飲食の事業承継を成功させる秘策|赤字でも高値がつく理由と失敗しない全手順

この記事では、飲食業界の事業承継において、赤字店舗であっても高値で譲渡するための「隠れた資産」の正体と、現場で起きるトラブルを回避する実務的な手順を解説します。

読了後には、愛着ある店舗を最高の形で次世代へ託す具体的な道筋が理解可能です。

経営の正解は、一つではありません。 まずは出口戦略の『選択肢』を可視化する診断ツールを手に取り、 次なるステージへの展望を具体化する準備を始めてください。 プロの目利きで自社の『真価』を知ること。それが、後悔のない決断への第一歩です。

飲食業のM&A全体像についてはこちらをご覧ください。

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そもそも飲食の事業承継とは?店主の想いと経営権を次の担い手へ託すこと

飲食業の事業承継とは、単なる「店の譲渡」ではありません。

創業者が守り続けてきた味、ブランド、そして共に歩んできた従業員の雇用や顧客基盤を、最適な後継者へとバトンタッチする経営戦略です。

飲食店の出口戦略について解説したコラム『飲食店は閉店するな!原状回復するな!現金化せよ!』もおすすめです。

親族内での事業承継・事業継承は10年の準備期間が成功の分かれ目

親族内承継は、最も心情的な納得感が高い手法ですが、成功には非常に長い準備期間が必要です。

単に「子供に継がせる」という意思表示だけでなく、後継者が調理技術を習得し、顧客基盤からの信頼を得るまでには最低でも10年かかるといえます。

また、相続税や贈与税の負担が後継者の経営を圧迫しないよう、早期から株価対策を講じることが鉄則です。

親族間であっても、経営の厳しさと楽しさを丁寧に伝え、納得感のある引き継ぎを行うことが、家族不和を避けるポイントとなります。

飲食業の後継者がいない場合の救世主!第三者への株式譲渡という選択

子供が他業種で活躍している場合や、適任の従業員がいない場合、M&Aによる第三者への株式譲渡が有力な選択肢です。

昨今、飲食業界では大手資本による「業界再編」が加速しており、自社単独では難しいIT化や海外進出を、譲受企業の力を借りて実現するケースが増えています。

「店を他人に譲渡するなんて」という罪悪感を持つ必要はありません。

むしろ、第三者に託すことでブランドが存続し、従業員がより安定した福利厚生のもとで働けるようになることは、経営者としての最後の大きな貢献といえます。

飲食事業における株式譲渡と事業譲渡の決定的な違いと税務上のメリット

事業承継の手法には【株式譲渡】と【事業譲渡】があり、それぞれ手残り現金に大きな差が出ます。

個人経営者の場合、株式譲渡であれば所得税率は一律約20%に抑えられますが、法人としての事業譲渡では法人税が課された後に、さらに残った現金を役員賞与等で受け取る際に多額の所得税が発生するリスクがあります。

一方、事業譲渡は「店舗単位」で切り売りできるため、不採算店を整理して特定の繁盛店だけを残したい場合に有効です。

自身のライフプランに合わせ、どのスキームが最適かを専門家と見極めることが、最大のリターンを得る近道といえます。

飲食業における事業承継で赤字店舗が高く評価される3つの【隠れた資産】

「赤字だから売れない」と諦めるのは早計です。

飲食業界のM&Aでは、現在の営業数値よりも、譲受企業が「自社のノウハウを掛け合わせた時にどれだけ伸びるか」という将来性が重視されます。

現在の収支に不安をお持ちの方は、まずはあなたの業界に特化したM&A・事業承継の資料をダウンロードするか、一度当社の業界特化のコンサルタントにご相談ください。

 立地が成功の8割を決める!営業数値以上に評価される一等地の価値

飲食店の成否は「立地」で8割が決まるといえます。

たとえ今の業態が陳腐化して赤字であっても、人流の絶えない一等地に店舗を構えているだけで、譲受企業にとっては「時間を買う」に等しい価値があります。

特に、10年以上前からその場所で営業しており、現在の相場よりも安く賃料を契約できている場合、その【家賃の低さ】そのものが強力な収益源です。

譲受企業は、業態を入れ替えるだけで即座に利益を出せると判断するため、予想外の高値がつくケースが多いのです。

老舗ブランドの歴史は最強の武器!海外出店を見据えた「日本食」のポテンシャル

日本国内のマーケットが縮小する一方、世界の「日本食」需要は拡大しています。

国内では当たり前の「ラーメン」や「寿司」も、海外では単価が3倍以上になることも可能です。

長年培われた老舗のブランド力や歴史は、海外の消費者に「本物の日本食」としての信頼を与えます。

海外展開を成長戦略に掲げる企業にとって、歴史ある暖簾は戦略的譲渡の対象として切望される資産であり、現在の国内利益が低くても、そのポテンシャルにプレミアム価値が上乗せされるのです。

