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失敗しないHD化のポイントとは?

今回は、弊社でホールディングス化(HD化)のご支援をさせて頂いている中での、失敗しないHD化のポイントを紹介させて頂きます。

そのポイントは、次の2点です。

1.人を育てる
2.組織・ルールを作り込む

HD化というと、どうしても会社を新たに作る、外側の面ばかりに注意がいってしまいがちですが、内側を丁寧に作り込んでいくことが、HD化を成功させる上で大切なことです。裏を返すと、人や組織を後回しにして外側(制度)だけ作ってしまうと、HD化のデメリットが顕在化したり、組織が内側でバラバラになり機能不全に陥ったり、コントロールが効かなくなってしまいます。

1.人を育てる

HD化によって最も大きな影響が出るのは、人の問題です。
一般的には各事業の事業部長が各子会社のトップになることが多いですが、その際には以下のような変化が生じます。

① PLだけでなくBS(財務)も考えて事業運営する必要が生じる。
② 採算が明確に分かれ、事業の意義や成長戦略についての説明責任が重くなる。
③ 事業会社の運営に関する多くの部分が自分の意思決定に委ねられる。

もちろん、HD化後にその人が成長する(立場が人を育てる)部分もありますが、HD化前にこうしたことを見据えて人を育てることが、成功するHD化にとって大切になります。事業全体を見て経営を行える人員を育成する必要が生じるのです。

2.組織・ルールを作り込む

HD化のメリットの一つに、意思決定の迅速化があります。各社での意思決定の多くの部分を子会社社長が行うためです。ここで、子会社社長の権限が増える反面、それをHD社長がコントロールできるよう、適切なルール設計を行う必要があります。HD会社が、必要な部分をしっかり管理しつつ、子会社が適切に機能するようルール設計を行う必要があるのです。ここをきちんと設計しておかないと、子会社社長が勝手にHD社長の意図しない意思決定をしたり、逆に子会社社長が何も決められず、かえって意思決定のスピードが遅れてしまい経営に悪影響を及ぼしてしまうリスクもあります。

この、「人」の育成と「組織・ルール」の適切な設計により、人と組織が両輪のようにスムーズに動くことで、新しい会社の体制が適切に機能するのです。失敗してしまったHD化事例では、この「内側」の点が見落とされていたり、組織が自社にとって適切な形で設計されていない為、HD化のメリットが活かせず、デメリットが顕在化してしまうのです。逆にHD化を機に改めて自社の組織を見直し、適切なルール設計をすることは、HD化を円滑に機能させるだけにとどまらず、その後の企業が永続していく上で非常に重要な働きをしてくれます。HD化は単に会社の体制を変革させるにとどまらず、うまく使えば会社を永続させる、重要なターニングポイントになるのです。

今回ご紹介させて頂いた、人と組織の観点は、HD化をするにあたっての大切なポイントですが、HD化をしなくても組織を強化したい場合にも重要な考え方です。少しでも皆様のお役に立つことができれば幸いです。

光田卓司

(株)船井総研あがたFAS 取締役

2008株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に入社。入社後は専門サービス業の経営コンサルティングに従事し、2019年より専門サービス支援部部長に就任。併せて、多数のM&A支援を業務に従事。2021年同社M&A支援部部長に就任、同社M&A部門の成長を牽引した。2025年1月、株式会社船井総研あがたFASの取締役に就任。

光田卓司

(株)船井総研あがたFAS 取締役

2008株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に入社。入社後は専門サービス業の経営コンサルティングに従事し、2019年より専門サービス支援部部長に就任。併せて、多数のM&A支援を業務に従事。2021年同社M&A支援部部長に就任、同社M&A部門の成長を牽引した。2025年1月、株式会社船井総研あがたFASの取締役に就任。