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M&Aにおける”のれん”とは? 会計におけるのれんの取り扱いを解説
M&Aにおけるのれんとは、買い手企業がM&Aで支払った金額と、売り手企業の純資産の差額のことです。現代におけるのれんとは、いわば会社の信用力やブランド力などの、「会社の可視化できない価値」のことです。この会社の可視化できない力は超過収益力とも呼ばれます。M&A取引においては、会社純資産(会社の見える価値)に加え、会社のブランドや信用度(会社の見えない価値)が加味された取引金額となります。会社の見えない価値を具体的な金額化にしたものが、のれんとなります。
負ののれんとは、買い手企業がM&Aで支払った金額と、売り手企業の純資産のマイナスの差額のことです。つまり、売り手企業の純資産より、買い手企業がM&A取引で支払った金額が少ない場合に負ののれんが発生します。負ののれんが発生する理由は、売り手企業に何かしらの不安要素があるからです。具体的には賠償リスクや訴訟リスク、簿外債務などがそれにあたります。不安要素がある際には負ののれんが発生します。会計上、負ののれんは損益計算書の「特別利益」に計上されます。
会計上、のれんは貸借対照表の無形固定資産に分類されます。無形固定資産は減価償却を行い、毎期費用に計上を行う必要があります。しかし、日本会計基準と国際的な会計基準=国際財務報告基準(IFRS)では、のれんの取り扱いが異なります。東証などの日本の市場に上場している企業は一般的に日本会計基準を採用する必要がありますが、近年はグローバル化の影響で国際財務報告基準を採用している企業もあります。
日本会計基準に基づけば、のれんは毎年規則的に減価償却を行う必要があります。また、日本会計基準ではのれんの減価償却期間は最長で20年と定められており、言い換えれば全てののれんを20年以内に償却する必要があります。しかし、M&Aを行った企業・事業が計画通りにいかず、買収額を当該企業・事業で回収できなくなった場合はのれんに対する減損の判断が為されます。のれんの未償却残高は減損処理の対象となり、減損損失を認識すべきことになった場合は、会計上は損益計算書の「特別損失」に計上します。
国際財務報告基準(IFRS)に基づけば、のれんを規則的に減価償却する必要はありませんが、毎年減損テストを行い、その結果に基づいて減損処理を行う必要があります。つまり、国際財務報告基準を採用している場合は、のれんを償却する必要はありません。
会計上においても、M&A取引を行う企業は可視化できる価値のみならず、可視化できない価値やリスクが考慮されます。買い手企業においても、自身のM&A候補企業の可視化できる部分のみならず、可視化できないリスクや価値を考慮した選別を行う必要があります。目に見えないリスクを取り込むことは、M&A取引自体が失敗ということのみならず、自社の経営にも大きな影響を及ぼすこともあります。
株式会社船井総研あがたFAS
船井総研あがたFASでは、50年以上にわたる業種別コンサルティングの経験を活かした、M&A 成立後の業績向上・企業の発展にコミットする事業承継・M&A支援を目指しております。業種専門の経営コンサルタントと事業承継・M&A専門のコンサルタントがタッグを組み、最適な成長戦略・出口戦略を描きます。
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