M&Aデューデリジェンスで見抜く「隠れたリスク」
M&A(企業の合併・買収)は、企業の成長戦略において非常に有効な手段です。しかし、成功の裏側には見落とされがちなリスクが潜んでいます。そのリスクを最小限に抑え、M&Aを成功に導くために不可欠なのが、デューデリジェンス(DD)、つまり詳細な企業調査です。
M&Aデューデリジェンスの4つの柱
M&Aを行う際、「買い手側」が「売り手側」のデユーデリジェンス(詳細な企業調査 以下DD)を行います。
このDDは大きくは4つの構成からなっており、
・ビジネスDD(当該企業の業界環境・競合環境及びそれらも鑑みての成長余力)
・財務DD(財務・資金繰り等の実態把握(決算書内容との乖離など)
・法務DD(法令違反がないかなど)
・労務DD(雇用契約、雇用内容などに問題がないか)
となります。
この中で最近のM&Aで一番の論点になるのは「労務」の部分です。
なぜ今「労務デューデリジェンス」が最も重要なのか?
昨今、世の中的に労務は大きな問題、テーマであり、特に、M&Aで会社を引き受ける側からすると、最大のリスクにもなり得ます。
M&Aの「実行前の会社」では出て来なかった労務問題が「実行後の新しく受け入れた会社」になった途端、従業員からの訴えが出てきたりします。
「前の会社は赤字で社長も大変そうだったし、社長もいい人なので、残業代の未払いを言い出しにくかった・・・」という従業員さんも新しい会社は「お金も持ってそうだし、そこまで思い入れもないし・・・」ということで、前の会社での未払い分を請求してくるケースがあります。
会社をそのまま引く継ぐ場合、労務契約や退職金規定もそのまま、引き継ぐケースがありますので、要求には答える必要が生じたりもします。退職金にしても、前の会社に30年務めて、その退職金規定をそのまま新しい会社が引き継いでその社員が1年で辞めてしまっても、新しい会社が31年分の退職金を払う必要が生じたりします。
また、給与条件をそのまま引き継ぐとした場合、譲渡前に社員の給与を上げてしまわれると、その給与を引き継ぐ必要が生じたりもします。
M&A後のトラブルを避ける!労務リスクの見極め方
法人そのものをM&Aする場合は、その事業を引き継ぐと同時に社員も引き継ぎます。前の会社で非常に労使関係が良く見えている会社でも、どちらかが「無理」をしてその関係になっているケースが結構あり、積もった不満が買収先の企業に向けて一気に爆発するというケースもあります。
その辺り、M&Aの際のDDにおいてはしっかりと見る必要があります。
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