優秀な職人やソムリエの存在は「人的資産」としての最大の付加価値

飲食店は究極の労働集約型ビジネスです。

フグを捌ける技術、ワインのソムリエ資格、あるいは「この大将に会いたい」と思わせる看板スタッフの存在は、金銭では測りきれない人的資産といえます。

専門性の高い人材が譲渡後も継続して働いてくれる確約がある場合、それは譲受企業にとって「教育コストの削減」と「即戦力の確保」を意味します。

人材難が深刻な昨今、優秀なチームがそのまま残っていることは、店舗設備以上に高い評価対象です。

飲食業の事業継承を成功させるための具体的な「現場トラブル」回避術

実務の現場では、書類上の手続き以上に「人間関係」や「契約の座組み」が成否を分けます。

特に飲食店特有の商慣習に起因する落とし穴を事前に潰しておくことが、スムーズな承継の鍵です。

大家さんとの契約交渉が最大の壁!賃料アップや礼金の要求を防ぐ立ち回り

M&A交渉の最終局面で最も多いブレイク要因が、建物のオーナー(大家さん)との賃料交渉です。

「経営者が変わるなら家賃を上げたい」「高額な礼金を入れろ」という要求を突きつけられるケースが多々あります。

これを防ぐには、大家さんとの信頼関係を維持しつつ、譲受企業の安定性や社会的信用を丁寧に説明し、不安を払拭するプロセスが不可欠です。

アドバイザーを同行させ、事前に経済条件を据え置く内容で合意を取り付ける「座組み」をしてから正式な通知を行うのがプロの鉄則といえます。

料理長や店長の離職を食い止める!譲渡後の【最初の100日】ですべきこと

承継後に最も恐れるべきは、キーマンである職人やスタッフの離職です。

彼らにとってオーナー交代は不安を感じさせやすく、情緒的なケアを怠ると一気に退職が進みます。

譲受企業は、譲渡後の最初の100日間で泥臭く現場に入り、一緒に汗を流し、賄いを共に食べることで信頼関係を築かなければなりません。

また、基本合意の条項に「主要スタッフの雇用維持」を停止条件として組み込み、譲渡企業と譲受企業が協力してスタッフの不安を解消する姿勢を見せることが不可欠です。

デューデリジェンスで刺される「負債」と「隠れ経費」の事前対策

買収監査で、飲食業界において必ずといっていいほど争点になるのが【未払い残業代】のリスクです。

タイムカードの不備や、店長を管理監督者扱いにして残業代を払っていないケースは、譲渡価格から大幅に差し引かれる原因となります。

また、個人店では自宅の賃料や車両費などを店舗経費に混同させていることが多いですが、これらは「正常収益力」を算出する際に除外する必要があります。

事前に社労士や税理士と協力し、クリーンな財務状態に整えておくことが、評価額を下げないための守りの戦術です。

【デューデリジェンスについてもっと詳しく知りたい方はこちら】

【解説コラム】財務デューデリジェンス

【解説コラム】法務デューデリジェンス

【解説コラム】人事デューデリジェンス

飲食店の価値を最大化する「お宝データ」とマニュアル化の重要性

店舗の価値をさらに一段引き上げるためには、譲受企業が「自分がいなくても運営できる」と確信できる仕組み作りが有効です。

単なるPOSデータでは不十分!戦略的マーケティングを可能にするCRM資産

多くの飲食店がPOSデータを取っていますが、それだけでは不十分です。誰が、いつ、何を注文し、どれくらいの頻度で来店しているか。

この「個客」の顔が見えるCRMデータは、譲受企業にとって即効性のある集客武器になります。

特に、地域の顧客基盤を「会員制度」などでリスト化し、いつでもアプローチできる状態にある名簿は、売上の再現性を担保する「お宝データ」です。

このマーケティング基盤があるだけで、譲受後の立ち上がりが早まるため、高い評価が得られます。

大将がいなくても自走できる仕組み!レシピ数値化による「属人性の排除」

「大将がいなければ出せない味」は、魅力であると同時に承継の最大のリスクです。

価値を高めるには、味の再現性を高めるためのマニュアル化が欠かせません。

単なる分量表だけでなく、旨味成分の数値化などを進め、新しいスタッフでも一定の品質を維持できる「自走可能な仕組み」を整えてください。

属人性を排除し、多店舗展開が可能なレベルまでシステム化された店舗は、譲受企業から極めて高く評価されます。

