基礎知識

「信用」と「価値」の相関

M&Aを成功に導く「信用」の重要性

保有株式の売却や事業の一部を売却するなどの「売却を検討する場合」、また、これらの「購入を検討する場合」のいずれにおいても重要となるのは、情報と相手先への「信用」であると言えます。

近年は不動産情報と同様にインターネット上でM&Aの売り情報や買い情報が散見されていますが、
不動産取引の経験がお有りの方ならお分かりだと思いますが、同じ対象でも、インターネット上で一般情報となった途端に価格が相当下がります。

M&Aにおける情報の価値を決める要素

他方で、買手にとって「信用できるAさんからの紹介案件」となると一気に情報の価値が上がり、価格へと反映される事が多々あります。

同じ対象でも、「信用できるAさんからの紹介案件」という理由で価値が上がる理由を合理的に説明する事は難がありますが、おそらく、「Aさんからの話はいつも相手先の意向を正確に反映した情報を提供してくれる」といった安心感がAさんの信用を作り出しているのかも知れません。

「安心感や信用力が価値を上げる理由だ」と聞くと、本当か?と思われる方は多いと思われますが、とても重要な要素となります。

M&A交渉における代理人の役割と注意点

M&Aにおいて、売手・買手の代表者が最初から直接交渉する事は稀で、代表者の意向を受けた者が代理として相手先へ交渉をおこなう事となりますが、代理人が代表者の意向を正確に伝えていない場合や代理人が委託した第三者が勝手に話を作ってしまう事などよくある話です。
(一概に「有名な会社=信用出来る」という訳ではありません)
間に入って「ひと稼ぎしてやろう」と考えている当事者以外の者が多いのは残念な話ですが、「誰に相談してその方がどの様に動くか」までを事前確認しておく必要があるでしょう。

信用できる代理人なら候補先とも信用あるお付き合いをしているのが常で、結果、当事者の意向を正確に伝えながら、正確な事前情報を元にリラックスした状態でトップ面談に臨む事が出来ます。

最終的なM&A成約を左右する「信用」

他方、代理人が如何に誠実に執務しても、当事者が信用を覆す行為をおこなうと、今までの相手先への信用が総崩れとなります。

M&Aは目に見えないモノを現状有姿で引継ぐ事と言えますが、不動産とは異なり、目に見えないモノを引継ぐ事への不安は最後まで残る事となります。「信用出来る相手なのか?」といったところが最後のよりどころとなる事が多く、信用を覆した途端に全て疑念の視点に切り替わってしまいます。

こうなると、M&Aの相手先としてはブレイクしてしまう事となってしまいます。
「信用」はM&Aにおける当事者と代理人にとって重要な要素と言えるでしょう。

本コラムとの内容としては以上となります。

船井総研ではオーナー経営者様に寄り添って、総合的な経営判断としてセカンドオピニオンサービスも行っております。組織再編やM&A、事業承継全般に長けたM&Aコンサルタントが対応させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。

また、M&Aに関して分かりやすくまとめたレポートを作成しております。御社とご経営者自身の今後の戦略立案にご活用いただければ幸いです。

事業承継・M&Aに関する基礎知識関連情報は、下記の記事をご参照ください。

1.M&A用語集
2.M&Aと税金
3.株式譲渡
4.株式交換
5.第3者割当増資
6.合併
7.M&A後の譲渡企業
8.M&Aの流れとスキームの種類
9.会社分割
10.事業譲渡

岩倉 拓哉

(株)船井総研あがたFAS シニアコンサルタント

2008年銀行に新卒で入行。与信管理・調査部門を4年半程度経験後、21012年頃より、銀行にてM&Aアドバイザリー業務に従事。その後、2019年船井総研に参画後も、引き続きM&Aアドバイザリー業務に従事。

岩倉 拓哉

(株)船井総研あがたFAS シニアコンサルタント

2008年銀行に新卒で入行。与信管理・調査部門を4年半程度経験後、21012年頃より、銀行にてM&Aアドバイザリー業務に従事。その後、2019年船井総研に参画後も、引き続きM&Aアドバイザリー業務に従事。