【本物研究所×ヴォイスグループ】独自のウェルビーイングビジネスを信頼のパートナーへ。数々の課題を乗り越え実現した「円満なる承継」の軌跡
東京都西麻布を拠点に、心の豊かさやウェルビーイング(自己探求・マインドフルネス)に関する出版、セミナー、物販事業をグループ5社体制で展開してきたヴォイスグループ 。
良質なコンテンツと根強いファンを抱えるオンリーワンの企業群でしたが、創業オーナーである堀真澄氏には「後継者不在」という大きな課題がありました 。
「子どもたちはそれぞれ別の道を歩んでおり、自分の代で築いたこの独自のカルチャーやコンテンツを、どうにかして次の世代へ引き継ぎたい」。
その切実な想いから、グループ5社を丸ごと引き受けてくれる譲渡先を求めるM&Aの旅が始まりました。

案件サマリー
項目 | 内容 |
業種(譲渡側) | セミナー・物販業(グループ5社。精神世界に関連するコンテンツを扱う) |
業種(譲受側) | セミナー・物販業 |
エリア | 東京都(西麻布) |
規模 | グループ5社合計で年商5〜6億円程度・スタッフ20〜30名 |
スキーム | グループ5社まとめての株式譲渡 |
M&Aの背景・目的 | 後継者不在に加え、さらなる事業拡大を目指した戦略的な譲渡を選択 |
主な成果 | 独自性の強い業種特性から買い手探しは難航したが、既存の取引先であった本物研究所へ株式譲渡を実行 |
1. 独自のビジネスモデルゆえに、慎重を極めたパートナー選び
独自の価値観や熱いファン層を持つウェルビーイング事業は、一般的な企業からはその真の価値がなかなか理解されにくいという側面がありました。
「業績は魅力的だが、当社のノウハウでは運営しきれない」。
この唯一無二の事業価値と理念に100%合致する、信頼に足るパートナーを真摯に模索するなかで、理想の相手を見つけ出すことは、決して容易な道のりではありませんでした。
その硬直した状況を打破したのが、船井総研あがたFASのアドバイザーチームでした。
我々が注目したのは、ヴォイスグループの価値を誰よりも理解している「既存の取引先」でした。
それが、数多くの代理店網を持ち、精神的豊かさや本物志向の商品を扱う株式会社本物研究所です。
長年、ヴォイス社の商品を仕入れてきた関係であり、ビジネスの価値も、その理念も深く理解し合える「同志」のような存在でした。

2. デューデリジェンス中に直面した、二つの大きな課題
しかし、M&Aは相手が見つかってからが本当の戦いです。デューデリジェンス(DD)の過程で、お互いに乗り越えなければならない二つの大きな課題が浮き彫りになります。
- 事業運営を支えていた主要メンバーの退任に伴う、引継ぎ体制の再整備
- 一時的な業績の変動や、出版事業特有の将来的な返本リスクへの懸念
特に将来の不確実なリスクに対し、買い手の本物研究所様はリスクヘッジのために「アーンアウト条項(将来の業績に連動した対価の後払い)」を検討されました。
しかし、アーンアウトは将来の経営方針や業績判断を巡り、双方の間に不要な不信感を生みかねないリスクをはらんでいます。
お互いに信頼し合っていた両社の間に、どのようにして公平な条件を着地させるか、大きな議論となりました。

3. 「将来リスクの限定」と「全体パッケージ」による最適解の構築
ここで、株式会社船井総研あがたFASのアドバイザーチームの大朝・山本が両社の間に入り、知恵を絞りました。
単に価格をぶつけ合うのではなく、「将来のリスク負担の所在」と「譲渡条件」のバランスを最適化する高度なスキーム変更を提案したのです。
売主のオーナーご一族に対しては、「将来にわたり子どもたち(現株主)に不確実な補償責任や業績連動のプレッシャーを残さないよう、返品や在庫のリスクを買主側が引き受ける(売主側を完全免責とする)」ことを設計。
一方で、買主の本物研究所様に対しては、「不確実なリスクを丸ごと引き受けていただく代わりに、当初の譲渡対価を合理的に調整する」という、双方が納得して痛みを分け合える着地点を導き出しました。
さらに、この条件調整に伴う売主側の実質的な手取りや、スムーズな事業承継をカバーするため、「現社長への退職慰労金」や、引継ぎ期間を考慮した「現オーナーとの継続的なコンサルティング契約」を、確約事項として株式譲渡契約(SPA)に明記しました。
4. 成約、そして新しい未来「ほんものヴォイス」へ
2026年6月19日、両社が心から納得したうえで、円満にクロージングを迎えました 。
成約後も、船井総研あがたFASはただの仲介者として終わるのではない役割を果たしました。
双方が同じ船に乗り、互いの強みを掛け合わせるシナジー構想「ほんものヴォイス」が、極めて明るく前向きな雰囲気の中でスタートを切りました。

担当コンサルタントより
大朝 正博(船井総研あがたFAS 担当コンサルタント)
「5社まとめての企業価値算定など難しい調整もありましたが、業種の特性を理解したうえで、粘り強く適切な買い手を探すことを大切にしました。
独自性の強い事業を営む経営者の方も、ぜひ一度ご相談ください」
よくある質問
Q. グループ会社をまとめて譲渡する場合、株式譲渡はどのように進みますか。
A. グループ各社の株式を一体で譲渡する形で進めるのが一般的です。会社ごとに事業内容や財務状況が異なる場合は、それぞれについて個別に企業価値算定を行ったうえで、全体の譲渡条件をまとめていきます。
Q. 他社にはない特色のある事業でも、買い手は見つかりますか。
A. 業種の特性によっては、買い手候補が限られ、探索に時間を要する場合があります。その場合も、既存の取引先など事業内容への理解がある相手先を含めて幅広く候補を探ることで、成約につながるケースがあります。
Q. デューデリジェンスでつまずいた場合、どのように対応すればよいですか。
A. 指摘された論点について事実関係を整理し、必要に応じて価格や条件面で調整を行うことで、合意に至るケースが一般的です。本事例でも、最終的には価格面での調整により合意に至りました。
Q. 事業譲渡と株式譲渡の違いは何ですか。
A. 株式譲渡は会社の株式ごと経営権を引き継ぐ方法、事業譲渡は特定の事業・資産・契約を個別に選んで引き継ぐ方法です。本事例では、グループ各社を丸ごと引き継ぐ形として株式譲渡が用いられました。
船井総研あがたFASについて
船井総研あがたFASは、船井総研ホールディングスとあがたグローバルコンサルティングの合弁により誕生したM&A・事業承継アドバイザリー会社である。税務・会計(あがたグローバル)と経営コンサルティング(船井総研)を一気通貫で提供する約60名体制で、戦略立案からデューデリジェンス、企業価値評価、PMIまでを一貫して支援する。M&A Professional Award 2025・成約数部門(個人)を受賞(BATONZ主催)。業種特化の知見は、船井総研グループ(船井総合研究所)として積み上げてきた、業種・テーマ別の経営研究会や専門コンサルタント体制に裏付けられている。
ご相談窓口
後継者不在やオーナーの体力面など、事業承継にまつわるお悩みをお持ちの経営者は、船井総研あがたFASまでお気軽にご相談ください。
お問い合わせ:0120-901-080(平日9:45〜17:30)/株式会社船井総研あがたFAS