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介護M&Aで贈与税のリスク回避を実現する鉄則!譲渡価格と税務リスクの境界線

介護事業の「譲渡」を検討する際、多くの経営者が直面するのが税務、特に【贈与税】のリスクです。

本記事では、介護業界特有の「負債」や「許認可」が税務評価にどう影響するのか、実務家目線で解説します。

読了後には、税務署に指摘されないための適正な譲渡戦略が理解できるはずです。

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介護M&A・事業譲渡で贈与税が発生する「みなし贈与」の正体

介護事業を譲り渡す際、対価を受け取らない、あるいは世間一般の「時価」よりも著しく低い価格で譲渡すると、受け手側に贈与税が課される可能性があります。

これを「みなし贈与」と呼びます

介護事業におけるM&A動向についてはこちらのコラムをご覧ください。
介護M&Aで後継者問題を解決し従業員の雇用を守るための全手法

親族間での低額譲渡は危険!時価との差額が課税対象となる仕組み

親族への承継だからといって、「1円」や「数百万円」といった極端な低価格で株式や事業を譲渡するのは極めて危険です。

税務当局は、その事業が本来持つ「時価」を算定します。

仮に時価が5,000万円の事業を1,000万円で譲渡した場合、差額の4,000万円が「贈与」とみなされ、譲受人に多額の贈与税が課せられます。

介護業界の事業譲渡(売却)についてはこちらのコラムをご覧ください。
介護M&Aで後悔しない譲渡(売却)戦略|負債解消と従業員の雇用を守る方法

介護事業の譲渡における「適正な時価」を算出する評価手法

介護事業の評価には主に【時価純資産法】が用いられますが、ここに介護業界ならではの「のれん(営業権)」が加味されます。

「現場の社長が24時間体制で回している一拠点デイサービス」であれば、社長が抜けた後の収益性が低いため、のれんは付きにくいといえます。

一方で、後述する「許認可」を持つ施設は、純資産がマイナスでも一定の価値が認められるケースがあります。

介護業界のM&A相場についてはこちらのコラムをご覧ください。
介護M&Aの相場とは?サービス区分で決まる譲渡価格の現実

介護業界特有の落とし穴!負債10億円でも「譲渡所得税」は発生するのか

介護施設、特に老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の運営には、巨額の設備投資が伴います。

1棟建てるのに10億円かかり、その大半を金融機関からの「負債」で賄っているケースは珍しくありません。

負債を引き継ぐ「負債承継型M&A」と贈与税の関係性

譲渡企業の負債を譲受企業が引き継ぐ場合、譲渡価格が「0円」であっても、税務上は「負債の肩代わり」という経済的利益が発生していると見なされることがあります。

しかし、実際には「負債額が事業価値を上回っている(債務超過)」状態であれば、0円譲渡でも贈与税が発生しない合理的な説明が可能です。

赤字拠点の無償譲渡でも税務署がチェックする「営業権(のれん)」の評価

注意すべきは、単体で赤字であっても「特定施設(介護付き有料老人ホーム)」や「グループホーム」などの【許認可】を持っている場合です。

特定施設やグループホームなど許認可の希少性が生む税務上の価値

これらは行政による総量規制があり、新規開設が極めて困難です。

そのため、たとえ赤字であっても「箱」と「許認可」には数千万円単位の価値が付くことがあります。

この価値を無視して0円で譲渡すると、税務署から「目に見えない資産の贈与」として指摘を受けるリスクがあります。

介護事業の譲渡を成功させる税金対策と専門家選びの重要ポイント

介護業界は「国が売上(介護報酬)を決める」特殊な市場です。

そのため、一般的なビジネスモデルの常識が通用しない場面が多々あります。

3年ごとの介護報酬改定ロードマップを逆算した出口戦略

「訪問介護」がかつての花形から報酬改定で一気に厳しい状況に追い込まれたように、厚労省のロードマップ一つで事業価値は激変します。

例えば、2026年度の改定内容によっては、今高値で売れるはずの事業が3年後には「買い手がつかない」状態になることもあります。

税務対策も、この「将来の収益見通し」を反映した価格算定が不可欠です。

【まとめ】介護M&Aの贈与税リスクは現場実務を知るプロに相談すべき

介護事業の譲渡における贈与税リスクは、単なる計算上の数字だけでなく、業界特有の「許認可の希少性」や「報酬改定の動向」、そして「負債の実態」をどう解釈するかにかかっています。

自己判断での低額譲渡は、数年後の税務調査で取り返しのつかない打撃を受けることになりかねません。

この分野については、税務だけでなく介護実務とM&Aスキームの両方に精通した専門家に相談することが鉄則です。

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介護業界の贈与税についてよくあるご質問

Q: 介護事業を親族に0円で譲渡しても贈与税はかかりませんか?

A: 原則として「時価」との差額が贈与とみなされます。債務超過が著しく、事業価値が実質ゼロであると合理的に証明できない限り、贈与税が発生するリスクが極めて高いです。

Q: 介護施設の借金(負債)も贈与税の計算に含まれますか?

A: はい。負債を引き継ぐ「負担付贈与」として扱われます。引き継ぐ負債額が資産の時価を上回っていれば贈与税は発生しませんが、資産価値の算定には専門的な評価が必要です。

Q: 特定施設の許認可にはどれくらいの価値がありますか?

A: エリアや総量規制によりますが、数百万円から数千万円の「営業権(のれん)」として評価されることが多いです。この価値を無視した譲渡は税務署の指摘対象となります。

Q: 赤字のデイサービスを譲渡する場合、税金はどうなりますか?

A: 純資産がマイナスで将来の収益性も見込めない場合、譲渡所得税や贈与税は発生しにくいです。ただし、内部留保や不動産がある場合は、赤字であっても資産価値が認められます。

Q: M&Aの税金対策はいつから始めるべきですか?

A: 譲渡の少なくとも1年前、できれば3年ごとの介護報酬改定のタイミングで検討を開始すべきです。収益構造が変わる前に「時価」を確定させる戦略が有効です。

田畑 伸朗

(株)船井総研あがたFAS チーフコンサルタント

大手地方銀行にて、中小企業コンサルティング業務に従事。本部にて審査部審査役を長らく務め、中小企業の資金調達や財務管理のみならず、金融機関側の与信判断にも知見を有する。2009年から4年間、銀行の医療福祉支援チームに属し、関西エリアのクリニック開業支援や介護福祉施設の設備投資案件等に数多く関わる。それら経験を活かし、現在は医療福祉業界を中心にM&A仲介業務に従事している。

田畑 伸朗

(株)船井総研あがたFAS チーフコンサルタント

大手地方銀行にて、中小企業コンサルティング業務に従事。本部にて審査部審査役を長らく務め、中小企業の資金調達や財務管理のみならず、金融機関側の与信判断にも知見を有する。2009年から4年間、銀行の医療福祉支援チームに属し、関西エリアのクリニック開業支援や介護福祉施設の設備投資案件等に数多く関わる。それら経験を活かし、現在は医療福祉業界を中心にM&A仲介業務に従事している。