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美容業におけるM&Aの特徴

  • 店舗 M&Aレポート
美容室 M&A

本日は美容業のM&Aについて記載したいと思います。

美容業をとりまく環境

矢野経済研究所の調査によれば、2016年度の美容市場規模は1.52兆円、2020年度の市場規模予測は1.48兆円と試算されており、微減傾向ではあるものの依然安定した巨大市場となっています。(※1)

美容業界の特徴は、美容院を経営する会社のうち小規模の会社数の割合が多い点にあります。経済センサスのデータでは全国2万4367軒のうち、71.5%(17,433軒)が従業員1~4人の事業所となっています。(※2)

また、美容業を含む生活関連サービス業の開業率は6.5%(全産業平均4.4%)、廃業率は4.8%(全産業平均3.5%)となっており、開業率廃業率ともに全産業平均よりも高い数値となっています。(※3)

こうした業界構造の場合、事業環境が厳しくなると、競争力のある大手チェーン店に人材や資金などの経営資源が集約されていきます。

今日ではコロナの影響を受けて業績が悪化した企業が多く、帝国データバンクによれば理美容業の倒産件数は過去最多となっております。(※4)中小零細企業の数が多い点も、美容業における倒産件数増加を促したと思われます。

美容業のM&Aの特徴

美容業のM&Aには、店舗の事業譲渡や運営会社を株式譲渡する方法があります。近年では、ファンドや大手事業会社の資金を活かして事業規模を拡大するパターンが多く見られるようになりました。以下では、ヘアサロンを例にご紹介します。

例えば、株式会社AB&Companyは、ヘアサロンチェーンAgu Hair Salon.を直近1年間に約130店舗のペースで拡大しています。(※5)
同社は2018年にCLSAキャピタルパートナーからM&Aにより100億円の出資を受けました。
同社の事業拡大要因は積極的に業務委託契約を取り入れることでスタイリストを確保している点のほか、やはりM&Aにより資金力を得ている点もあります。

また、株式会社FastBeautyは、カラー(毛染)専門店であるfufuを運営しています。こちらは丸亀製麺で有名なトリドールホールディングスへ、2017年にグループインしました。グループイン前の2017年1月時点では4店舗でしたが、現在では全国各地のショッピングセンターを中心に86店舗を展開しています。

M&A後の代表ご自身や会社の処遇

美容業のM&Aにおいて多く用いられる手法(スキーム)の一つに、株式譲渡があります。
この方法の特徴は従業員や取引先との契約、資産のほか負債もまるごと引き継げるといった点があります。
M&A実行後も代表や管理職、スタイリストとして続投する場合もあります。銀行借入れの保証を解消しつつ、買い手の資金力を活かしながら事業拡大に取り組むという展望を描くことが可能です。

また、数店舗のみを譲渡する場合も見受けられます。例えば、従業員が独立する時に「暖簾分け」と称して、オーナーから店舗や看板、内装設備や顧客を譲り受けるケースです。

なお、店舗関係者でない第三者へ譲渡を検討する場合、ある程度の店舗展開をされている方が興味を持っていただける傾向があります。
買い手は自力で出店するか、M&Aを通じて出店するか判断を行いますが、一般的には1,2店舗の譲渡価格の相場より自力で出店したほうがコストを抑えられる傾向にあります。
このことから、第三者へ譲渡する場合は5~10店舗単位の譲渡のお話の方が、検討が進みやすいといえます。

>>株式譲渡についてはこちらのページもご覧ください

業績の立て直しと会社経営の長期ビジョン

現在は、全国の緊急事態宣言の解除にともない市場の回復が期待されますが、業績の立て直しに向けて尽力されているところと拝察します。
価格の見直しやメニュー別の粗利管理、SNSを活用した広告宣伝といった足元の施策を展開しつつ、長期的な会社の存続を目指すのであれば、新規出店を見据えた事業計画も重要となります。
特に、自力で将来展望を描くことが難しい場合、M&Aを通じて第三者からの協力を得ながら事業拡大を目指すことも方法となります。

今すぐにM&Aを検討しない場合でも、会社の業績や財務状況を理解して重点的に改善していくことは、将来的にM&Aを実行した時の譲渡益の増加もさることながら、企業成長にダイレクトにつながります。

船井総研M&A支援部では、決算書をお預かりし、無料で簡易的な企業価値評価を行っております。ご関心をお持ちの場合は、下記フォームからご連絡をお願い致します。

※1 矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2409
※2 総務省統計局 「経済センサス 2016年」
※3 中小企業庁「2020年度版 中小企業白書」
※4 帝国データバンク 「理美容業者の倒産、過去最
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200507.pdf
※5 Beautopia『 Agu.グループ、年間出店数が過去最多130店 売上高は前年比14%増』
https://www.beautopia.jp/19959/

 

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