【まとめ】飲食の事業承継は「人」と「想い」を繋ぐ戦略的なリスタート

飲食の事業承継は、単なる終止符ではなく、あなたが育てた店が新しいステージで輝くためのリスタートです。

後継者不足に悩んでいても、立地やブランド、磨き上げられた仕組みがあれば、必ずそれを必要とする担い手が見つかります。

この複雑なプロセスを独力で進めるのは、リスクが伴います。

特に、負債リスクの整理や大家さんとのデリケートな交渉、そして「真の価値」を評価してくれる譲受人とのマッチングには、業界に精通した知見が不可欠ですので、まず【飲食業界専門の仲介コンサルタント】に相談することをお勧めします。

業種・業界の知見が豊富な船井総研あがたFASでは、飲食特有の課題に寄り添った最適な承継プランを提案しています。

まずは、各業界に特化したM&A、事業承継に関する資料をダウンロードし、未来へ向けた第一歩を踏み出してください。

知識を得るだけでは、未来は変わりません。激変する環境下で、貴社の選択肢が狭まってしまう前に『攻めの出口戦略』を。

独自のノウハウを凝縮した出口戦略診断ツールをダウンロードし、その上で、プロの目利きで『自社の真価』を直接確かめる

経営者としての集大成を、最も価値ある形で次へ繋ぐ準備は、今、ここから始まります。

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飲食業の事業承継についてよくあるご質問

Q: 赤字の飲食店でも事業承継(M&A)で買い手は見つかりますか?

A: はい、可能です。飲食M&Aでは現在の損益よりも、立地条件やブランドの歴史、海外展開の可能性といった将来価値が重視されます。特に一等地での営業実績や、他社が真似できない独自レシピがある場合、営業利益がマイナスであっても、高値で譲渡されるケースが多くあります。

Q: 事業承継をする際、従業員にはいつ、どのように伝えるべきですか?

A: 最終契約の直前、または基本合意後の適切なタイミングで伝えるのが鉄則です。早期に情報が漏れると離職を招き、譲渡価格の低下や成約の頓挫に繋がります。譲受企業と協力し、雇用の維持や処遇改善を具体的に提示しながら、スタッフの不安を解消する説明会を行うことが重要です。

Q: 飲食店の事業承継で、大家さんとのトラブルを避けるコツはありますか?

A: 事前の「座組み」が鍵です。勝手に承継を進めると賃料アップを要求されるリスクがあるため、信頼できるアドバイザーと共に、譲受企業の信用力を示す資料(ホームページ、実績、財務力)を揃えて大家さんへ挨拶に行きましょう。経済条件を維持したまま契約を切り替える交渉力が成否を分けます。

Q: 株式譲渡と事業譲渡、飲食店オーナーにとってどちらが有利ですか?

A: 節税面では「株式譲渡」が有利な場合が多いです。株主個人の所得税率は一律約20%ですが、事業譲渡は法人税が課されるため実効税率が高くなる傾向があります。ただし、特定の不採算店のみを切り離して譲渡したい場合は、柔軟性の高い「事業譲渡」が適しており、目的に応じた選択が必要です。

Q: 飲食店の価値を高く評価してもらうために、今から準備できることは?

A: 「属人性の排除」と「データの可視化」です。大将がいなくても運営できる調理マニュアルの整備や、顧客属性を管理するCRM(顧客名簿)の構築は、買い手にとっての収益の再現性を担保します。これらが整っている店舗は「自走可能な資産」とみなされ、査定額が大幅に向上する可能性があります。

山本瑛

(株)船井総研あがたFAS マネージングディレクター

上場企業の上席執行役員営業本部長として、グループ企業全体のM&A戦略による経営支援や資本提携、グループ再編に携わると共に営業部門を統括。船井総合研究所に入社後は、毎年、年間約10件のM&Aを成約に導く。過去最短でマネージングディレクターに昇格。プレイヤーとして第一線で活躍しながら、複数業種のチームメンバーを統括している。

山本瑛

(株)船井総研あがたFAS マネージングディレクター

上場企業の上席執行役員営業本部長として、グループ企業全体のM&A戦略による経営支援や資本提携、グループ再編に携わると共に営業部門を統括。船井総合研究所に入社後は、毎年、年間約10件のM&Aを成約に導く。過去最短でマネージングディレクターに昇格。プレイヤーとして第一線で活躍しながら、複数業種のチームメンバーを統括している。