製造業のM&Aのポイント

近年、後継者不足・事業の多角化等を背景に、製造業においてもM&Aが活発に行われています。しかし、業種の幅が広い製造業のM&Aで成功するためには様々な要素を考慮する必要があります。本コラムでは製造業のM&Aが成功するポイントを解説します。
製造業のM&Aでは譲渡側・譲受側の双方の立場で自社の目的を明確にすることが不可欠です。
製造業M&Aで代表的な目的を紹介いたします。
1. 市場拡大<新たな領域への進出>
既存製品・サービスの販売先を広げたり、新たな顧客層を獲得したりすることは、企業の成長にとって極めて重要です。M&Aは、この市場拡大を迅速かつ効果的に実現するための有効な手段となります。新規市場・既存市場ともにM&Aを行うことで市場シェアを拡大し、業界における地位を強化することができます。
また、一緒になる企業の取引先・口座を活用できるため自社だけでは取引が難しかった先へのリーチを拡大することも可能です。製造業では企業ブランドを重要視する傾向も多くあるので、企業の市場におけるプレゼンス、顧客基盤、ブランド力の獲得もM&Aの目的になるケースが多くあります。
2. 技術獲得<競争優位性の構築>
技術革新が加速する現代において、最新技術やノウハウの獲得は、企業の競争力を維持・強化するために不可欠です。M&Aでは外部から技術を取り込み、市場への競争優位性の促進にも繋がります。
設計・開発能力の強化を目的にするM&Aも多く、先進的・独自性のある技術を持つ企業のM&Aすることで、新製品・自社サービスの拡大をすることができます。また、特許やノウハウを持つ企業をM&Aすることで、ターゲット市場への競争優位性を築くことができます。が重要です。
3.製造コストの削減<生産効率化による収益力向上>
製造プロセスの上流・下流をM&Aすることで、サプライチェーンの効率化や生産拠点の集約によるコスト削減も可能になり、企業の収益力向上に大きく貢献します。
サプライチェーンの統合を目的としたM&Aは金属・樹脂加工業等に多くあり、部品調達から加工・塗装・組立・検査、販売までのサプライチェーンを統合することで、調達コストの削減、在庫管理の効率化、物流の最適化などを実現することができます。
また、 生産拠点の集約や再編により、固定費や間接費の削減、生産性の向上、品質管理の強化などを実現することができます。
4. 第二本業の創出<新たな収益源の確保>
既存事業への依存度を低減し、新たな収益源を確保することは、企業の長期的な安定成長に繋がります。M&Aは、新規事業への参入を加速させ、事業を多様化するための有効な手段となります。
新規事業の創出を自社のみで行う場合には、ノウハウを始め、人材・設備に多大な投資が必要になることに加えて、新たな分野への進出になるため取引先等の基盤もない状態でのスタートになります。
M&Aでは進出したい事業で既に基盤を持つ企業と一緒になることが出来るため、ノウハウを持った状態で新たな市場に参入することが可能です。既存事業とシナジー効果が見込める企業のM&Aや、 異なる業種の企業をM&Aすることで、事業リスクの分散ができ、経営の安定化を図ることができます。
製造業におけるM&Aのポイントとして、今回は市場拡大、技術獲得、コスト削減、第二本業の創出を例に挙げさせていただきましたが、上記以外にも様々な目的でM&Aが行われています。
製造業でM&Aを行う際には、まずは自社がなりたい姿を明確にし、それぞれの目的に応じて、自社の戦略にあった企業と一緒になることで、より企業の成長と発展に繋がります。
これらの目的から逆算した製造業M&Aサポートについても船井総研あがたFASではアドバイスをさせて頂いております。製造業のM&Aについて相談したい方はぜひ一度お問い合わせください。

篠原 隆介
(株)船井総研あがたFAS チーフコンサルタント
大学卒業後約10年間を大手機械商社の技術営業として従事した後、船井総合研究所に入社。 金属加工・生産設備を中心に製造業の業績アップやIT化促進、人財等のコンサルティングを行う。 現在は、製造業を中心として、事業承継・M&A支援に従事。

篠原 隆介
(株)船井総研あがたFAS チーフコンサルタント
大学卒業後約10年間を大手機械商社の技術営業として従事した後、船井総合研究所に入社。 金属加工・生産設備を中心に製造業の業績アップやIT化促進、人財等のコンサルティングを行う。 現在は、製造業を中心として、事業承継・M&A支援に従事。