにすると、比較の段階で判断がぶれます。

仲介会社に支払う手数料は、着手金、中間金、成功報酬の3つで構成されるのが一般的です。近年は着手金を設けない会社も増えており、その場合は成功報酬の比重が上がります。

成功報酬はレーマン方式で計算される例が多く、取引金額を階層に分けて料率を変える方式です。

5億円以下の部分に5%、5億円超10億円以下に4%、10億円超50億円以下に3%、50億円超100億円以下に2%、100億円超に1%という料率が広く使われています。

見落とされやすいのが、料率をかける基準額の取り方です。

株式の譲渡価格を基準にするのか、負債を含めた移動総資産を基準にするのかで、同じ取引でも総額が変わります。

ラーメン店は設備投資の借入が残っているケースが多く、この違いが金額に表れやすいところです。契約前に、どちらを基準にしているかを必ず確認してください。

加えて、多くの会社が最低手数料を設定しています。

1店舗規模の譲渡では、成功報酬の計算結果より最低手数料のほうが高くなることがあり、その場合はマッチングサイトを使うほうが手元に残る金額は多くなります。

相談のタイミングは「まだ決めていない段階」でよい

実務で強く感じるのは、相談が遅れるほど選択肢が減るということです。

資金繰りが厳しくなってから持ち込まれた案件は、交渉の時間が取れません。候補先を複数並べて比較する余裕がなく、条件も相手の言い値に近づきます。

一方、数年先を見据えた段階で相談があれば、譲渡に向けて数字を整える時間があり、候補先も広く探せます。

譲渡すると決めてから相談する必要はありません。

続けるのか、誰かに託すのか、閉じるのかを決める材料を集める段階から話を聞いておくことで、後から使える選択肢が増えます。



まとめ|数字が動いているうちに選択肢を確認する

ラーメンのM&Aは、2025年に麺業態で13件、外食全体で110件が公表され、2026年上半期の飲食業は62件と前期比29%増で推移しています。

譲受企業がラーメンに向かうのは、収益構造が単純で、引き継いだ後に手を入れやすいからです。

譲渡を考える側にとって重要なのは、この動きが続いているうちに自社の位置を確認しておくことです。

原価指数は5年で4割を超えて上昇し、ラーメン店の倒産は2025年に59件と前年から減ったものの、経営環境が好転したわけではありません。

次に取るべき行動は、決算書を3期分そろえて、自社の営業利益と賃貸借契約の残存期間を確認することです。

この2点が分かれば、譲渡価格の当たりがつきます。そのうえで、譲渡が選択肢に入るのか、まだ手を入れる余地があるのかを、飲食業の案件を扱っている相手に一度確認しておくと、判断の材料がそろいます。

独自のノウハウを凝縮した出口戦略診断ツールをダウンロードし、その上で、プロの目利きで『自社の真価』を直接確かめる。

経営者としての集大成を、最も価値ある形で次へ繋ぐ準備は、今、ここから始まります。

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ラーメン店M&Aの仲介会社についてよくあるご質問

Q. ラーメン店のM&Aの相場はいくらですか?

中小規模の譲渡では、時価純資産に営業利益の2年分から4年分を加えた金額が目安です。加算する年数は、ブランドの認知度、立地、賃貸借契約の条件、味を再現する仕組みの有無で変わります。相場より低い家賃で長期契約が続いている店や、複数店舗を同じ方式で運営できている会社であれば、年数は上振れしやすいでしょう。逆に社長個人への依存が強い場合は、年数が短く見積もられます。

Q. 赤字のラーメン店でも譲り受ける企業はありますか?

あります。譲受企業が見ているのは現在の利益ではなく、引き継いだ後に伸ばせるかどうかです。赤字の理由が立地や商品力ではなく、券売機の未導入、価格改定の先送り、仕入条件の不利といった打ち手の不足であれば、資本力のある企業が引き継ぐことで収益が改善する見込みが立ちます。長年その地域で認知されている店ほど、この評価を受けやすくなります。

Q. ラーメン業界のM&Aで有名な事例は何がありますか?

2025年12月に松屋フーズホールディングスが「六厘舎」「舎鈴」「ジャンクガレッジ」を展開する松富士食品を91億円で子会社化した案件が直近では最大規模です。吉野家ホールディングスは2016年の「せたが屋」以降、「ばり嗎」「キラメキノトリ」と譲受を重ねています。トリドールホールディングスは2017年に「ずんどう屋」のZUNDを傘下に入れ、2024年11月に100店舗を達成しました。

Q. ラーメンのM&Aにはどれくらいの期間がかかりますか?

相談から成約までは半年から1年程度が目安です。内訳としては、現状整理と企業価値の把握に1か月から2か月、譲受候補の選定と打診に2か月から3か月、条件交渉と基本合意に1か月、買収監査と最終契約に2か月程度を見ておきます。資金繰りに余裕がない状態で持ち込むと候補先を比較する時間が取れないため、着手は早いほど条件面で有利になります。

Q. ラーメンのM&Aの仲介手数料はいくらかかりますか?

着手金、中間金、成功報酬の3つで構成されるのが一般的です。成功報酬はレーマン方式で計算される例が多く、5億円以下の部分に5%、5億円超10億円以下に4%、10億円超50億円以下に3%という階層別の料率が広く使われています。総額を左右するのは、料率をかける基準額を株式の譲渡価格とするか負債を含めた移動総資産とするかの違いです。多くの会社が最低手数料を設けているため、1店舗規模では最低手数料が実質的な費用になります。

山本瑛

(株)船井総研あがたFAS マネージングディレクター

上場企業の上席執行役員営業本部長として、グループ企業全体のM&A戦略による経営支援や資本提携、グループ再編に携わると共に営業部門を統括。船井総合研究所に入社後は、毎年、年間約10件のM&Aを成約に導く。過去最短でマネージングディレクターに昇格。プレイヤーとして第一線で活躍しながら、複数業種のチームメンバーを統括している。

山本瑛

(株)船井総研あがたFAS マネージングディレクター

上場企業の上席執行役員営業本部長として、グループ企業全体のM&A戦略による経営支援や資本提携、グループ再編に携わると共に営業部門を統括。船井総合研究所に入社後は、毎年、年間約10件のM&Aを成約に導く。過去最短でマネージングディレクターに昇格。プレイヤーとして第一線で活躍しながら、複数業種のチームメンバーを統括している。